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第七章58 『寄る辺なきモノたち』



 ――タリッタが、『天命』にまつわる悪夢に苛まれ始めたのは三年前のことだ。


 それまでタリッタは、『天命』なんてものとは無縁の人生を送ってきた。

 無論、『星詠み』などと呼ばれる存在についても全くの無知だった。


 ――『天命』と言われ、人はどんなことを思い浮かべるだろうか。


 運命や宿命、己の人生を歩く上で避けられない試練や障害。

 それらを思うのであれば、天命はそれらとは明確に異なる。それらは庇のない道を歩く最中に降る雨の如く、防ぎようのないもののことだ。

『シュドラクの民』にも、そうした避けられない出来事への理解はある。


 有体に言えば、『死』こそが最も避け難き運命と言えよう。

 老いや病気、飢えに傷と、『死』にまつわるものは避け難く、必ず訪れる運命の幕だ。

 誰であろうと、運命には逆らえない。また、逆らうべきではないと考える。


 同胞が死ねば、その魂が安らぎの内へ迎えられることを祈り、歌う。

 歌い、宴をして見送るのがシュドラクの流儀であり、タリッタの信じる価値観だ。

 姉のミゼルダは、シュドラクの中でも傑出したシュドラク。その姉ほどではないが、タリッタも代々族長を継いできた家系の血を継ぐもの。

 シュドラクであることは、タリッタにとって疑うべくもない真理だった。


 シュドラクの教えに従うことは、疑問を抱く余地のない当然のこと。

 元々、物事を考えるのが得意ではないタリッタだ。わざわざ思い煩って、自分で自分の悩み事を増やすような真似、しようなどとも思わない。

 自分の人生は姉の後ろに続いて、そして『シュドラクの民』という己に流れる血と道行きを同じくする同胞たちと、始まりから終わりまでずっとあるものと思っていた。

 それが自分の運命であり、宿命なのだと――、


「――ねエ、タリッタ。私、『星詠み』に選ばれテ、天命を授かったノ」


 ――そう、最も身近な『魂の姉妹』に打ち明けられるまでは。



                △▼△▼△▼△



「――帝国の滅び、その『大災』とは別物か」


 決意を揺すられ、足下がおぼつかないタリッタの前で、鬼面の男が正面を見据える。

 遠目に見える蠢く漆黒、一目で『大災』と本能が理解するそれを、しかし、男――アベルは恐るるに足らずと嘲笑う。


「ならば、途上に躓く道理はない。――盤面から消えてもらうぞ、慮外者」


 お呼びではないと、あれだけの暴威にはっきり言い捨て、アベルが前に踏み出す。

 途端、その傍らで「待って待って!」と小さなミディアムが声を上げた。彼女はアベルの服の裾を掴むと、体いっぱいでその動きを引き止めて、


「急にやる気になったね!? でも、アベルちんじゃ危ないよー!」


「たわけ。やるべきはそもそも定めていた。あれが本命の『大災』であれば、こちらの備えに不足が過ぎると嘆こう。だが、そうでないなら……」


「そうじゃなかったら?」


「あれは本命の前の座興に過ぎぬ。座興に付き合う暇はない。となれば、早々に幕引きとさせる。――貴様も、遠目に見ていれば気付けよう」


 顎をしゃくり、アベルが『大災』を示してそうミディアムに問う。が、ミディアムはそう言われ、意図がわからない様子で顔をしかめた。

 彼女はアベルと『大災』を交互に見比べて、


「全然わかんない! もったいぶるの、アベルちんの悪い癖!」


「貴様の知恵の巡りの悪さを、俺の責任とするのか」


「だーかーら! あたし、納得できないなら邪魔するの! アベルちん、自分で自分の邪魔してるんだよ! 頭いいならわかるでしょ!」


「――――」


 地団太を踏み、頬を膨らませるミディアムはアベルの裾を離さない。

 開き直りもいいところなミディアムの発言だが、それに取り合う時間も惜しいと考えたのか、アベルは小さく吐息を挟むと、


「あの『大災』を止めるため、あの娘とヨルナ・ミシグレ、カフマ・イルルクス、そして魔都の住人が奮戦しているが、気付かぬか」


「む~、また悪い癖?」


「――。あれには意思がある。明々白々たる、人の意思が」


 アベルがそう語り、ミディアムが「意思?」と首を傾げる。

 そのミディアムの疑問に、後ろで棒立ちのタリッタも眉を寄せた。あの、この世の終わりを具現化したような『大災』に意思があるなどと。

 その上、アベルは『人』の意思と言った。あれのどこに、そんなものが介在するのか。

 そもそも、あれを生き物のように見なすなんて発想すら浮かばない。


 ぶよぶよと、蠢く全身で世界を削り取っていく姿は、ただの終焉そのものだ。

 それに意思があるなどと、いったいアベルは何を見て判断したのか。

 そう、タリッタとミディアムが同じ疑問に行き当たると――、


「先のあれは、貴様たちに手を伸ばしたのだ」


「え?」

「――ぁ」


 不意打ち気味のアベルの言葉に、二人は間抜けな声を漏らす。

 ミディアムは心当たりがなく、タリッタは微かな違和があった。――落ちてくる影から二人を連れ去ったとき、タリッタも感じたのだ。

 あの、恐るべき漆黒から、わずかな執着のようなものを。


「大方、腹の内でもがくものの意思が反映されているのだろう。救いを求め、片端から手を伸ばし続けている。見よ」


 息を呑むタリッタの前、アベルが今度はその手を伸ばして『大災』を示した。

 その仕草につられ、目を向けたタリッタたちは目を見張り、アベルの指摘を理解する。


 魔都の中央、崩れた紅瑠璃城の代わりに鎮座し、周囲に容赦のない破壊と終焉を撒き散らして拡大する『大災』――漆黒の影を伸ばし、薙ぎ払い、終わりという自らの内に取り込まんとするそれが狙うのは、いずれも建物や大地ではなく、人間だった。

 それも――、


「――ルイちゃんと、ヨルナちゃんばっかり狙われてる?」


 掠れたミディアムの呟き、それと同じ印象をタリッタも抱いていた。

 遠目に『大災』との激しい攻防を見ていれば、影の狙いに偏りがあるのがすぐわかる。

 主に狙われているのは、右へ左へ大立ち回りを繰り広げるヨルナと、引きつけた影を一瞬の移動で回避しているルイの二人だった。


 そのルイの凄まじい動きにもタリッタは目を見張るが、破壊的な力を振るうヨルナの攻防力も常外の実力者たる『九神将』の証左。

 しかし、そのヨルナに匹敵する制圧力を発揮し、『大災』のもたらす被害をたびたび最小限に抑える茨使い、『虫籠族』の男も実力では引けを取るまい。なのに、建物を投げる魔都の住人も含め、そちらへ飛ぶ攻撃は流れ矢のようなものだけだった。


「ルイちゃんも狙われてるんなら、強い人から順番ってわけじゃないよね」


「力量のみを問えば、カフマ・イルルクスとて遠く劣るものではない。だが、俯瞰して見れば自明の理だ。あれには意思がある。ならば、俺が動くのは理に適う」


「ド、どうしテ、そんなことが言えるんでス……?」


「決まっている。あれが俺を好ましく思っているはずがない。縋るために手を伸ばすというなら、俺など候補にも挙がらぬだろう」


 淡々としたアベルの物言いに、タリッタは不可解なものを覚えた。

 あの『大災』が意思あるものと、そう存在を定義するアベルの考えはわかった。だが、それを踏まえても、あの『大災』の判断基準を見抜けるのはおかしい。

 まるでアベルには、あの『大災』の意思が誰のものなんかわかっているようで。


「――ナツキ・スバルだ」


「――ッ!?」

「え!?」


 そんなタリッタの疑念と、ミディアムの無理解を後ろから押し出すように、アベルは『大災』を見据えながら、二人に言い切った。

 凝然と目を見開く二人を見ながら、アベルは深く顎を引いて、


「あれはナツキ・スバルの内より溢れたものだ。なれば、奴の意思が介在したとて不思議はない。元より、秘め事の多い男とは思っていたが、これほどとはな」


「ま、待ってよ、アベルちん……あれが、あれがスバルちんだって言うの!?」


「厳密には、ナツキ・スバルの意思の反映を許すもの、だ。あれを奴そのものだとも、奴が従えているとも言わぬ。――どちらでも、結果は同じだ」


「アベルちんは、なんでそんなに平気そうなの!?」


 丸い目を見開いて、そう泣きそうな声でミディアムが訴える。

 その彼女の小さな姿を見下ろして、アベルは鬼面越しに黒瞳を細めた。まさしく、感情的なワガママで大人を困らせる子どもを軽蔑するように、


「平気に見えるか? 奴が内よりあれを溢れさせたせいで目論見は崩れた。再考する必要があるが、今はその時間がない。それでも、俺が平気に見えると?」


「違うよ! 違う、そうじゃないってば! そうじゃなくて……スバルちんが助けてって言ってるんでしょ? なのに、なんで平気なのって聞いてるの!」


「――あれの苦しみに寄り添えば、目の前の事態が収拾するのか? 生憎と、現実はそれほど柔軟でも友愛に満ちてもいない」


 ミディアムの懸命な言葉は、しかし、アベルの鋼の心を揺さぶれない。

 それは彼が冷たく、人の心がわからない――否、人の心を重視しない人間であり、同時に何を優先すべきなのか切り分けられる人間だからだ。

 上に立つもの、為政者や指導者が持ち合わせなければならない資質。

 族長の座に就かなくてはならないタリッタにも、同じものが求められるのだろう。

 だが――、


「私にハ……」


 アベルのような考え方も、決断力も抱けない。

 ましてやミディアムのように、嫌なことに嫌だと真っ向から声を上げることも。


「ここで言い合う時間も惜しい。俺はゆく。ヨルナ・ミシグレと話さねばならん」


「……ヨルナちゃんと? でも、どうやって?」


 これ以上の問答には付き合えないと、アベルが前に足を進めようとする。だが、彼の言葉に口を挟むミディアム、彼女の視線がその前進の困難さを雄弁と物語った。

 アベルが向かうと宣言した先、ヨルナと話そうとすれば、待ち受けるのはあの暴れ狂う『大災』との最前線だ。


 超越者たちをして、一瞬の判断が生死を分ける戦場。

 そこへアベルがのこのこと進み出ても、命を危うくするだけなのが目に見えている。それこそ、戦いの趨勢を変えるような一手にも届かずに――。


「――――」


 戦いの趨勢を変える一手と、そう考えるタリッタの全身が凍り付く。

 あるいは、それを選択肢として持つのはタリッタだけなのかもしれない。あの、おぞましい終焉を撒き散らす『大災』、それを鎮める術はタリッタにしか。

『大災』を退けるために下された天命、それを知るタリッタにしか――、


「――あたしも、前に出るよ」


「なに?」


 大いなる決断を目前に、身を震わせるタリッタ。

 そのタリッタの傍ら、そう言い切ったミディアムにアベルが声に疑念を交える。自分を引き止める幼い少女、その心中を覗くように黒瞳が揺らめき、


「貴様、何を考えている? そも、俺の話を聞いていたか? 俺が前へ出る根拠は、あれが俺を好ましく思っていないことだ。そこへ貴様がくれば……」


「わかってるってば! だから、一緒にはいかない! あたしがいくのは、ルイちゃんとかヨルナちゃんが戦ってるところ! スバルちんに、あたしを見つけさせるの」


「――――」


「アベルちんの考えた通りなら、スバルちんはあたしに手を伸ばすんでしょ? それならルイちゃんたちの苦労もちょっぴり減るよね? アベルちんも狙われないかも」


「俺は元より、狙われる可能性は低い」


「もっと狙われないかも! でしょ!?」


 ぐっと前に踏み出し、ミディアムが自分の立候補を強調する。

 一瞬、アベルがミディアムの提案を真剣に検討するのがわかった。彼女の言う通り、『大災』の狙いがスバルの意思を反映するなら、ミディアムが狙われる可能性は高い。

 しかし、不安なのはやはり小さくなり、動きが悪くなっているミディアムだ。


 彼女が『大災』の注意を引く役を買って出ても、その役割をほとんど果たせないまま影に呑まれる可能性は十分ある。そうなれば、周囲の精神的な動揺も生じる。

 他ならぬタリッタ自身、ミディアムが失われて平気でいられると思えなかった。

 元気で溌剌、物怖じせずに接してくれるミディアムは、タリッタにとっても好ましい相手の一人だ。彼女の兄、フロップにも顔向けできない。


 ――ならば、今の自分は誰かに顔向けできるというのだろうか。


「却下だ」


「アベルちん!」


「一瞬考慮したが、その状態では囮の役目も満足に果たせまい。貴様の死が周囲に与える影響の方が懸念材料となりかねん。そのような賭けには出れん」


 足踏みするタリッタの隣で、アベルが同じ懸念からミディアムの提案を却下する。

 しかし、歯噛みするミディアムの瞳は納得していない。このままでは、アベルの意見を無視して戦場へ飛び出し、『大災』へと声を張り上げかねない。

 そんな危うい場面に――、


「――だったら、ミディアム嬢ちゃんはオレが守る。それなら文句ねぇだろ」


 瓦礫を踏みしめ、新たにやってきた人影の声が割り込む。

 その聞き覚えのある声に、タリッタたちは三者三様に振り返り、その相手を見た。


 太い右腕に青龍刀を下げ、その顔を不細工なボロ切れで覆った不審な見てくれ。さして実力者と感じたことはなかったが、何故かこの瞬間、この場においては目を奪われるほどの闘気を漲らせ、そこに立っている男――アルを。


「アルちん!? おっきくなって……元に戻れたの!?」


「ちょうど、出戻った爺さんと出くわしてな。宿に兜取りに戻る暇はなかったもんで、しばらく不格好だが見逃してくれや」


「全然、カッコいいよ! でも、お爺ちゃんがいるなら……」


 顔に巻いたボロ切れ以外、元の状態に戻ったアル。彼の言葉にミディアムが声を明るくし、それから周囲をきょろきょろと見回す。

 当然、同じ状態のミディアムも、元に戻る選択肢を選びたいところだろう。

 だが、そのミディアムの様子にアルは「悪ぃ」と一言添え、


「悪ぃが、爺さんは連れてこれなかった。賢く立ち回るんだと」


「う~、そっか。うん、わかった! でも、アルちんだけでも戻れてよかった! もう、怖いの収まった?」


「……怖いのは、たぶん一生収まるもんじゃねぇんだわ」


 希望を取り上げられ、一瞬だけ目を伏せたミディアムが即座に切り替える。そんな彼女の言葉を受け、アルは声の調子を落とし、首を横に振った。

 その声色には、隠し切れない恐怖と不安が滲んでいる。あの『大災』を前にすれば、誰もが本能的な恐怖を抱く。誰も、それを責められない。

 しかし、アルはそんな偽らざる恐怖を抱えながらも、


「それでも、やらなきゃならねぇ。……運命様、上等だ」


「アルちん……」


 ぐっと、握った青龍刀を掲げるアルの決意に、ミディアムが感銘を受けた顔をする。

 そんな両者の会話に、小さく「ふん」と鼻を鳴らす音が割り入り、


「震えて縮こまった醜態から、ずいぶんと大口を叩くものよ。あのオルバルト・ダンクルケンに、他者を鼓舞する能などないはずだが」


「そりゃ間違いねぇよ。あの爺さんはとにかくムカつくことだけ言ってった。別に、それで何くそって立ち上がったわけじゃねぇ」


「ならば、何が貴様を立たせた? ああして動けなくなった貴様を、この先の策のうちに含めて構わぬと、どうやって俺を納得させる?」


「――――」


 ミディアムに裾を掴まれたまま、足止めされるアベルがアルに問いかける。

 鬼面越しの冷徹な瞳は、今も奪うべき勝利のための思考を続けているのだろう。そこに加わるため、アルはどうやってアベルを説得するのか。

 アベルの眼差しを向けられ、息をするのも苦しくなるタリッタには想像もつかない。

 そんなタリッタとアベル、そしてミディアムと三人の注視を受けながらアルは――、


「悪ぃけど、アベルちゃんの納得のために言葉を尽くしたりしねぇよ」


「ほう」


「オレの主人は、あのエロ可愛い姫さんだけさ。こうやってくっついてきたのも、兄弟の手助けをするため……なら、オレはそれをやる。オレの動きは、アベルちゃんが勝手に計算式にでも何でも組み込んでくれや」


 開き直った態度で言い放ち、アルが自分の肩に青龍刀を担いだ。その清々しいまでの割り切りは、鬼面に覆われたアベルの表情を微かに強張らせる。

 しかし、それが意に沿わない答えだとしても、アベルにはアルを追い払う力も、引き止めるだけの関係値もない。まさしく、アルの思惑通りだ。

 どうあれ、アルの存在はあるものとしてアベルは策を組み立てなくてはならない。


「正気に戻れば戻っただけ厄介な道化よ。どう挑む?」


「企業秘密。――まぁ、ミディアム嬢ちゃんは死なせねぇよ。ついでにアベルちゃんも守ってやるから、心配しなさんな」


「アルちん……」


『大災』の暴れようを目の前にしながら、アルの答えはあまりに力強い。

 その言葉にミディアムが目を見張るのは、アベルの語った『醜態』からアルが立ち直ったことへの驚きと、敬意の表れだった。

 故に、ミディアムはその小さな体いっぱいで大きく頷くと、


「あたし、アルちんと頑張る! アベルちん、それでいい?」


「――。元より、貴様たちの存在は策のうちに入れていない」


「そりゃありがてぇ。計算外の戦力って字面だけで、特別扱いされてる気がして気分が上がってくるってもんだ」


 アベルの答えに肩をすくめ、前に出るアルにミディアムが並ぶ。そうしてようやく、ミディアムはアベルの袖から手を離した。

 解放された腕を振り、アベルは小さく吐息し、『大災』へと向き直る。

 そして――、


「――タリッタ」


「ァ……」


「背中を狙うなら好きにせよ。だが、心せよ。――天命に従うか否か、結局、貴様は自ら選ぶ他にないのだと」


 タリッタの方を振り向かず、背中越しにそれだけ聞かせ、アベルの足が戦場へ進む。

 彼と同じ方向を向くミディアムとアルも、その前進に付き合う様子だ。


「――ッ」


 タリッタだけが、前へも後ろへも動かれず、三人の背を見送るしかない。

 今しがた、アベルに言われた言葉が何度も何度も、自戒のように頭の中に響き続ける。手に持った弓に矢をつがえ、アベルの背中を射れば話は簡単だ。

 だが、簡単な話にポンと飛び込めるなら、タリッタはこうも思い悩まない。


「天命に従うカ、逆らうカ……私ハ。私、ハ……」


 ぐっと唇を噛みしめて、タリッタはじわりと込み上げる熱を堪えながら俯いた。

 握りしめた矢を持ち上げる決意も、胸にわだかまる思いを吐き出す勇気も持てない。

 ただ激しい揺れと轟音が支配し、壊れていく魔都の中、タリッタは俯く。


 ――いつかと同じように、流され、星に嘲笑われるだけのように。



                △▼△▼△▼△



 猛然と、押し寄せる漆黒の闇を防ぎながら、ヨルナの胸中に風が吹き荒れる。


「――――」


 煙管を振るい、生まれる紫煙を壁にして『大災』の攻撃を阻み、拡大を抑制する。

 合間に都市の一部を砲弾として撃ち込み、『大災』へと一欠片でも傷を与える。

 それらを繰り返し繰り返し、掠めるだけでも命を落としかねない伸びてくる影に対処しながら、可能な限りの対処に心身を全力で傾ける。

 しかし、こんなジリ貧の行動は長続きしない。


「――っ、何を弱気になっておりんすか」


 自分の胸に差し込む弱気に、ヨルナは美しい唇を歪めて反論する。

 効果があろうとなかろうと、アベルに切った啖呵の言葉を引っ込めるつもりはない。この都市はヨルナのものであり、都市を生きるものたちはヨルナの庇護下にある。

 行き場のないものたちにとっての最後の砦、それを失うわけには――、


「ううあああうううう!!」


「童……!」


 不意に、ヨルナ目掛けて降り注ぐ大量の黒い汚濁。それにヨルナが対処する前に、横っ跳びに現れた小さな影がその腰に飛びつき、瞬きの直後に世界が変わる。

 一瞬、ぐらと頭が揺れる感覚があるが、直後に数メートル横を暴威に削られる大地を見て、自分が守られたのだとヨルナは理解した。


 それをやってのけたのは、金色の髪を一つにまとめた青い瞳の少女――ルイだ。

 細い肩を荒く上下させながら、愛らしい顔に険しい色を交えたルイは、その丸い瞳を悲痛に見開いて、じっと『大災』を睨みつけている。

 ただ、彼女が見ているのは『大災』そのものではなく、その内にいるものだ。


「あの童を、案じておりんすな」


「うあう……!」


 ヨルナの言葉に短く答え、再びルイの姿が手毬のように跳ね、『大災』へ向かう。

 そして、ルイは『大災』の上部――ぶよぶよと不定形の『大災』に頭なんてないが、もしもあるなら頭に当たる部分の周囲を跳ね回り、注意を引く。

 そのルイの小さな体を狙い、次々と放たれる影の腕は百に近く、その全てを回避し、被害の拡大を防ぐルイの貢献は計り知れなかった。


 もしも彼女がいなければ、ヨルナと魔都の住人だけで『大災』を押さえ込めたとは到底思えない。それが、ゾッとする。


「使え! 娘!」


「あう!」


 そのルイの突破力を手助けするのが、その両腕から伸びる茨を用いるカフマだ。

 彼はその膨大な制圧力を誇る茨を足場に提供し、ルイの回避行動を手際よく助ける。もちろん、逃げ遅れる彼の茨は『大災』に呑まれるが、カフマにその影響はないらしく、その生真面目な風貌から察せられる通り、いぶし銀の活躍が続く。


 そうしたルイやカフマ、ヨルナの攻防の裏に隠れ、些少ながらも『大災』に対して抵抗を続けている魔都の住民たち。その片目に炎を灯したものたちは、ヨルナの『魂婚術』の影響下にあり、その力を底上げされている。

 だが、力の底上げには個人差と限界がある。

 ましてや、ヨルナの『魂婚術』は、より弱いモノに肩入れする性質だ。


 弱いモノを強いモノと向き合えるようにしても、強いモノをより強いモノたちと渡り合えるようにする代物ではない。

 こればかりは魂の質の違いであり、ヨルナに左右できるものではなかった。

 故に――、


「――まだ、ほんの数分」


 途方もなく、果てしない時間が流れたようにさえ感じるが、あの『大災』が紅瑠璃城を呑み込み、ヨルナたちの全力の戦闘が始まって数分しか経過していない。

 にも拘らず、ヨルナたちの消耗は無視できる範疇には収まらないものだった。


 死地の中、常に致命傷に神経を張り巡らせる環境とはそういうものだ。

 それこそが、真の武人とされるものたちと、ヨルナ・ミシグレという、たまたま力を授かっただけの女との違いであるのだろう。


 真の武人たちであれば削り切れるかもしれない『大災』に、何の思慮もなく挑んで勝ちをもぎ取れるほど、自分は恵まれた存在ではない。

 その自覚こそが、ヨルナ・ミシグレという魔都の支配者の強みでもあるのだと。

 そして――、


「うおりゃあああ――!!」


 ジリ貧と思われる戦場に、威勢のいい掛け声と共に新たな戦力が投入される。

 まさしく、投げ込むという言葉が相応しい勢いで飛び込んできたのは、その手に蛮刀を構えて突進する小柄な少女だった。


 溌剌とした雰囲気そのままに、長い三つ編みを躍らせる少女の乱入は、ヨルナを含めた戦場の全員の意識を困惑へと導く。

 当然だろう。少女が一人、戦場に加わったところでどうなるというのか。ただ、蛮勇を振るってしまっただけの、勇ましさが仇になる少女の姿にしか見えない。

 しかも、おかしな乱入者は彼女一人ではなかった。


「いくぜ、ミディアム嬢ちゃん! 堂々、オレらの参戦だ!」


 そう吠えるのは、少女の背後に着地する青龍刀を担った覆面の男だ。

 昨日、天守閣に使者として訪れた一人だが、あのときとは違って兜ではなく、覆面で顔を隠している上、青龍刀の構え方が異様だった。

 何故か、その青龍刀の刃を自分の首に宛がい、危険な姿勢で駆け出しているのだ。

 あれでは何かの間違いで、うっかり自分の首を斬り落としかねない。


 とにかく、困惑だけを呼び起こす二者の乱入に、戦場の空気がわずかに凍り付く。

 しかし、その凍結が影響を及ぼしたのは、この乱戦に意識を割く防衛側だけ。――意思らしい意思を持たない『大災』に、闖入者への驚きはなかった。

 それでも、『大災』にも煩わしいという感覚はあるのか、放たれる影の大部分がヨルナやルイではなく、駆け出した少女へ向かったのは変事だ。

 それを守らなくてはと、ヨルナもとっさに動きかけるが――、


「右! 足場踏んで飛べ! 瓦礫に爪先引っかけて、今度は上!」


「うんりゃ!」


 覆面の男の叫びがあり、それに合わせて少女が弾む声を上げる。

 男の言いなりに少女が右へ飛び、瓦礫の破片を踏んで前へ飛んだ。その先にある瓦礫に少女の足が届くと、指の力を使って大きく上に飛ぶ。


 その少女の動いた位置を順番に影が撫で、削り、押し包む。

 しかし、少女はかろうじてそれを躱し切り、無事を勝ち取った。


「あれは……」


 昨日の天守閣、ヨルナの提案した勝負に乗った使者たちが、皇帝――否、皇帝に扮したものの指揮する一団に狙われ、攻撃されたときにも目にした光景だ。

 あの覆面の男は、カフマの茨やオルバルトの攻撃に対しても、防ぐ手立てを味方に指示して危機を脱した。それ以外、特別優れた能力のなさそうな男が、だ。


 恐ろしく勘がいいのか、それ以上の理由があるのか。

 おそらく後者と見ながらも、その理由の正体には見当がつかない。

 それでも、状況が変わった。


「アルちん! 次は!?」


「急かすな、神経使うんだよ! おい、そっちの入れ墨の兄ちゃん、手伝え! オレが指示する! あいつの動きを邪魔してくれ!」


「断る! 何故、自分が貴公のような得体の知れない輩に……」


「上だ! 茨をでかく広げろ!」


「む!?」


 少女に言われ、声を上げる覆面の男――アルと呼ばれる男がカフマに呼びかける。

 当然、カフマは実力の知れない相手に従うまいとしたが、アルの叫びに呼応して押し寄せる漆黒の影が、言い合っている場合ではないと証明する。

 とっさに屈み、手を頭上に掲げるカフマの腕から茨が広がり、影の大波が茨の上を流れるように軌道を変えた。


 無論、全てを削り取る影に茨は耐え切れないが、稼いだ一秒でカフマが命を拾う。

 隙間に飛び込み、難を逃れたカフマが「貴公……!」とアルを睨んだ。


「あの『大災』の動きを読めるのか?」


「ちょいと因縁があってな。話を聞く気になったか?」


「――。被害を減らすためなら致し方ない。だが、出任せならば許されんぞ!」


「思ったより融通が利くな、助かるぜ」


 カフマが素直に優位性を認めると、アルが苦笑しつつも前に出る。

 そして、再び少女とカフマに指示し、自らの首に青龍刀を宛がった状態で、『大災』相手の最前線の指揮を始めた。

 その戦いの傍ら――、


「――ヨルナ・ミシグレ」


「主さんは……」


 アルと少女の思いがけない戦力化、そこに自らも参じようとしたヨルナは、瓦礫を踏み越えて現れた鬼面――アベルの方に意識を向ける。

 先の別れから数分だが、それで考えを変えるほど可愛げのある男ではない。

 そもそも、ヨルナと彼との間にある断絶は、時間の経過で拭えるほど易いものではないのかもしれないと、そんな不穏が横たわって思えるくらいだ。

 そんなヨルナの思いを後押しするように――、


「魔都の放棄、その提案を考慮できる程度には頭は冷えたか?」


 淡々と冷酷に、アベルは一度撥ね除けたはずの提案を再びヨルナへ投げかける。

 当然だが、戦意で昂った頭に冷えるなんて言葉はそぐわない。状況と関係が変わらない以上、ヨルナの方の答えも変わらない。

 言い合うだけ無意味だと、ヨルナはその冷血な皇帝に背を向ける。


「ここが、行く当てを寄る辺をなくしたものの最後の地と、そう言ったな」


「――――」


「くだらぬ感傷という考えに変わりはない。だが、貴様の誤りを訂正してやる」


「わっちの、誤り?」


 聞き捨てならない指摘に、戦場へ戻ろうとするヨルナの足が止まった。

 この、魔都カオスフレームに関して、ヨルナが思い違いをしていることなんてありえない。ここはヨルナの街であり、住民は全てヨルナの愛し子だ。

 それらに対して、ヨルナの誤った認識など――。


「わっちが、いったい何を誤っていると仰せになりんすか?」


「寄る辺なきものが縋り、頼るのはこの都市ではない。貴様だ」


「――――」


「もとより、魔都は荒れ果てた土地と、戦乱の残骸の上に成り立った都市。象徴として建ったのは紅瑠璃城だが、真の象徴は常に天守閣にあった。すなわち、貴様だ」


 重ねて、アベルの眼差しがヨルナを見据えてそう断じる。

 その言葉の強さと真意に鼓膜を打たれ、ヨルナは頬を強張らせた。


 理屈は、わかる。だがそれは綺麗事だ。

 ヨルナが魔都の住人たちの精神的な支柱であろうと、事実として雨が降れば庇がいり、腹を空かせば食べるものがいる。

 都市はそれを用意できても、ヨルナにその全てを賄えない。


「それとも主さんは、わっちがいれば子らが空腹を堪え、雨に濡れるのも厭わぬと、そう言うとでも思っているでありんすか?」


「――言うぞ、奴らは」


「え……」


「自身の旗下に立つものを、全て乳飲み子と思っているのか? ぐずればあやされ、乳を与えられるのを待つ赤子だと。――それは、俺の見解とは違う」


 そう答えるアベルの姿に、ヨルナは静かに息を呑んだ。

 直後、激しい轟音が背後で上がり、『大災』の暴威に巻かれる瓦礫の破片がヨルナとアベルの方へと飛んでくる。その破片の一つが立ち尽くすアベルのすぐ横に着弾、衝撃が男の細身を打ち据え、その顔から鬼面を引き剥がした。


「――っ」


 剥き出しになった白い顔、微かに破片が掠めた額を血が伝い、しかし表情を小揺るぎもさせない美丈夫は、傍らに落ちた鬼面を拾い、手に握りしめる。

 そして素顔のまま、アベル――否、ヴィンセント・ヴォラキアがヨルナを睨み、


「民草は愚かだ。痛くなければ抗うことを忘れ、敵がいなくば己を鎧うことすらせぬ。災いなくしてまとまることを知らず、死を恐れるあまりにそのものから目を背ける」


「――――」


「だが、その弱く姑息な愚かさこそが、奴らを奴らたらしめる。帝国は鉄血の掟で以て民草を縛り、魔都においては貴様の在り方が住民の在り方を戒めてきた。故に」


 そこで言葉を切り、アベルは視線を彼方へ向けた。そちらにつられて目を向ければ、そこではヨルナの愛を瞳に灯し、『大災』に抗う住民たちの姿がある。

 果敢にこの都市を守ろうと、奮戦し続ける彼らの姿が。

 否――、


「奴らは貴様のためならば、飢えも雨をも耐え忍ぼう。そして、再び太陽が昇り、腹が満たされる日を、貴様と望むことを選ぶのだ」


 故に――、


「魔都を放棄せよ。奴らの行く当ては貴様と同じ。そして寄る辺は貴様自身だ」


「――ぁ」


「それとも、できぬと嘆くか? 貴様自身の望みと、どう足掻こうと重ならぬ願いに」


 言いながら、アベルが額から伝った血を袖で拭い、その顔に鬼面を被り直す。

 再び、その表情は認識阻害の裏に隠れるが、直前に言われた言葉は深く、ヨルナの胸の奥底へと突き刺さり、棘となって剥がれない。


 親書を読んだ時点から、アベルがヨルナの望みを知っているとはわかっていた。

 だが、それをこの場で引き合いに出すのは、それはあまりにも情がない。そして、その情のなさこそが、今代のヴォラキア皇帝に望まれる資質。

 だからこそ、打てる手立てというのが――、


「魔都を放棄し、あの『大災』から逃れて、どうするでありんす? あれは、この街を飲み干しても、それでも止まらぬかもしれんでありんしょう」


「この期に及んで俺を試すか。貴様もわかっていよう」


 魔都を放棄し、『大災』に好き放題にさせるという言葉の真意。

 ヨルナの問いかけに顎をしゃくり、アベルが不機嫌に応じる。その彼の仕草が示したのは、『大災』そのもの――否、猛威を振るう『大災』の足場。

 そこはすなわち、『大災』が出現した紅瑠璃城の跡地であり――、


「城を呑んだときと、同じことを魔都で行う。――呑んだ城では吹き飛ばすには足らずとも、貴様の愛した魔都であれば話は別であろう」



                △▼△▼△▼△



「――――」


 遠く、風に装いの裾をはためかせ、鋭い黒瞳が都市を滅ぼす『大災』を眺める。

 被害の拡大を可能な限り抑えるヨルナの方策は、カフマや都市の住人、そして予定外の戦力の貢献により、効果を発揮しているように見えた。

 しかし、それも長続きはしない。


 それほどまでに、あの闇そのものである『大災』の脅威は圧倒的だった。

 あるいは古の時代、人々はああしたものを目の当たりにし、世界の滅びを覚悟し、生き残りに恐怖を語り継ぐために言い伝えを残したのだろう。

 その最たるものが『嫉妬の魔女』であり、あの『大災』もそれに連なるものだ。

 ただ――、


「――帝国を滅ぼす『大災』とは、また異なる災いか」


「ですです。いやー、参りましたね。ここまでのことが起こるなんて予想外で、立場を忘れて星に文句を言いたい心地ですよ、ぼかぁ」


 腕を組み、高所に佇む男――ヴィンセントの傍らに、同じものを見ながらしゃがみ込んでいる青いローブの『星詠み』がいる。

 道中、前触れもなく合流したこの男は、あの荒れ狂う『大災』に対して、「とーにーかーく、ぼくの担当外ですから!」と、責任逃れの一点張りだ。

 だが、見たものに嘘はつかないのが、この『星詠み』の数少ない美点だ。

 そんな『星詠み』が豪語する以上、あの災いと、『星詠み』が予見した帝国の滅亡とはまた異なる問題なのだろう。

 つまり――、


「お、いよったいよった。ったく、結構焦ったんじゃぜ」


「おーやや、オルバルト翁」


 思惟に目を細めるヴィンセントの背後、軽い気配と共に老人が現れる。先んじて『星詠み』に名を呼ばれ、老人――オルバルトが「おうおう」と頷いた。

 そのまま隣に並んでくるオルバルトを横目に、ヴィンセントは眉を顰める。


「貴様、右腕はどこで落とした」


「さすが、目敏いんじゃぜ、閣下。実は右手は閣下の懐に忍ばせてんのよ……って話なら笑えんじゃがよ。あの、でっけえ影に呑まれちまったい」


「なーるほど。それはかなり痛そうな経験でしたね」


「おお、痛ぇのなんのって。この歳でぴいぴいガキんちょみてえに泣き喚いっちまうところじゃったぜ。恥ずい恥ずい」


 ひらひらと、手首から先のない右手を振ってオルバルトが嘯く。

 そのオルバルトと『星詠み』の茶番を余所に、ヴィンセントは再び戦場を見た。


 紅瑠璃城の跡地で蠢く『大災』と、それを押しとどめる都市の戦力。

 すでに、あの『大災』を退けるための方策はヨルナへと伝えられているだろう。

 あとは――、


「それにしても閣下、こんなとこで悠長にしてっていいのかよぅ?」


「大事ない」


 首を傾げるオルバルトの言葉に、ヴィンセントは静かにそう応じる。

 ヨルナに策を伝え、説得するのはあちらの役目だ。その代わりに、ヴィンセントの方もヴィンセントの方で果たすべき役割は弁えている。

 故に――、


「手は打った。――ヴォラキア皇帝、ヴィンセント・ヴォラキアとして打つべき手を」



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― 新着の感想 ―
飢えをメンタルでどうにか出来るみたいな言い方してる時点でただの詐欺師
[一言] げぇこれアル失敗するたびに自殺を繰り返してるよね…
[良い点] 過去のタリッタさんは『天命』とも『星詠み』とも無縁に生きてきた 『天命』は抗いようもないほどのものなんですね 『死』に匹敵するほど誰もが避けられないと納得してしまうほどの事象 タリッタさ…
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