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Re:ゼロから始める異世界生活  作者: 鼠色猫/長月達平
第五章 『歴史を刻む星々』
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第五章61 『領域の被害者』

 隻腕に青龍刀を構えて、啖呵を切った男にカペラは小首を傾ける。

 長い黒の三つ編みがその白い肩をこぼれ落ち、腕を組む彼女は豊満な胸を強調しながら前屈みになり、妖しげな視線を兜の男へと投げつけた。

 妖艶に男を誘う眼差しは、罠とわかっていても男の本能をくすぐる魔性だ。

 ただし、そんな魔性も、通用するかは相手によりけりだ。


「エロい動作中にアレだが、誘惑狙いならオレにゃぁ効かねぇよ。こっちゃ筋金入りの童貞思考……行きずりのお姉ちゃんに欲情とか難易度高すぎて笑えてくらぁ」


「自分を貶める軽口と適度な牽制……アタクシにその狙いが通用するかは別として、食えねー男の雰囲気がしやがりますよ。道化を気取って油断を誘って、その太いモノで何をしてくれやがる気なんですかね?」


「女が下ネタ乱発すんなよ。正直萎えるわ」


「――――」


 カペラの挑発的な眼差しが、男の受け答えに唖然としたものになる。その驚きもすぐに消えて、カペラは心底楽しげに喉を鳴らした。


「きゃははははっ! 何それ、そのナリでその歳でその発言。夢見る乙女はてめーの胸の中にしか住んでねーってんですよ。てめーも見え方と住処が違うだけで、お花畑の住人にゃぁ違いねーってわけですか。きゃー、汚してーです」


「はしゃいでるところ悪ぃが、何度も言わせんな。オレは今日はやる気ねぇんだ。いつやる気あるかって聞かれると答えに詰まるけどよ。今日は特に、だ」


 現在の容姿に似合わない素振りで、足をパタパタさせるカペラに男――アルの態度はひどく投げやりで煩雑だ。

 ポーズではなく、本心から今の役回りに不本意を感じている様子。上の二人とはずいぶん違うなと、カペラはますます不思議そうな顔になった。


「やる気がない、面倒くさい、なのにこの場所は譲らない。てめーの言葉は矛盾でいっぱいですね。それならなんでこの乱痴気騒ぎに付き合ってやがんですか?」


「自分で言うかよ、乱痴気騒ぎ」


「言うに決まってんじゃねーですか。アタクシからしたら、どーせこの世で起きる物事なんて全部丸ごと暇潰し。てめーらは全員、究極的にはアタクシのモノ。アタクシの愛は寛大で、慈悲深くて、アタクシへの愛以外は求めやしねーんですから……それ以外のことは、好きにしてやがったらいーんですよ」


 両手を広げて、カペラは毒花のような表情で嫣然と笑いかける。

 その笑みを見ていたアルは、ふっと構えていた青龍刀の先端を下ろした。そして首の骨を鳴らし、「あー」と長い息を吐きながら、


「てめぇはアレだな。オレの知ってる大罪とずいぶん違ぇんだな」


「ありゃ、他のクズ以下肉と顔見知りだったりしやがりました? 怨念慕情の変態メス肉? 器極小の童貞野郎? 人品卑しい悪食の下種ガキ? それとも筋違い勘違い思い違いの自慰精霊ですか? どれにしても交友関係最悪だと思いますが! 親に言われやがれませんでした? お友達は選べって」


「……生憎、オレの友達が親にそう言われるタイプだったんでな」


「それはご愁傷様。そんなてめーでも、アタクシの雄大な愛は包み込みますよ? その兜を外して素顔を見せて、アタクシを抱いて愛して捧げてくれるなら!」


 どれだけ冷たくすげなくされても、求愛の姿勢を貫くカペラは究極の恋愛脳だ。ここまで極端で相手を顧みない一方的な愛情略奪表現を、『恋愛』と呼ぶことに語弊があることを除けばの話だが。

 当然、彼女の不器用というより人間性を排した求愛に応じるものはそういない。

 アルは下ろしていた青龍刀を構え直し、ゆっくり首を横に振った。


「ごめんなさい。気持ちは嬉しいけど、お互いのことをまだよく知らないし、それに友達に噂とかされたら恥ずかしいからお断りするわ」


「周りの目とか気にするなんて可愛げのあるとこあるじゃねーですか。アタクシそんなにダメですかね。――女に振り回されるのが好きなマゾ性質のクズオス肉の性癖的には外れじゃねーと思うんですが」


「……あぁ?」


「傍若無人、きつめの目つき。いっそ暴力的に肉感的な体つき。背丈は今のアタクシよりは低めで、肌は結構出すタイプ。気分屋でよく喋るけど、無意味に高慢なんじゃなくて知性と自信に裏打ちされた性格。部下に任せることは多いけど、寄りかかってくることは稀。楽じゃねーけど嫌いじゃねー、立場もその女も」


 ぺらぺらと並べ立てながら、カペラの姿が視覚的にグニャグニャと変わる。

 豊満な体はそのままに背丈が縮み、衣装は肩と背中が大胆に露出したドレスへ。顔立ちは垂れ目がつり目に変化し、眼光鋭く自信家の雰囲気が溢れる。現れたのは長い金髪を下ろした美しい女性だ。

 この都市にいる関係者、その誰の現身でもないが――どこか、アルの身近な女性に似た雰囲気は漂わせている。


「――――」


「おっと、金髪じゃない? ルグニカなら該当者はこれが一番多いはずなんですがね……したら、ひょいひょいひょいの、赤……んー、橙色だ」


 アルの反応の機微を見ながら、カペラの髪の色が次々と変わる。黒、茶色、緑、青と試したところで、赤系統に入った途端に吟味、橙色に変わった。

 ただそれだけのことで、グッとその印象が余計に身近な女性のそれを帯びる。


「薄気味悪ぃ……どこで姫さんを見かけてやがった」


「見たことも話したことも意識したこともありやがりませんけど? ただ、てめーの反応から好きな顔と体を推測しただけ。アタクシ、尽くす女なんですよ? 好いてもらいたい相手に好かれるために、全力を尽くすのは当然でしょーが」


「反応もなにも、オレの面なんざ……」


「声、仕草、喋りの間。首の角度で目線、態度。会話で性格、性質、好悪」


「――――」


「一挙手一投足、見逃さない。愛されるために全霊を尽くすのが、アタクシの尽くし方。アタクシがこんなに尽くしてるんだから……アタクシを見ろ。アタクシだけを見てろ。他に目もくれるな。アタクシの顔と、体と、声と、態度と、仕草と、全部が全部! てめーの好みど真ん中ど直球のはずだろうが!」


 喋りかけながら、カペラ――プリシラの似姿に変わったカペラが声を荒らげる。その主張は快いほど一直線だが、直線が過ぎて対象を貫く刺々しい求愛だ。

 もはやアルは首を振ることも、言葉で応じることもせず、ただ全身から戦意だけを発してカペラに答えた。その無言の答えに、カペラは落胆と憎悪を浮かべる。


「この、わがままクズオス肉……アタクシの何が気に入らねーってんですかよぉ」


「勘違いすんなよ。オレはお前のこと好きでも嫌いでもねぇ、どうでもいい……ごめん、嘘。やっぱりお前、気持ち悪いから嫌いだわ」


「――っ! この浮気性の腐れクズ肉がぁ――!!」


 地団太を踏んだカペラの右腕が、肩から巨大な狼の頭部へと変形する。獰猛なうなり声を上げる獣の頭が、棒立ちのアルを目掛けて高速で飛びかかった。ずらりと並ぶ刃のような牙が、アルの上半身を丸ごと噛み砕く――寸前、アルの体は間一髪で迫る牙の隙間を掻い潜り、横っ飛びにその場を逃れる。


「それで逃げれたと思うなぁ!」


「思ってねぇよ! 横! の次は後ろぉ!」


 転がるアルの頭上に、次は強大な掌が振り下ろされる。五指を備えた巨腕は指の一本が人間の胴体に匹敵し、掴まれることは大蛇に取りつかれるのに等しい。

 しかし、アルはこの攻撃もバックステップで悠々と回避。さらには大きく迂回して腰を食い千切ろうとする狼の牙を、背中へ回した青龍刀でがっちり食い止めた。


「お、おぉぉぉ、ドーナぁ!」


 獣の突進力を殺せず、青龍刀で受け止めたままアルの体は前へ滑る。が、中途で詠唱した土の壁が床からせり上がり、獣と化した右腕を真下から突き上げた。

 顎をかち上げられた狼が苦鳴をこぼし、右腕の質量に振り回されてカペラ本体の体勢が崩れる。そこへ、左腕の猛攻を避けるアルが猛然と飛びかかった。


「ドーナ! こっちにも、ドーナ!」


「――っ!」


 アルの乱発するドーナは地属性の最下級魔法だ。

 威力も壁としての耐久度も、その最下級魔法の看板に見合ったものでしかない。それでもアルはこの魔法を、命懸けの実戦の中で最良の戦術として用いる。


 障害を作り、視界を塞ぎ、足場を生む――まさに、今この瞬間のように。


「どぉぉぉっせい!」


 形作られる土の壁が、遠間でのたくるカペラの右腕と左腕の進路を塞ぐ。さらにはカペラ本体、その眼前にも土壁が生じてその正面を覆い隠した。

 そして、それらで準備を整えたなら、アルの体は中空へ――土壁が地面からせり上がる威力と速度を利用して、バネ仕掛けのように射出される。


 雄叫びにカペラが頭上を仰いだ瞬間、その細い首を青龍刀が一閃、首が飛ぶ。

 プリシラに似た顔が宙を舞い、傷口からおびただしい量の血が噴出した。カペラの血には正体不明の毒めいた効果があり、クルシュが苦しむ原因はそれだ。

 当然、盛大に噴き出す血には触れてはならない戒めがあるが――。


「騙されるか、ペテン野郎!」


 その血溜まりに容赦なく踏み込み、アルの青龍刀が突き出される。

 剣先は躊躇わず、首をなくしたカペラの背中から侵入、胸の谷間の中央から突き抜け、殺したはずの相手にさらに致命傷を負わせる。だが、それだけには留まらない。


「っらぁ! エル・ドーナ!!」


 突き刺した体を蹴りつけ、前に吹き飛ばしてアルが威勢よく詠唱――ドーナの一段階上、エル級の魔法が青龍刀を起点に、カペラの体内で発動する。

 当然、カペラの肉体は自らの内側で膨れ上がる質量を抑え切れず、爆ぜる。


 ボン、と冗談のように間抜けな音を立てて、カペラの体がバラバラになった。手足が千切れ飛び、ピンク色の内臓と鮮やかな赤が地下空間にぶちまけられる。冷えた空気の中で肉片は湯気を立て、その末路は目を背けるには十分な結果だ。


「……どう、だ! はぁ、はぁ、こんだけやりゃぁ」


 肩で息をしながら、アルは肉片になったカペラに声を上げる。

 どうだもなにも、ここまで破壊されて生きていられる生物などあるはずがない。アルの勝ち名乗りに返答できる存在はいない、はずだった。


「あー、ひでーじゃねーですか。なにもここまですることねーでしょーに」


「クソ」


 忌々しげなアルの舌打ちは、変わらず飄々と悪辣な声に対するものだ。

 その声はバラバラの肉片からではなく、最初に斬り飛ばされた首の方角――すなわち、カペラの頭部が落ちた位置からだ。そこに転がるカペラの頭が、地面に横になったままアルの反応を愉しんでいる。


「首飛ばして、心臓ぶっ壊してもダメとか、反則だろ……」


「首飛ばされて心臓ぶっ壊されても大丈夫なのがアタクシですが……いきなりこんなに容赦がねーのも珍しいですよ。アタクシ、今、てめーの好みど真ん中の顔で誘ってたはずなんですけど、ひょっとして見立て違い? 愛情は傷付けることで表現するタイプだったりしやがりました?」


 徒労感を吐き出すアルの前で、カペラの首が持ち上がる。

 首の断面が蠢き、そこから収まっているはずのない黒い肉が溢れ出した。それが首の土台を作り、ぶよぶよの肉の塊は次第に手足を形成し、黒い表面は色白の肌に隠されて見えなくなり、元通り――否、金髪の童女の完成だ。


「……こっちの散らばる肉は?」


「いらねーんで溶けますが」


 呆れた態度のアルが目をやると、弾けたカペラの体の肉片が音を立てて溶ける。内臓や手足はぐずぐずの黒い泥のようになり、泡を浮かべて消滅した。

 消え方すら嫌がらせのようでげんなりする。


「それにしても、躊躇なく首刎ねにきやがりましたねー。上にいた……のは偽物だったみてーですが、アタクシの血を浴びて戦闘不能になった仲間がいるんじゃねーんですか? そんなビシャビシャ浴びちゃって、怖くねーんでしょーか?」


「ハッタリかますんじゃねぇよ。何の条件があんのかまでは知らねぇが、ただ浴びただけでお陀仏ってんじゃねぇのは実証済みだ。避けまくって損したぜ」


「――? 避ける素振りなんか見当たりゃしませんでしたが」


「てめぇの知らない間の話だよ。首、心臓でもダメなら、次は飛ばした頭を叩き潰してみるしかねぇか。何回かかるかね」


 やけに疲れ切ったアルのため息は、戦いが始まる直前のそれより重苦しい。カペラの厄介さを実感した影響はあるだろうが、それはこのやり取りを経た以上の重々しさを彼の両肩に背負わせている様子だ。


 ともあれ、再生し終えたカペラは今の攻防の被害は微塵も残っていない。

 変異・変貌に付け加えて、不死に匹敵するほどの再生力――殺し方として優秀な首刎ねと心臓破壊で殺せないのだから、まさに怪物だ。

 だが、殺し難いことは倒せないことと同義ではない。


「全身を氷漬けにして封印するとか、大瀑布の中に投げ込むとか手段はあらぁ」


「相手が殺せねーとなれば絶望するのが風物詩なんですが、まったくめげねークズ肉じゃねーですか。でも、威勢いいのはいいんですが、できますか? てめーは逃げ隠れと小細工は得意と見ましたが、アタクシを殺せる腕とは思えねーんですよ」


「確かにオレが百回死んでも、てめぇが殺せるかは怪しいな。実際、もう半分ぐらいいってんだが……けど、忘れてるんじゃねぇの?」


 青龍刀の峰で肩を叩きながら、アルは兜の金具をカタカタと鳴らす。その問いかけにカペラが首をひねると、剣先は頭上を示した。

 それが示すのは都市庁舎――ではなく、さらに外だ。


「てめぇがオレたちの裏を掻いたつもりで、制御搭を空けてきたのは読めてんだ。ってことは、『色欲』の制御搭を狙ってた面子は大慌てで取って返す。このまま時間稼ぎに徹してりゃぁ、自然とてめぇは詰むってわけだ」


「――――」


「言っとくが、オレぁ時間稼ぎさせたら相当なもんだぜ? あの手この手でおちょくり倒して、てめぇをここに釘付けにしてやる。だから、逃げるなら今のうちだ」


 一人でカペラを相手取るアルは、援軍の参加を理由に撤退を迫る。その言葉にカペラは怪訝そうに眉を寄せ、不審な彼女の反応にアルは「ん?」となった。


「なんだよ、その反応。この隙のない撤退勧告に文句でも……」


「わざわざ単身で敵地に乗り込むアタクシが、そのてめーらが送り出した戦力を足止めするための手を打ってねーとでも?」


「……んん?」


「筋肉ダルマとメス剣士、道すがら置いてきてるってんですよ。アタクシたちの人形の中でも、とびきり出来のいい二体……その援軍はすぐ抜けるんですかね?」


「げ!」


 想定外の展開にアルが呻き、その顔が頭上の穴を見上げる。兜の向こうの表情を読み取ったように、カペラは「ちなみに」と言葉を続け、


「てめーらの持ってるだろう対話鏡は封じさせてもらってやがりますよ? だから大慌てで連絡を取ろうとしても、どことも繋がったりしねーのです」


「なんでそんなことできんだよ!?」


「魔法器ってあれ、作ったの『魔女』らしーんで。そのツテが残ってる魔女教には色々と裏話が転がってんですよ。対話鏡の波長の乱し方も含めて」


 周到な嫌がらせの体制に、アルの口にした狙いが外れる。

 カペラの発言の真偽を確かめる術はアルにはないが、事実、都市庁舎の外では『色欲』の成敗に向かった二人――ヴィルヘルムとガーフィールはいずれも彼女の手勢と交戦中だ。怪物と奇人の戦いの最中に戻る目は低いと言わざるを得ない。

 つまり、


「こんなところで打つ手なしってんなら、そろそろ終わりにしちまいますが?」


「……手詰まり、とまでは言わねぇが」


 歯切れの悪いアルの返答に、カペラはうっすらと微笑んだ。

 そして瞬きの直後に微笑みが溶ける。再び、童女の姿は不定形の肉の塊へと変貌を遂げ、そのままカペラの質量が爆発的に膨れ上がる。


 ぐんぐんぐんぐんと、その姿形は人の形という制限を外れて巨大化。

 小柄な童女、妖艶な女性、凛々しい青年、厳つい戦士――これまでの彼女の変貌とは比較にならない勢いで肉体が肥大し、地下空間に咆哮が轟いた。

 そして瞬きのあとに現れたのは、黒い体皮を闇に同化させる黒竜だ。


「……そうか、竜にも化けられるんだったな」


 部屋の区切りがない分、地下空間のスペースは庁舎内の階層より幾分広い。が、そんな空間にあっても黒竜の巨体は容易には収まらない。

 アルの呟きに竜の金色の瞳が細められ、カペラは応じるように口を開けた。そこから、容赦のない灼熱の息吹が放たれる。


「――っ!」


 吹きつける炎に地下の空気が焼け、白く光る地下をアルが駆け抜ける。

 轟音にかき消される詠唱が、土の壁を息吹の範囲に作り出す。が、圧倒的な熱量の前に瞬間の防御の役目も果たせず焼失――しかし、アルの狙いはそこではない。


「が、ご――っ」


 息吹を放出していた黒竜の顎が、またしても突き上がる土壁の直撃を受ける。灼熱の息吹を吐く口が強引に閉じられ、黒竜は自分の炎に鼻と喉を炙られてのけ反った。

 しかし、中断前に吐き出された息吹に関しては効果が継続。範囲を逃れようと駆け回るアルの背に、緑の炎が食らいつき――、


「クソぁ! ドーナ! ぶげっ!?」


 ヤケクソ気味の詠唱に土の壁が突き出し、アルの横っ腹が殴りつけられた。その勢いでアルが吹っ飛び、炎に尻を焼かれながら水路に落ちる。が、水路の底に背をつけた直後、再度の詠唱で土の壁が直立、水面から一気に飛び出した。


「――しぃ!」


 ずぶ濡れのアルが水から飛び出す。刹那、鋭い黒竜の爪が水路の水底を抉った。水飛沫が上がり、アルを打ち上げた土壁が水の中で引き裂かれる。間一髪の回避、しかしアルへの猛攻は続く。そのことごとくをアルは避ける、避ける、避ける。


 信じられないほど狭い隙間を掻い潜り、見えないはずの背後からの攻撃を受け、身体能力で足りない回避力を自分への魔法攻撃で稼ぎ、致命傷を避ける。


「ぎ、ぃぃぃぃん!」


「ド、ド、ド、ド、ドーナぁ――!!」


 業を煮やした黒竜が巨体を回し、薙ぎ払うような尾の一撃が放たれた。

 弧を描いて暴風を巻いたその打撃に、アルは多重詠唱で同時に五枚の土壁を正面に展開――一撃の威力を限界まで減らして、自ら大きく後ろへ飛びながら青龍刀で受け、跳ね飛ばされて地面を転がり倒した。

 盛大に転がって衝撃を散らし、アルは青龍刀を杖にして立とうとする。が、ダメージは消し切れていない。

 慌てて傾けた兜の首の隙間から、下顎が盛大に吐瀉物を吐き出した。


「げっ、げほっ……クソ、今回は被害者の方で……本気でついてねぇ……!」


「そうでもねーと思いますがね。てめーの実力からしたら、何が味方したんだかわかんねーような次元で馬鹿ヅキしてると……」


 現状の苦境を嘆くアルに、黒竜カペラは不思議そうな称賛を送る。

 彼女の目から見ても、アルの必死の防戦には奇妙な違和感が付きまとっていた。見切れるはずのない攻撃、予想できない追撃、いずれもアルは自らの持てる能力を最大限に活かして生き残った。――その選択を先んじて理解していたかのように。


 しかし、それらを追及する暇はお互いになかった。

 何故なら――、


「……これひょっとして、暴れすぎちまいましたかね?」


 頭上を仰いだカペラがそうこぼすのは、地面に伝わるかすかな震動――それと、ダメージを受け続けた都市庁舎から聞こえてくる致命的な音だ。

 度重なる争いによって基礎に甚大なダメージを受けていた建物に、その土台となる地下部分での戦いがトドメを刺した。結果、カペラを落とすために用意した一階の穴がみるみる内に広がり、亀裂が床だけでなく建物全体に及んでいく。

 その先に待ち受けるのは、子どもでもわかる結論――倒壊だ。


「冗談じゃねぇ! 領域がほどけたら死ぬ!」


 上から床の一部が落ちてくるのを見て、アルは痛みを押して立ち上がった。そのまま危うい足取りで、流れる水路の中へと身を投げ落とす。

 水音が上がり、彼の体は都市の地下を流れる水流に乗って見えなくなった。そしてそれを見送ると、カペラは黒竜の様相のまま崩れる天井を見上げ、


「うーん、萎えちまいましたね。遊び疲れたし、もういっか」


 退屈そうに呟き、黒竜が欠伸する。

 その世にも珍しい光景は誰にも見られないまま、土砂崩れのように降り注ぐ建物の崩壊に呑み込まれて、押し流されていった。



※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「――ぅ」


 崩落の現場で、かすかな呻き声が上がる。

 声には瓦礫を押しのける音が伴い、少しばかり大きめの石材が瓦礫の山を転がり落ちた。と、その衝撃で山が崩れ出し、生じた隙間から白い腕が覗く。


 細い腕は何かを求めるように、ジタバタともがいて瓦礫の山を端から崩す。

 そうして数分後、ようよう廃材の山から這い出したのは、ボロボロの格好になったフェリスであった。


「けほっ、けほっ」


 咳き込み、口の中に入った大量の土埃と血を吐き出す。

 じゃりじゃりと舌と歯の隙間を埋めるのは、砂利と血のどっちだろうか。いずれであってもフェリスにはさして関係ない。うがいをしたいとは思うが、


「まさか庁舎が崩れるとは思わなかった……一回、無駄死にしたじゃない……ッ!」


 汚れてしまった着衣の裏地で、フェリスは顔に付着した血を拭う。そうやって汚れを落とせば、下から覗くのはひどく整った愛らしい顔だ。

 五階建ての建物の崩壊に巻き込まれ、為す術もなく押し潰された人間の数分後の状態とはとても思えない。


「そんなことはいい……そうだ、アナスタシア様!」


 頭部の猫耳を逆立てて、フェリスはその名前を口にしてあたりを見回す。

 クルシュの身代わりを買って出て、危険な囮作戦に協力してくれたアナスタシア。読み通りに『色欲』の襲撃に対応できたものの、得られた結果は悲惨の一言だった。しかし、それでも協力者は協力者だ。

 その生死を確かめる必要は、ユリウスへの義理の意味も含めてある。


「私と同じで、押し潰されてるなら……」


 きょろきょろと、すぐ傍らの瓦礫の下などを覗き込む。建物に崩落の兆しがあった瞬間、アナスタシアはフェリスと同じ部屋にいた。

 足下が崩れたとき、為す術もなく巻き込まれたのは彼女も同じはずだ。せめて即死さえしていなければ、フェリスの治癒魔法ならば十分に助け出すことができる。


「声の一つでも上げてくれたら見つけやすいのに!」


 災害救助の方法など、フェリスの細腕で実行できるものではない。

 負傷者を助けるのは専売特許でも、そこに至るまでの担当はフェリスに不向きだ。『色欲』から情報を得られなかったことも含めて、フェリスにどうにもならない苛立ちが募る。と、そこにだ。


「あ、フェリスさんも無事やったんやね」


「――!」


 瓦礫を崩す足音がして、跳ねるように振り返ったフェリスの視界に人が見えた。緑色に染めた髪をほつれさせ、はんなりと笑むのは探していたアナスタシアだ。

 彼女は動きづらい着物の裾を揺らしながら、おっかなびっくりといった足取りでフェリスの方へと近付いてくる。


「アナスタシア様、無事だったんですか?」


「見ての通り、やね。それにそれはうちの台詞でもあるやん。フェリスさんこそ、よくよくあの崩壊の中で無事やったね」


「それは……」


 厳密には無事ではなかったが、フェリスは即答を避けた。話す義務はないし、話して愉快な内容でもない。口ごもるフェリスに追及せず、アナスタシアは代わりに足下の瓦礫と、倒壊した都市庁舎を一緒くたに眺めやり、


「みんな避難させといて正解やったわぁ。これ、ちょっと大事件やもん」


「大事件……」


 困ったように眉をひそめるアナスタシアに、フェリスも同じく首を巡らせる。

 大事件、などとアナスタシアは言うが、これがそんな雰囲気で話していいような状況だろうか。大事件には違いないが、イマイチ真剣味が足りない響きだ。

 そもそもこの倒壊自体を引き起こした原因は――、


「地下の、アルさんと『色欲』の戦いやったと思うんやけど……」


「――――」


「すっかり埋まってしもてるし、これ掘り起こすんは難儀するんちゃうかな。地下の水路にうまく乗ってくれてると、生き残ったのと思えるんやけど……」


 無論、その場合はカペラの生存の可能性も考慮する必要がある。

 フェリスの見た限り、カペラの肉体の再生力は人知を超えていた。アナスタシアの魔法で顔を半分消し飛ばされて、それでも平然としていたのは異常に過ぎる。フェリスの生命力の暴走が通用したので、不自然な体質の結果ではないはずだが。


「そういえば、アナスタシア様はどこであんな魔法を?」


「……それ、今、関係あるん?」


「戦えないと聞いていたので、少し驚きましたから」


 戦力分散の話し合いの場で、戦闘力はないと自己申告していたのが彼女だ。アナスタシア自身にも、連れている人工精霊にもそんな力はないと。

 しかし、だとしたらカペラの顔を焼いたあの魔法は。


「――それに関しちゃ、オレも話が聞きてぇとこだな」


「――――」


 フェリスの問いにアナスタシアが黙ると、そこへ第三者の声が割り込んだ。

 振り返る二人の視線の先、瓦礫を蹴飛ばしてやってくるのはずぶ濡れ姿のアルだ。彼は首を傾け、兜の隙間から水を出しながら戻ってきた。


「無事でなによりやったね。うまく水路に飛び込めたん?」


「三回は潰れた感があるけどな。まぁ、そんなことはどうでもいい。それよりももっと重要な話がある」


 功労者の帰還をアナスタシアが出迎えれば、アルはそう言って青龍刀を抜いた。その剣先がアナスタシアへ向けられ、彼女は形のいい眉を寄せる。

 向かい合うアルとアナスタシア。フェリスはその二人の中間の位置におり、三者の立ち位置が三角形に結ばれる形だ。


「これは、いったい何のつもりなん? 冗談やったら笑えんのやけど」


「オレも笑い話にするつもりはねぇよ。猫耳のお兄ちゃんはともかく、あんたが助かってんのは腑に落ちねぇ。それに……」


「隠し玉があっただけやって。そら黙ってたんは悪いと思うけど、うちやって開けっ広げにするわけにもいかんのやし……」


「そういう答えもあるだろうが、それより問題なのはあんたの態度だよ。崩れる建物から命からがら生き延びて、顔見知りと廃墟で雑談……そんな態度にまったく表情と感情が見合ってねぇ。そういう面して人と話す奴をなんて言うか知ってるか?」


「――――」


 矢継ぎ早に問い詰めるアルに、アナスタシアの言葉が止まった。しかし、いまだにその表情は曖昧な笑みに固定されている。

 そしてフェリスの見守る中、アルは区切った言葉の先を口にした。


「そういう奴をな、『魔女』ってそう言うんだよ」


「……やれやれ、ひどい言い草だ」


 応じたその声は達観し、やけに感情の渇いたものに感じられた。

 はんなりとした微笑が剥がれ落ち、代わりに浮かぶのは力のない皮肉げな笑み。ただしその皮肉は他者ではなく、自分に向けられた自嘲のようでもあり。


「ボクの知る限り、『魔女』は決していい意味で使われない言葉のはずなんだが」


「オレがご機嫌に挨拶するつもりで言ったと思うか? 感じた通りの意味合いで合ってるよ、ペテン狐」


「どういうことなの?」


 分かり合っている風な二人――口調の変わったアナスタシアとアルを睨み、フェリスはその場に自分の意見の入り込む余地を求める。そのフェリスの態度にアルは腕のない左肩をすくめて、視線だけはアナスタシアに固定したまま、


「つまり、今のお嬢ちゃんはガワはお嬢ちゃんでも中身が違うんだよ。あの首からぶら下げてる性悪狐……エキドナが中に入ってんだ」


「アナの生存を優先した結果、そういうことになっただけだよ。そのことを悪し様に語られるほど、悪意ある行為のように受け取られるのは心外だな」


 敵意の強いアルの発言に、アナスタシア――エキドナが困った顔で言い返す。するとアルは兜の向こうで「はん!」と鼻を鳴らした。


「成り代わろうとしてた奴が偉そうな口を利くんじゃねぇ」


「成り代わるだなんて誤解だよ。どこにそんな素振りがあったって言うんだい?」


「下手くそなカララギ弁と、お嬢ちゃんのふりをしたのが証拠だろうが。生憎、人間の機微が理解できない『魔女』らしさで底が見えてたけどな」


「もういい加減にして! 話がいつまで経っても進まない!」


 エキドナの言葉にいちいちアルが食ってかかるので、フェリスが爆発する。

 アルが何らかの事情通なのは確かなようだが、現状で重要なのはアナスタシアのことだ。器は今、エキドナが主導権を握っているということだが。


「まず、アナスタシア様はご無事なの? 体だけは守って、中身はどこかにポーイなんてことにはならなかったわけ?」


「無事だよ。アナには心身ともに健在でいてもらわなくちゃならない。そうでなくては禁じ手まで使った意味がないからね」


「禁じ手……?」


「今の状態のことさ。アナのゲートは少しばかり複雑なものでね。自分では自由にすることができない。ボクには扱えるが、負担が大きい。そういうことさ」


 薄い胸に触れて、エキドナはアナスタシアの表情を曇らせる。

 アルはいまだに納得いかない様子で剣を構えたままだが、フェリスはその突きつけられた剣とエキドナの間に割って入り、言葉を続けた。


「アナスタシア様のふりをして、私たちに話しかけてきたのは?」


「協力者の無事に声をかけないのも不自然だろう? アナ本人だと装ったのは、君たちにボクたちの弱味を見せないためだよ。今しがた明かしたように、アナの体は不安定なんだ。ボクとの同化は隠しておきたかった。……見抜かれたけどね」


「ユリウスはこの力のこと……知らないんだっけ。あなたの存在も知らなかったんだもんね。それについてはどうするの?」


「それはアナとユリウス、そして『鉄の牙』の問題だ。君たちの質問にボクが推測を交えて答える義務はないと思うよ」


 筋は通っている。フェリスが瓦礫の山のアナスタシアに覚えた違和感も、中身が違ったエキドナとの対応の齟齬であったと考えれば辻褄が合う。

 彼女の魔法に救われた事実と、崩落する建物からアナスタシアの肉体を守った実績――その二つから、少なくともフェリスの方の疑念は晴れた。


「でも、そっちの方はまだ剣を下ろす気にはならない感じなの?」


「……ちっ」


 フェリスがそう尋ねると、アルは舌打ちして渋々と青龍刀を鞘に納めた。それを見届けて、フェリスは改めてボロボロの彼の体を見やる。

 火傷に擦り傷、ずいぶんと負傷した様子だ。


「ほら、すぐに治すから見せて。うわ、こんなところが抉れて……! ひゃっ、なにこれこの切り傷、よく死なずに済んだね?」


「オレの力量だと、致命傷を深手にするぐらいが限度なんでな。賭けに負けてなけりゃもっとマシだったはずだが……まぁ、いい」


「――?」


 首をひねるフェリスの掌が、アルの負傷のことごとくを治癒させる。

 青白い光の治癒力はさすがの一言で、あっという間にアルの体中にあった無数の傷口は快癒、それを確かめたアルは一言礼を言って、


「オレもそうだが、嬢ちゃんたちも生き残ってんだ。間違いなく『色欲』の奴も生きてやがるはずだぜ。瓦礫の下敷き程度じゃ大して安心できねぇ」


「その件だけどね」


 アルの警戒を呼びかける声に、エキドナが手を挙げた。上げた掌には対話鏡が握られており、彼女はその表面を反対の手で軽く叩くと、


「実は建物が崩れる直前まで、対話鏡はうんともすんとも言わなくなっていたんだ」


「それは聞いた。『色欲』が……ってより、魔女教か? 魔女教に魔法器を狂わせる方法が伝わってるらしい。それで連絡手段を妨害してたとか……」


「そういうことだったのだろうね。ただ、それが大罪司教の仕業であったとしたらひとまず窮地は逃れたようだ」


「……回りくどい」


「すまない、癖だ。つまり、対話鏡の機能が復活したということさ」


 その言葉に、アルとフェリスが同時に驚く。

 アルは対話鏡を所持している他の顔ぶれと連絡が取れることに。フェリスは対話鏡の使用を妨害していた要因、それが排除されたという可能性に。


「どういうこと? 『色欲』は妨害を中断した……死んじゃったってこと?」


 あの再生力を誇る怪物が、瓦礫の下敷きで死んだとはあまりに信憑性がない。アルの言った通り、この場の三人も生き残っているのだ。

 生命力に特化していた不死性の怪物が、これで終わりとは考え難い。それ以外で考えられる可能性があるとすれば――、


「妨害工作を続けられないほどの被害を受けた。あるいは中断したことでボクたちの油断を誘い、隠れ潜みながら機を窺っている……」


「それは、あの性悪の性格に合わない気がする」


「そうだね、ボクもそう思う。隠れ潜むよりももっと大胆に……たとえば、この場の三人の誰かに化けているというのはどうかな? 本物はすでに死んでいて、まんまと成り代わったわけだ。『色欲』の好みそうな手じゃないか」


 エキドナのその想像にフェリスはゾッとした。

 崩落の前、クルシュそっくりに化けた怪物のことが思い出される。あのときは目の前で化けられたから、疑いの余地なく偽物だと信じられた。無論、クルシュに化けるのであれば見抜ける自信がフェリスにはあるが、この二人ならわからない。

 その可能性に慄然となる。だが、


「ややこしいこと言って楽しんでんじゃねぇ、性悪。反応がねぇなら話は早ぇ。尻尾巻いて逃げたんだよ。飽きたから帰る。あれはそういう手合いだ」


「そんな根拠もなく身も蓋もないことを……」


「潰される前、あの怪物は完全に白けた面してやがった。それが理由だよ」


 最後までカペラと相対していたのはアルだ。

 相手が他の人間であれば鼻で笑うような言葉だが、相手が大罪司教ともなれば常識では計れない。無論、警戒は解くべきではないと思うが。


「それより、対話鏡が使えるようになったってんなら姫さんと連絡取れるんだよな? まずそれが第一だ。繋いでくれ」


 対話鏡を持って都市庁舎を出たのは、ヴィルヘルム・ガーフィール組とプリシラ・リリアナ組の二組だ。本来、プリシラ組に組み込まれていたアルは主の命で渋々とこの居残り組に加わったが、主人の安全を確かめたい気持ちは痛いほどわかる。


「わかっている。そう焦らなくても……うん?」


 アルに詰め寄られ、対話鏡を手にするエキドナが眉を寄せた。

 その反応にフェリスが何事かと目を向けると、エキドナの手の中で対話鏡が淡く輝き始める。――別の対話鏡からの通信だ。


 そして光る鏡の鏡面に映し出されるのは――。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] このタイトル当時は全然意味ワカメだったけど短編とか見返してから漸く理解が追いついた。
[気になる点] フェリスの「1回、無駄死に」って、何回か死んでも大丈夫みたいな言い方 色欲がフェリスの体気持ち悪がってたのと関係あるのかな
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