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Re:ゼロから始める異世界生活  作者: 鼠色猫/長月達平
第九章 『名も無き星の光』
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第九章22 『戦いの終わらせ方』



 ――最初、ロム爺の計画を聞かされたとき、わずかな引っかかりがあったのだ。


「よいな、フェルト。お前さんが敵の手に落ちれば、儂らの敗着は確定……当然ではあるが、相手は一番達成しやすい勝利条件として、それを狙ってきよるじゃろう」


「アタシがこっちの頭なんだ。さすがにその理屈がわからねーってダダこねたりしねーけど、後ろだの隅っこだのでボケーっと見てろってんならお断りだぜ?」


大戦おおいくさともなれば、決着がつくまで大将がどっしりと構えて待つというのも当たり前にあることじゃが……ええい、そう唸るでない!」


 聞くだに不満爆発な立ち位置を提案されかけ、キシャーッと唸ったフェルトにロム爺が自分の禿頭をペタペタと参ったような顔で撫でる。

 その困り顔の仕草はフェルトにとって見慣れたもので、それをするときのロム爺が実は見た目ほど困っていないこともよく知っている。――ロム爺が困り顔で自分の頭を撫でるときは、そう見せて自分の望む方に話を誘導するためだ。

 ここでのロム爺がしたい話というのは――、


「わかったわかったわかったわい。なら、後ろで見ておれとも端っこで縮こまっておれとも言わん。――順繰りに、兜野郎の足跡を辿ってもらう」


「……兜ヤローの後ろについてけってのか? 何の意味があんだよ」


「林中の兜野郎の位置をできるだけ特定しておきたいのと、分隊が敵とぶつかって突破されたあと、生存者を回収して、後方からの伏兵としたい」


 ロム爺の提唱した作戦、それが兜ヤローを追い詰め追い詰め、逃げ場を封じて囲い潰すものであることは理解した。そのために、五百人をいくつもの隊に分けることも、最初に当たることになる隊が捨て石になる可能性があることも。

 そしてフェルトは、それをわかっていて手出しができない立場となるのだと。


「――――」


「フェルト、戦いである以上は……」


「わーってる。ラインハルトのヤローじゃねーんだ。どこ出したって誰も死なねーなんて思うほどお気楽じゃねーよ。好きじゃねーってだけだ。死ぬ前提で動くのがよ」


 見た目で子ども扱いされることが多かろうと、フェルトは生憎と見た目のことで侮られるほど幼稚な夢を現実に描こうと思っていない。

 そのあたりは王都の貧民街で、決して命の値段が高くない場所で育ってきたことによる哲学がしっかりと自分の芯として根付いている。

 人の命は軽く脆く、だからこそ言うのだ。――強く生きろよ、と。


「――そうじゃな。儂も、命の無駄遣いは好きではないわい」


「ただでさえ、黒社会連中は命懸けってのに美学持ってやがっかんな。そうでもなきゃ、呼びかけられてこんだけ集まらねーだろーから複雑だけど」


 ロム爺の策を絶対厳守と荒くれ者たちが誓った背景には、黒社会に根付いた血の掟や貧民街とは異なる哲学が横たわっている。

 その在り方の違いを過剰に忌避せず、尊重することが彼らとうまくやるコツだ。

 ただそうとはいえ、この集団の頭をフェルトが任されている以上、この場はフェルトの哲学に全員従ってもらう必要がある。

 故に――、


「――やるぜ。アタシはアタシとして、この勝負を勝ちにいく」


 それがたとえ、他の誰が設定した勝利条件と違っても、そうするとフェルトは決めたのだ。



                △▼△▼△▼△



 最後の瞬間、ロム爺が自分と繋がっている『対話鏡』の蓋を閉じたとき、フェルトは案の定、嫌な予感が的中したと走る足を速めた。


「最後の、一押しがあるって、爺さん言ってたぜ……」


 とは、顔の全部の穴から血を流していたカンバリーの言葉だ。

 そのボロボロ具合にも言いたいことはあったが、フェルトは彼の手から『ミーティア』を奪い取ると、兜ヤローたちの拘束から解放した仲間に介抱を任せ、走った。

 そして、人生で一番早く走り、林を抜け出た瞬間、そこに出くわした。


 ――ロム爺が兜ヤロー共々、『神龍』に自分を狙わせる現場に。


「――っざけてんじゃねー!!」


 無我夢中で『ミーティア』――『星杖』を構え、飛来する『龍』へと狙いを付けた。

『龍』の頑丈さは、エッゾたちとプレアデス監視塔に赴いたとき、ラインハルトと激突するところを目の当たりにしてよく知っていた。――もっとも、『星杖』で『龍』を狙った理由に、その頑丈さは関係ない。

 ただ、ふざけるなと横槍を入れるときでも、フェルトにロム爺を殴る選択肢がなかったというだけで。


『――痛ぇっ!!』


 放たれた星の光を宿す一撃が『龍』の横っ面を弾き、『神龍』らしい威厳がまるでない苦鳴が上がると、息吹が明後日の方角へ矛先を変えた。

 何もない、誰もいない野っ原がその息吹で力ずくに均されたが、構わない。

 たぶん、ロム爺の渾身の策を台無しにしてしまったが、それでもいい。


「嫌な予感がしてみりゃこれだ。死ぬ覚悟があんのと、すぐ死にたがるのとは全然ちげー話だろーが! ロム爺のバッキャロー!!」


 込み上げてくる激情のままにそう吠えて、フェルトは強く歯を噛んだ。

 一瞬、その姿が見えにくくなっていたロム爺と兜ヤロー、フェルトには想像もつかないくらい高度な頭脳戦をしていただろう二人が、呆気に取られてこちらを見ていた。

 いい気味だと、フェルトはみっともなく涙目になりながら、顔はへこたれなかった。


「ラインハルトのバカが、延々気に病むだろーが」


 勝ち方を選ばなければ、フェルトたちにはどんな誰でも負かせる力がある。

 だからこそ、傲慢な考え方だと後ろ指を差されようと、勝ち方を選り好みするのだ。そうしなければ、価値のある勝ちを手に入れることができないから。

 そのために、フェルトは自分の哲学を貫いた。

 すなわち――、


「強く生きろよ、ロム爺。それが貫けなきゃ、勝ったところでアタシらの負けだ」



                △▼△▼△▼△



「――今、オレは負けてた」


 厳然たる事実を口にして、アルデバランは敗北感に打ちのめされていた。

 直前のバルガ・クロムウェルの策は、権能を有するアルデバランを完全に的にかけたものであり、『神龍』の帰還という時間切れさえも取り込んだ完璧なものだった。


 戦いを終わらせるための『アルデバラン』の威嚇の息吹。

 それが回避不能の罠と化したとき、アルデバランは終わりのない『死』への一本道となったマトリクスを延々と繰り返し、やがては魂をすり減らし切っていただろう。

 恐るべきは、『亜人戦争』を地獄の内戦へと至らしめたバルガ・クロムウェルの神算鬼謀――否、あの結果はそれだけが原因の詰みではなかった。


「五百人がかりで、オレの選択肢を削り切りやがった」


 紛れもなく、アルデバランの敗因はそこにあった。

 絶え間なく襲ってくる五百人の波状攻撃、その全員が命の限り、死力を振り絞って挑んでくるたび、アルデバランの精神力はじりじりと削られ、判断力を損なっていった。シンプルな判断ミスでやり直した局面も何度もあり、それを試行回数という力ずくのごり押しで突破し続け――最後の最後、詰めを誤ったのだ。


 バルガとの言葉で冷静さを失い、アルデバランはマトリクスの更新地点を見誤った。

 あるいはそれさえも、バルガの仕組んだ罠だったのだろう。それにまんまと引っかかって、危うく全ての可能性を閉ざされるところだった。


 ――どんな罠だろうと、敵だろうと、最後には必ず打ち勝てる。


 そのアルデバランの驕りを、老獪なる大参謀は容赦なく突いてきた。

 わかっていたはずだったのに。権能は無敵でも、それを扱うアルデバランは凡庸だと。

 本当に勝たなくてはいけない場面で勝てなかったから、アルデバランは自分に期待した多くの人を裏切り、ここに流れ着いたのだと。

 アルデバランが、身の丈に合わない宝を持ち腐れしていたから――、


「――プリシラを」


 救えなかった、と掠れた吐息が自罰の極みを口にしかけた瞬間だ。


「全員、動くな!!」


 高い声が鋭く響き渡り、戦場の平野を押し包んだ停滞の空気を打ち破る。

『神龍』が呼び出され、『亜人戦争』で猛威を振るった大参謀の策が不発し、この戦いの主要な顔ぶれが集った場所で、そう主導権を主張したのは赤髪のメイド――ヤエだ。


 伏兵のグラシスに妨害され、アルデバランの援護に出遅れていたヤエは、林の入口にそのグラシスを、平野の片隅にマンフレッドを鋼糸で括り、それぞれ転がしていた。

 そしてその上で――、


「――っ、こいつがラチンスたちを縛ってた糸かよ」


『星杖』を足下に取り落としたフェルトが、そう憎々しげに舌打ちする。

 そのフェルトは両手両足を揃えた形で鋼糸に括られ、身動きを封じられていた。

 すなわち、形勢逆転だ。


「貴人への著しいご無礼、謹んでお詫び申し上げます、フェルト様」


「貴き人なんてガラじゃねーよ。……テメーはなんで兜ヤローについてる?」


「一番怖い相手に従うのは、いたって自然なことじゃありませんか~?」


 ペロっと舌を出し、ヤエが動きを封じたフェルトにいつもの調子でそう応じる。

 そのやり取りを横目に、アルデバランは一歩下がってバルガと距離を置く。もっとも、策の不発したバルガは膝をついたまま動けずにいる。

 命懸けの策が空振りしたのだ。その脱力も当然と言えるが、目下、その賢すぎる老巨人の双眸にあるのは、敗北感よりも切実な色だ。


「……儂はどうなっても構わん。フェルトには、手を出さんでくれ」


「その言葉が聞きたかった。その顔は、見たくなかったけどな」


 苦しげに絞り出すバルガの訴えと表情に、アルデバランは本心からそう答える。

 自分たちから仕掛けてきておいて、手を出すなとは都合のいい要求だ。だが、それでこの戦いを終わらせるお膳立てが整うなら、腹が立つより安堵感が勝った。

 無論、狂わされた計画の修正に、アルデバランの七日はよりシビアなものになった。

 それでも今は、『魔女』以外に初めて自分を負かした相手との戦いを終えられる、そのことへの感慨が上回っていて――、


『――よう、オレ、だいぶヤバかったみたいじゃねぇか』


 そのアルデバランに声をかけてきたのは、翼をはためかせて地上に降り立った『アルデバラン』だ。

 正直、誤射で全部台無しにしかけたわりに悪びれなさすぎる感があるが、できるだけ王国の目を余所に引き付ける役目を半日で放棄させ、呼び戻したのだ。不甲斐なさに関してはお互い様と、この場は目をつむっておくことにする。


『で? 思いがけず、フェルト嬢ちゃんたちとぶつかり合ってたみてぇだが、さっきのありゃいったいなんだったんだ?』


「もう一人のオレにオレを誤射させる罠だよ。シャトランジ盤で手も足も出ねぇくらい詰まされた気分だ。……実際、そうなるとこだった」


『そりゃ、先生に散々やられた嫌な記憶が蘇るぜ』


『死者の書』で記憶を共有する『アルデバラン』の言葉に、アルデバランは自分にあらゆる知識を授けた『魔女』が、シャトランジ盤で大人げなくフルボッコにしてきたときのことを思い出させられ、嫌な気分になった。

 とはいえ、盤上遊戯のお遊びと、アルデバランが権能を駆使した上での戦場とではお話が根本から違ってくる。本当に、バルガは恐ろしい敵だったのだ。


「いや、おっかなかったのはあんたを従えてるフェルト嬢ちゃんの人徳か」


「……儂らは、フェルトに従っておるわけではないわい」


「――。それはそうなんだろうな」


 同じ王選候補者であっても、フェルトとプリシラとではその輝き方が違う。

 見上げる太陽の眩さが違えば、その目の焼かれ方も異なるものだろう。そこにはどちらが正しいとかではなく、どの光を頭上に仰ぐかという違いだけがある。

 そして、フェルトを仰ぐと決めたのがバルガであり――、


「――あんたら全員がそうか」


 振り返ったアルデバランの視界、そこに林の中から這い出てきた荒くれ者たち――戦いの中で負傷し、互いに肩を貸し合いながら、なお闘志を失わない五百人がいる。


「――――」


 バルガが脅しをかけてきた通り、その命を奪われない限り、彼らは何度でも負傷した身を押して立ち上がり、アルデバランを倒そうと挑んでくるだろう。

 そういう気概のある顔つきに、アルデバランは改めて実感する。――自分が、もう世界中の誰からも肯定されない道を往くと、そう決めたことの影響を。


「けど、さっきまでと状況が変わった。もうあんたらに勝ち目はねぇ。『剣聖』やら『嫉妬の魔女』と同じだ。――『神龍』は、ゲーム性をひっくり返す」


『神龍』という理不尽、それはシャトランジ盤での勝負の最中、駒を使わずに直接殴りかかるようなものだ。この世界には一定数、そうした『枠組み』の外にある存在がいる。

 その存在の一つを封じ、一つを足止めし、一つを利用し、一つを味方に付けた。――その強みを、アルデバランは躊躇いなく使い倒す。

 故に――、


「悪ぃが、ここで無理やりゲームセットだ。あんたらには、こっから先のオレたちを追ってこられねぇように――」


「――フェルト様、動かないでいただけます?」


「――?」


 不意に、アルデバランの降伏勧告を静かなヤエの声が遮った。

 ちらとそちらを見れば、ヤエが鋼糸で拘束したフェルトの背後に立ち、その横顔に怜悧な眼差しを向け、忠告していた。

 しかし、フェルトはそのヤエに「動かねーよ」と前置きした上で、


「――アタシを見ろ」


 そう、静かに言の葉を紡いだ。


「――――」


 そのフェルトの一声に、アルデバランも、ヤエも、バルガさえも眉を顰めた。

 意図のわからない発言、そこにアルデバランは視界に入ることで機能する何らかの策を疑ったが、フェルト自身はヤエに囚われ、文字通り手も足も出ない状態。

 そんな状態からできることなんて何もない。――などと、そう思わせない意思の強さが少女の赤い双眸に宿っている。

 そして――、


『あー、ちょっと問題発生だわ、オレ』


 それは、『星杖』の一撃を浴びた頬を前足でさすっていた『アルデバラン』だった。

 そのややこしい呼びかけの矛先は、記憶と人格を共有するアルデバラン――だが、『アルデバラン』は話しかけておきながらこちらを見ていない。

 態度が悪い、という話ではなかった。その『龍』の目は、フェルトを見ている。


 ――まるで、フェルトから目を離し難いと言わんばかりに、強烈に。


 それが意味するところをアルデバランが精査する前に、『アルデバラン』が頬をさするのではなく、被っていない兜の金具を弄ろうと手癖で空振りしながら、


『どうもオレ、ファルセイルの……フェルト嬢ちゃんの頼みを、拒否りたくねぇわ』


 などと、確かな問題の発生を明らかにしたのだった。



                △▼△▼△▼△



『――ファルセイル、汝の無茶には我も、他の皆も疲れ切ったぞ』


 そう『神龍』に話しかけられたのは、フェルトがメィリィ・ポートルートの有用性の証明に、彼女とプレアデス監視塔を目指し、アウグリア砂丘を渡ったときのことだ。


 どうやら一緒にいったラインハルトの存在にビビらされ、塔を守るはずの『神龍』ボルカニカは大慌てでフェルトたちへと攻撃を仕掛けてきた。

 砂丘の半分が消し飛ぶかと思うようなその激闘は、フェルトの人生で一番派手で規模の大きな戦いだったことは間違いない。

 最終的に、ラインハルトとボルカニカとの戦いに決着はつかなかった。フェルトの姿を目にしたボルカニカがやる気を引っ込め、尻切れトンボに終わったからだ。


 その戦いを消化不良で終わらせたときの『龍』の一言が、冒頭のそれだった。


「誰がファルセイルだってんだよ、ふざけやがって」


『神龍』の失礼な人違いに、フェルトはそう腹を立てた。

 が、そう腹を立てる一方で、ボルカニカの口にしたファルセイルという名前に心当たりがないほど、さすがのフェルトも物知らずではない。

 このルグニカ王国で、『神龍』ボルカニカの口からファルセイルと呼びかけたなら、それは最後の『獅子王』と呼ばれ、王国と龍とが交わした盟約を主導した存在――ファルセイル・ルグニカに他ならない。


 すなわち、ボルカニカはフェルトを、最後の『獅子王』と取り違えたのだ。

 ファルセイル・ルグニカは紛れもなく男性の王だったはずなので、それと間違えられるのにはムカッ腹が立った。王選が始まってからの一年半、貧民街時代から劇的に栄養状態の改善したおかげか、フェルトの身体的な成長は著しい。

 体つきも、男か女かもわからない貧相なそれから多少は見れるようになったはずだ。

 そんな自負に傷を付けられて、親竜王国でも直接対面できたものがほとんどいない『神龍』との接点は、フェルトにとっては面白くないものとなった。


 とはいえ、その出会いは面白くない体験だっただけでは終わらなかった。

 よほどファルセイルとは親しい関係だったのか、ボルカニカはフェルトに対してものすごく友好的に――有体に言えば、途轍もなく懐いたのだ。

 それこそ、ほとんどボケ老人も同然に頭が空っぽになっているくせに、それでもフェルトの言葉には素早く、躊躇なく従おうとしてくれるほどに。


「ルグニカ王族と、ボルカニカとの約束、ね……」


 具体的な記録がない以上、『獅子王』と『神龍』がどんな関係で、どんな言葉を交わし、どんな風に約束をしたのか事細かにはわからない。

 ただ、一方的な使役とも、単なる友情や親愛とも違う、何かが両者の間にあったのだろうと、それはフェルトにもちゃんとわかった。

 その上で、ボルカニカがフェルトのことをファルセイルと誤解し、かつての盟約を健気に守ろうとする姿勢に何も思わないほど、フェルトも薄情ではない。


 ましてや、ボルカニカがただ髪の色と瞳の色だけで、自分をファルセイルと取り違えたわけではないだろうとも思っていた。

 それが何を意味するか、フェルトの中には一応の結論らしきものは出ているが、ラインハルトも傍にいない今の時点で、それを言葉にするつもりもない。

 重要なのは、フェルトがボルカニカにとって、ファルセイルの代わりになること。

 すなわち――、



「――アタシを見ろ」


 その宣告を口にした途端、胡乱げにこちらを見た兜ヤローやシノビメイドと、弾かれたように振り返ったボルカニカ――否、『神龍』との反応は明らかに違うものだった。

『神龍』の反応は間違いなく、フェルトの言葉に他のヤツが感じなかった強制力や、無視しづらい感覚を味わったことの証拠だ。

 そしてそれは、ロム爺が事前に設定していたこの戦いの刻限――兜ヤローが『神龍』を戦場に呼び出すという鬼札に対抗する、唯一無二の手段でもあった。


 それが通用したと確信できた瞬間、フェルトは叫ぶ。


「全員、ケガ人に肩貸して下がれ! このケンカはおしまいだ!」


「な……っ」


「『神龍』はアタシを無視できねー! ここが引き際ってヤツだ!」


 自分の頭を飛び越えた発言に、兜ヤローが絶句する。その唖然とした兜ヤローの反応だけ小気味よく思いながら、フェルトは彼の向こうにいるロム爺を見た。

 ロム爺は顔を強張らせ、皺深い顔の皺をさらに深めながら、


「フェルト、儂は……」


「言ってあったはずだぜ、ロム爺。『神龍』が戻ってきたら、アタシはこうする。ロム爺は黙って勝手にやったんだ。ちゃんと相談したアタシの勝手は、筋を通してる」


「ぬぐ……!」


 真っ向からのフェルトの言葉に、ロム爺が言い返せなくて押し黙った。

 フェルトとロム爺、どちらも『神龍』が戻った場合のことは考えていた。ただ、その状況になった場合の対応策が、二人の間で違っただけ。

 言った通り、ちゃんと相談したフェルトの方がよっぽど正論のはずだ。


「おい、さっきのはマジなのか?」


 そのフェルトとロム爺のやり取りの傍ら、衝撃から立ち返った兜ヤローが、高いところにある『神龍』の顔にそう問いかける。

 その問いに、『神龍』は深々と大きな鼻息を吐きながら、


『マジもマジの大マジ。ここでくるっとフェルト嬢ちゃんの方に寝返らねぇのを褒めてほしいくらいの自制心だぜ? オレじゃなきゃサクッと裏切ってるね』


「冗談きついぜ、オイ……」


 兜の金具を指で弄りながら、兜ヤローが『神龍』の答えに肩を落とす。

 そうする二者の会話に、フェルトはフェルトで違和感――明らかに、以前と様子の違う『神龍』の態度が気掛かりだが、そこに口を挟む余裕は今はない。

 今ここで通すべきなのは、フェルトの存在が『神龍』への対抗策となる幸運を利用し、敗北したロム爺たちを無事に撤退させることで――、


「――諦めの悪い方ですね、フェルト様」


「――――」


 耳元でそう囁かれたかと思った直後、首に細い圧迫感。見れば、フェルトの首に目を凝らさなければ見落とすほどの細い糸が食い込み、微かに血を滲ませている。

 もちろん、それをしたのはフェルトを糸で縛ったシノビメイドだ。


「ヤエ、やめろ! オレの言いつけを……」


「お仕置き覚悟で進言します、アル様。フェルト様はここで始末すべきです。今の『神龍』様とのご相談が、よくない流れのご相談だって私にもわかりましたから」


「それは……」


『――そいつはダメだ、ヤエ。やったら承知しねぇぞ』


 口ごもった兜ヤローに代わり、そうシノビメイド――ヤエを恫喝したのは、微かに頭の位置を下げた『神龍』だった。

 睨まれ、威圧されるだけで肌が焦げるような痛みを錯覚する『神龍』の怒り。しかしヤエはそれを浴びながら、平然と『龍』を睨み返し、


「お生憎ですが、私が怖いのはアル様で、『神龍』様じゃ~ありません。あなたに睨まれたところで、何にも恐ろしくなんてないんです」


『ヤエぇ……!』


「二人ともやめろ! 無闇に揉めるな、つけ込まれるぞ!」


 ヤエと『神龍』の睨み合いに割って入り、兜ヤローがフェルトとロム爺を警戒する。

 実際、縛られたフェルトは手も足も出ないが、ロム爺は今の間も、隙があれば何かをしでかそうとする目をやめていなかった。

 その事実に、ロム爺を警戒するヤエと『神龍』も、いったん剣呑な空気を引っ込める。


「でもでも、問題は解決してませんよ。フェルト様が危険だって事実は」


「わかってる。……オレ、本気でどうしようもねぇのか?」


『ああ、悪ぃな。強制力とか、制約やら誓約やらに縛られてるって話じゃねぇ。ただ、どうしても本気で嫌なんだよ。自我が分裂しそうだぜ』


 ヤエの指摘に、兜ヤローと『神龍』の意見が平行線になる。

 兜ヤローには兜ヤローの通したい筋があって、ヤエや『神龍』はそれに従う立場だが、根っこのところで完全に意思が統一されているわけじゃないらしい。

 今のままなら、どちらにでも転ぶ可能性のある状況だ。

 それなら――、


「ここは痛み分けにしよーぜ。そっちはアタシの仲間連中を見逃す。代わりに、こっちもアンタらを見逃してやる」


「……そりゃ都合が良すぎるってもんだろ。偶然が味方した結果だろうが、こっちはフェルト嬢ちゃんたちの策を全部破ってんだ。なのに、なんで引き分けだ?」


「言われなくてもわかってんだろ? アタシらのケンカは、『神龍』が戻ってくるまでがお互いの時間制限だった。けど、『神龍』がどっちにも手を貸さねーならそれが消える。それが消えるんなら、また五百人がかりでケンカするだけだぜ」


「――――」


 言いながら、フェルトは顔色の見えない兜ヤローの様子をつぶさに観察する。

 顔が見えない分、フェルトは兜ヤローの胸の内を、その息遣いや小さな仕草、そういう端々の情報をかき集めて、全力で見通さなくてはならなかった。


 今のフェルトの言い分には、自分でもわかり切った決定的な穴がある。――ここまでの状況は全部、兜ヤローがたまたま誰も殺さない選択を取っていたから成立している。

 その前提を、兜ヤローが気紛れに破ることがあれば、フェルトたちは終わりだ。


 たとえ、『神龍』の動きが制限されていても、ヤエの糸がフェルトの首にかかっているように、五百人の仲間たちは次々と絞め殺され、全滅する。

 それに、兜ヤロー自身が気付いていないはずがない。だから、フェルトは全力で、全身全霊を以て、兜ヤローを思い切らせないよう、言葉を選び、磨き、魂に響かせる。


 ――ここでケンカを続けるのは、割に合わないと思わせるために。


「言っとくが、アタシのロム爺の策はこんなもんじゃねーぞ。ケンカが続くってんなら、それでまた次の悪知恵が出てくるだけだぜ」


「……それはおっかねぇ。けど、それはここで見逃しても同じだろ? いったん引き分け扱いにしても、仕切り直して挑んでこられちゃイタチごっこだぜ」


「だな。だから、こうしようぜ。――アタシが、そっちの人質になる」


「――ッ」


 微かに息を呑み、兜ヤローがフェルトの提案に目を見張ったのを仕草から感じ取る。そこに手応えを覚えながら、フェルトはがっつかず、丁寧に光明を引き寄せにかかった。


「アタシがテメーらといれば、うちの連中は手出しができねー。元々、このケンカに勝つために狙ってた勝ちの目だろ?」


「お話になりません。わざわざ、不穏分子を連れ歩けだなんて。そんな提案、フェルト様がお逃げになられたら意味が――」


「だったら、この糸を外さねーでおけよ。そっちの『神龍』も、アタシが約束破って逃げようとして死んだら、そりゃアタシの自己責任だ。怒んなくていいぜ」


『オイオイオイ、そりゃねぇだろ、ファルセイル』


「ファルセイルじゃねーよ」


 口を挟んだヤエが、拒もうとした『神龍』が、フェルトの言葉に考え込む。

 そうしている間に、フェルトは自分と同じく、この場での決定権を持っている兜ヤローをじっと見つめると、


「どうする? 続けるかどうか、テメー次第だ」


「……余計な荷物は背負いたくねぇ」


「――――」


「けど、自分と仲違いしてる場合じゃねぇのも事実だ。フェルト嬢ちゃんの人質案に乗っかってもいい。ただし――」


 静かに、深く考えながら、兜ヤローが慎重にそう言葉を紡ぐ。その言葉の最後、もったいぶるように話の終端が途切れ――瞬間だ。


「うおおおお――!!」


 会話の緩急に割り込むように、雄叫びを上げたロム爺が両腕を伸ばし、兜ヤローに背後から掴みかかった。

 その太い腕が兜ヤローの首と腰を後ろから締め上げ、ヤエに拘束されたフェルトと同じように、双方の代表者が互い違いに捕まる状況が完成し――、


「――ドーナ」


 刹那、兜ヤローの詠唱で生じた岩の左腕が、ロム爺の顎をしたたかに打ち抜いた。

 隻腕に岩の義手を生やした兜ヤローの予想外の一発、それがロム爺の脳ミソを激しく揺らして、巨体が大きな音を立てながら平野に倒れ込む。

 とっさに駆け寄りかけるも、首の感触を思い出したフェルトは我慢。そのフェルトに対し、ロム爺を殴り倒した兜ヤローはため息をついて、


「ただし、爺さんへのこの一発だけは見逃してもらうぜ」


 と、終戦の条件を後付けで追加して、フェルトの提案を呑んだのだった。



                △▼△▼△▼△



 ――意識のないバルガがグラシスとガストンに担がれ、運ばれていく。


 何とも体格のバランスが悪いそれを見ながら、アルデバランは最後まで油断なく、五百人の荒くれ者――否、手強かった敵たちが撤退するのを見届けた。

 しっかりと、水平線の彼方まで強敵たちが離れ、こっそりとこちらを追跡しようと目論むものがいないか、『アルデバラン』にも徹底的に確認させる。


『いねぇよ、全員撤退した』


「本当だろうな? 信じていいんだよな? オレのこと、裏切らない?」


『漫画とかだと自分が自分を裏切る展開ってお約束だけど、とりま安心しとけ。現状、オレへの肩入れとフェルト嬢ちゃんへの肩入れは五分五分ってとこだ』


「十分、危険水域じゃねぇか……」


 どこまで真に受けていいのか、『アルデバラン』の発言には恐ろしさがある。

 わかっていたことではあるが、『アルデバラン』はあくまで『アルデバラン』であって、記憶と人格を共有していようと、アルデバランそのものにはなれない。

 アルデバランの目的を果たす上で頼もしすぎる助っ人でこそあるが、助っ人以上になることができないのも事実なのだ。


「――アル様~、フェルト様の持ち物検査終わりましたよ~」


 と、そう心中で考え込むアルデバランの下に、ひらひらと手を振るヤエが戻ってくる。

 彼女にはフェルトの身体検査――バルガ・クロムウェルが、彼女に何かを持たせている可能性もあると、徹底的に調べるよう命じてあった。

 もっとも、ヤエの様子からすると、フェルトからは何も出なかったようだ。


「どうだった?」


「そですね~、『対話鏡』をお持ちでしたので割っておきました」


「持ってるじゃねぇか! おい、フェルト嬢ちゃん!」


「うるせーな、ちゃんと自分から言ったよ。隠してたわけじゃねーからいいだろーが」


 声を高くしたアルデバランに、『アルデバラン』の陰から頭を出したフェルトが不満げに言い返す。木陰もないだだっ広い平野なので、フェルトの身体検査は図体のでかい『アルデバラン』の向こう側で行われていたのだ。

 ともあれ、そのフェルトの答えにヤエを睨むと、彼女は「べ」と舌を出し、


「ヤエちゃんのお茶目なジョークですよ~」


「お前な……」


「そんなに重たく受け止めないでくださいよ~、アル様。どうせ、私のお話なんてちゃんと聞く耳持ってくださらないんでしょ?」


「――。悪かった」


「聞こえませんので許しません」


「悪かった!」


 大きい声で謝罪を叫ぶが、ヤエにはこれ見よがしに手で耳を塞がれた。

 子どもみたいに大人げない態度のヤエだが、彼女がこんな態度になるのも無理はない。アルデバランは、ヤエの実力の半分も発揮できない無理をエゴで強いている。

 にも拘らず、まるでヤエの望みに報いないで恐怖で躾けているのだから、言い訳の余地もないぐらい徹底的にDV野郎である。


「ったく、調べられんのは当然だけど、何も外で素っ裸にすることねーだろ」


 フェルトはフェルトで、ぶつくさと文句を言いながら『アルデバラン』の陰から出てくる。その彼女の言にヤエをちらと見ると、彼女は相変わらず両手で耳を塞いだまま、脱がす必要のない嫌がらせをしたことへの追及を躱す腹積もりだった。


「……まぁ、そのぐらいは敗者の常だと思って呑み込んでくれ。たぶん、フェルト嬢ちゃんが思ってるよりずっと、オレはあの爺さんにビビってるよ」


「へっ、そうかいそうかい。ま、アタシのロム爺はすげーかんな。……アタシを出し抜こうとしたのは、絶対に許さねーけど」


『そっちはそっちで根深そうだ。痛み分けってのは実際そうらしいな』


 バルガへの称賛に、機嫌が自前で乱高下するフェルトに『アルデバラン』が苦笑。その『アルデバラン』の言葉に、彼女は笑う龍の顔を見上げて、


「そういや聞きたかったんだが、テメーはボルカニカじゃねーのか?」


 どこまで事情を共有するかは難しいところだが、フェルトが『アルデバラン』に抱いた疑問は、『死者の書』のインストール前の『神龍』を知っていれば当然のものだ。それを無視してぎゃあぎゃあと騒がれても、道中の苦難が増える一方になるだろうが――、


「エミリア姉ちゃんのとこの兄ちゃんか……兜ヤロー、テメーみてーな喋り方だぜ」


「……あれじゃ売れねぇって事務所判断で、今キャラが迷走してるとこなんだよ。あと、その兜野郎って呼び方もやめようぜ。アルデバランだ」


「アルデバラン? もっと短くなかったか?」


「そいつも帯に短し襷に長しって感じで売れねぇって事務所判断でな」


 そうおざなりに応じ、アルデバランはフェルトへの詳しい説明を後回しにした。

 どのみち、ここから先もフェルトを連れ歩くなら、アルデバランでなくても『アルデバラン』が彼女に話をしてしまうだろう。史実に名高い『神龍』が、どうして軽薄で不真面目なピエロになっているのかを。


「とにかく今は、計画の修正だ。あと、約五日しかねぇ」


 フェルトたちとの戦いを間に挟んで、計画は大きな修正を余儀なくされる。

 とはいえ、合流を先送りにするはずだった『アルデバラン』がいるのは、道中の行程を大幅に縮めるために役立つと、そう前向きに捉えることも可能なはずだ。

 本来、北に集結させるはずだった王国軍を、計画よりも陽動し切れていないだろうことが気掛かりではあるが――、


「ちなみに、ここにフェルト嬢ちゃんを縛って転がしてく選択肢はねぇんだよな?」


『アタシを見てろって、そう言われてなけりゃぁまだなぁ』


「強制力はねぇんだろ」


『ねぇよ。あくまで、頼みを何でも聞いてやりてぇって気持ちがあるだけ』


 かなり重症な答えに、アルデバランは頭を抱えたい気分だ。

『剣聖』ラインハルトに、『大参謀』バルガ・クロムウェル、ついには『神龍』ボルカニカまで味方に付けるなんて、フェルトの上にはいくつの宿星が瞬くのか。


「そんな星共に、アルデバランさんが負けてたまるかよ」


 辛勝と痛み分けと不発弾を抱えた気分なのは否めなくとも、アルデバランがここまでの状況を死に物狂いで乗り越えたことも事実だ。

 今はその事実を忘れずに、ここから先へ進むための戒めと道しるべとする。


「で? テメーらはこっからどこで、何するつもりでいやがるんだ?」


「――――」


「それも話せねーってか? 釣った魚に餌やらなすぎて、マズい思いをすんのはそっちの方かもしんねーぜ、アルデバラン」


 そうアルデバランを名前で呼んで、フェルトは八重歯を見せた笑みを作る。

 彼女の首にはヤエがかけた鋼糸が巻き付いていて、自分で提案した通りの人質状態だ。にも拘らず、戦う気概を全く緩めていない少女の眼光に、アルデバランはいくらかの逡巡を噛み殺して、告げる。

 フェルトが口にした疑問の答え、すなわち、アルデバランの目的地――、


「――カララギの真ん中にある、モゴレード大噴口にいく。あそこはこの世界で唯一、誰も手を出せないところに繋がる穴だ。そこに、捨てなきゃならねぇもんがあるんだよ」


「……それだけのために、こんだけのことしでかしてんのか?」


「ああ、そうだよ。必要なんだ。――オレがオレであるために」


 その行為の意味までは想像できないだろうフェルトに、アルデバランはそれ以上の想像を手助けさせるつもりはないと、言葉の強さでわからせる。

 それを受け、フェルトが赤い双眸を細め、何かを言いかけてやめた。――たぶん、言いかけたことが、もうどこにもいない彼女のことなのだと、わかったけれど。


「――っ! う、うお!? な、なんだなんだ!? どうなった!? おい! アルデバラン! メイド! 何がどうなって……クソ! 背中が痛ぇ!」


 その、アルデバランたちの神妙な空気を、ようやく目覚めたハインケルがやかましく不細工に打ち壊したのを聞いて、あの戦いの終わりを実感できた気がする。

 それはそれはひどく、ハインケル本人には不本意な感謝に違いなかったけれど。



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― 新着の感想 ―
神龍がフェルト(正統王室)の血筋を気にかけるのが カペラ ルグニカもおそらく本当にそうなら 色欲にも利用されかねなくないか?
妄想だけど、ここでスバルが過去にタイムスリップするみたいな感じなのかな?フリューゲルの正体ってまだ判明してなかったよね?
アル=スバル説なんて8章の時点ですでに消えてる。 アルはエキドナに作られた存在であることが判明したし、外伝で明かされたアルの素顔はスバルとは別人だったからな。
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