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Re:ゼロから始める異世界生活  作者: 鼠色猫/長月達平
第一章 『怒涛の一日目』
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第一章幕間 『お月さまが見てる』


 淡く輝く青い光――癒しを司る、水の波動を遠目に見ながら、ラインハルトは周囲には気付かれないほどささやかな吐息をこぼした。

 端正な横顔には憂いが浮かび、戦いの名残がかすかに装いには残っている。廃墟を前に佇むその姿を切り取れば、ただそれだけで名画の一枚が完成しそうな立ち振舞いだ。


 しかし、客観視すれば華やかな一方、彼の主観においては己の至らなさに関して言葉を尽くしてもなお足りない無念があった。

 今なお、懸命にエミリアの治療が行われているスバル。その彼の負傷も、元はといえばラインハルトの慢心が生んだ隙に乗じられたものだ。

 スバルは負うべきではない傷を負い、そしてエミリアにはかけるべきではない負担をかけてしまっている。


 その上、自分の体質は処置を行うエミリアの側にいるのがマイナスに働く。

 こうして遠目に見守っているのが最善、その判断をどこか冷静に行っている自分がいるのがわかってしまい、なおさらそれが彼の自責の念を強めていた。


「――よし、これで大丈夫」


 瞑目し、己を責めるラインハルトの鼓膜に銀鈴のような声が届く。

 額を拭うような仕草をして、壁に寄りかからせたスバルの前髪を軽く払い、その顔に赤みが差しているのを確認。立ち上がるエミリアは「うん」と納得の頷きで振り返り、


「治療は完了。――どうにか、峠は越えたでしょ」


「それはなによりです。その上でエミリア様……」


 満足げなエミリアに足早に歩み寄り、ラインハルトはその足下に膝をついて頭を垂れる。所作ひとつひとつによどみのない、完璧に礼式に則った姿勢だ。


「此度は自分の至らなさにより、エミリア様に多大な心労をおかけいたしました。この失態に対する罰はいかようにもお受けいたします」


 立てた膝の前には腰に預けていた剣を置き、ラインハルトは己の失態を謝罪する。

 騎士として、己のできる最大の謝意の示し方だ。この上でいかな沙汰が下されようと、甘んじて受け入れる覚悟がラインハルトにはあった。

 しかし、そんな彼の謝罪に対して、それを向けられたエミリアは、


「そういうところ、よくわからないのよね、あなたたちって」


「は?」


「危ういところに助けにきてくれて、こうしてどうにか全員が無事に片付けられた。それなのに、その間の苦労や痛みの責任まで全部抱え込もうとするんだもの」


 立てた指を振って、どこか少し不満げに銀髪の少女は唇を尖らせる。

 それから立てた指をふと、安らかな寝顔を浮かべているスバルの方に向けて、


「あの子の方がよっぽど素直じゃない。助けてやったんだからお礼を寄こせ、って言ってきたぐらいなんだから。全然、欲張りじゃないお礼だったけどね」


 名前を教えてほしい、とスバルがかっこつけて言っていたのはラインハルトも見ていた。思い出し笑いを浮かべるエミリアに、思わずラインハルトの唇も綻びかける。

 「だから」と、そんなラインハルトにエミリアはふっとその紫紺の瞳を細めて、


「助けてくれてありがとう。――私があなたに言うのはそれだけ。罪が見当たらないから罰も与えようがない。納得できないなら、次に活かしてくれればいいから」


「――わかりました。そのお言葉、ありがたく」


 さらに深く頭を垂れ、敬意を表してからラインハルトは立ち上がる。

 互いに向き合えば、ラインハルトの方がはるかに上背があり、エミリアを見下ろすような形になる。にも関わらず、先ほど感じさせられた大きさはなんなのか。

 器の差なのだろう、とラインハルトは己の狭量さを推し量る。

 その反面で、やはりエミリアも『選ばれている』だけの人物なのだと再確認した。


「ところで、今日はずいぶんと軽装だけど……」


 押し黙るラインハルトを見ながら、ふと気付いたようにエミリアが呟く。

 彼女の目はラインハルトの装い――今日は非番で、王都を気ままに散策するために選んだ黒を基調とした衣装で固めている。騎士としての格好しか見ていない彼女からすれば、なるほど違和感があるだろうと納得。


「今日は久しぶりの休日でして。普段の近衛の制服は着ていないんです。甲冑は城内に置いてありますし、騎士としての自分は今日はこの剣ぐらいしか」


 外していた剣を腰に差し直し、その爪痕が目立つ宝剣をエミリアの視線にさらす。

 と、彼女は少しだけ驚いたように目をまたたかせ、


「休日、なのにどうしてこんな騒ぎに巻き込まれたの?」


「それは少しだけ複雑なのですが……そこの、スバルの導きですね」


 今は意識がここにない少年、彼との出会いがラインハルトをここへ導いたのだ。

 順を追って説明すれば、ラインハルトがスバルと初めて邂逅した路地裏、あそこでのスバルとの問答にまで物語はさかのぼる。

 あのとき、スバルは『銀髪で白いローブを着た女性を探している』とラインハルトに漏らしていた。あの時点で、ラインハルトの知識に該当する人物はひとりしかいない。

 その人物への接触を求めるスバル。彼の動向を探るうちに、ラインハルトもまた、貧民街へと足を踏み入れることとなり、


「途中で彼女と出会い、今に至るというところです」


「そう、あの子に」


 話題に名前が上がったことで、エミリアの視線が広場の隅――そこで、いまだに意識の戻らない老人を看護している少女へと向かう。

 金髪の少女はその視線を受けて振り返り、気まずげにその瞳を伏せた。


「エミリア様、彼女とは……」


「ラインハルト。色々と力になってもらってありがとう。助けてもらって感謝してる。でもその上でお願い。ここから先のことに、口出ししないで」


 強い口調で言い切られ、それ以上の言及をラインハルトは諦める。

 沈黙を肯定と受け取り、歩き出すエミリアは金髪の少女の下へ。少女もまた、その歩みに対して覚悟を決めたように向き直る。


「そのお爺さんは、あなたの家族?」


 腰を折り、しゃがんでいる少女に視線を合わせてエミリアは問う。

 問いかけに少女は唖然とした顔を作った。おそらく、彼女の予想したどんな言葉とも違う言葉をかけられたからだろう。

 二人の事情を知らないラインハルトであっても、彼女たちの間にあるのが友好的な親交の積み重ねでないのはうかがい知れる。


 出鼻をくじかれた形になった少女は気を取り直すように頬を掻き、すぐ傍らに寝ている老人の頭を照れ隠しするようにぺしぺし叩き、


「そ、そーみたいなもんだ。ロム爺はアタシにとって、たったひとりの……うん、じーちゃんみてーなもんだな」


「そう。私の家族もひとりだけ。肝心なときに眠りこけてるし、起きてるときには絶対にそんなことは言えないけど」


「アタシだって、起きてるロム爺にこんなこと言えねーよ」


 心なしか、老人への打撃の威力がぺしぺしからびしびしへと上がっている。無意識なのだろう。速度も加速、白い禿頭が赤くなり始めている。

 それから彼女はエミリアを見上げ、その赤い双眸に弱々しい光を灯し、


「もっと、すげーきつくくるかと思ってた」


「そう、ね。さっきまでのままなら、そうだったかもしれないけど。毒気抜かれちゃったのかもね。だから少しだけど、あの子の顔に免じてあげる」


 仕方ない、と苦笑してエミリアは肩をすくめる。

 そんな彼女の仕草と、眠るスバルを指差されて金髪の少女はしばし顔を伏せ、それから「ごめん」と小さく謝罪を口にした。


「命を助けてもらったんだ。恩知らずな真似はできねー。盗ったもんは返す」


 言って、少女は腰を上げると視線を路地の方へと向ける。

 彼女はエミリアに「いいか?」と一言、声をかけてから、


「戻ってきたとき、アンタらがやられてねーとも限らねーかんな。……別の場所に隠してきたんだけど、取りにいっても平気か?」


「用心深いこと。……嫌いじゃないけど。ここで待ってるわ」


「……いーのかよ? 口から出まかせで逃げ出すかもしんないぜ?」


「逃げてもいいけど、アレが追いかけてくるわよ?」


 アレ、とエミリアに指名されて、ラインハルトは背筋を正す。

 金髪の少女はその直立になにを思ったのか、「うえぇ」と心の底から嫌そうな声を出して、「すぐに戻る」と路地の方へと駆けていった。


「あの子が戻ってきて、全部取り返せたら……やっと戻れるわね」


「詳しくはお聞きしませんが、身辺にはご注意を。――帰りは部隊のものを付けますので、同行させてください」


「そこまで世話には……といっても、ここまで迷惑をかけたら同じことよね。お願いします」


 了承を得て、ラインハルトは「心得ました」と返答。それからエミリアの視線を辿り、安らかな寝顔をさらしているスバルに辿り着く。さて、と前置きし、


「彼――スバルとは、どういうご関係ですか?」


「行きずり」


 間髪入れずにそう答えられて、ラインハルトは思わず鼻白む。

 たじろぐラインハルトの様子がよほどおかしかったのか、エミリアはその唇を綻ばせ、


「だって、本当に行きずりとしか言いようがないの。スバルと会った覚えはないわ。ここで、ついさっき会ったのが初めてのはずなんだけど……」


「ですが、彼はあなたを探していました。渡したいものがあると。事実、こうしてこの場にいることですし、それに……」


 「体を張って、あなたを守りました」と、言いかけてラインハルトは口ごもる。

 声高にそう主張することは、どこか彼の行動自体の気高さを貶めるようにも思える。そんな風に思われたくてやった行いではないはずだ。

 それに、言われなくてもエミリアはそんなことはわかっているだろう。

 現に彼女はラインハルトの口にしなかった部分を引き継ぎ、


「だから不思議なのよね。……今はちょっと、あの変態が関わってるんじゃないかって疑ってるんだけど」


「ロズワール辺境伯のことを、あまり悪く言われませんよう。あの方は立派な方です。多少、変わり者であることは事実ですが……」


「変態で通じた時点で、ラインハルトの認識もわかるんだけど」


「……失礼しました。ロズワール伯にはご内密に」


 ウィンクして謝意を表明すると、エミリアは「はいはい」と曖昧に返答。

 それからラインハルトは改めてスバルのことに水を向け、


「彼の身柄はどうしましょうか。自分に預けていただけるなら、当家の方で客人として扱いますが」


「……いえ、こっちで連れ帰るわ。その方がはっきりするし、仮に変態の関係者じゃないにせよ、私を助けてくれたことに変わりはないから」


 「心遣いはありがとう」と結ばれて、ラインハルトは目礼で応じる。

 それで大体の話し合いは終了だ。このあとはエミリアに部下を付け、無事に邸宅まで送り届ける。その間にラインハルトはこの場所の事後処理に当たらなくてはならない。


 崩壊してしまった盗品蔵を見やり、ラインハルトは被害の大きさに瞑目する。

 相変わらず、自制の足りない自分が恨めしい。ほんの少し、力加減を誤っただけでこの有様だ。下手を打てば一帯ごと消しかねない力、自重自戒の一言である。


「ここはどういう扱いになるの?」


「付近はしばらく立入禁止にして、しばらくは彼女――『腸狩り』の手配書を出します。もとから後ろ暗い噂の絶えない人物なので、無駄骨になる可能性の方が高いですが」


「あの女の子や、お爺さんは?」


「……事情はわかりかねますが、彼女やあのご老体のやっていたことは自分の職務上、見逃すことはできない部類であると考えます。ですが」


 間を開けて息継ぎ、ラインハルトは小さく肩をすくめて、


「自分は今日は非番でして。付け加えて、被害者が被害を訴えない場合、証拠不十分でこれも難しい。はは。いえまったく、事情はわかりかねますが」


「ふふっ。悪い騎士様ね」


「恐れ多くも、これが騎士の中の騎士なんて呼ばれている男の本性ですよ」


 そう話をしている間に、路地の方から人の気配がやってくるのをラインハルトは察知。歩幅や呼吸の間隔から、相手があの少女であるのが見ずともわかる。

 姿を見せた八重歯の少女、彼女は待っていたこちらを決まり悪げな顔で見て、


「ちゃんと取ってきたぞ」


「よしよし、ちゃんと戻ってきてくれて嬉しいわ。私もこのお兄さんをけしかけるのは、すごーく気が咎めるし」


「騎士の中の騎士、そんな奴と追っかけっこなんて正気じゃねー。アタシより足が速い奴を初めて見たぜ、びっくりした」


 見上げてくる視線に微笑みで応じ、ラインハルトは一歩下がって二人を見守る。エミリアに歩み寄る少女は懐を探りながら、


「んじゃ、返す。――大事なもんなら、今度から盗られねーように隠せよ」


「あなたにその忠告されるのって変な気分ね。……できれば、私だけじゃなくもうこんなことはやめてほしいけど」


「そりゃ無理な話だ。言っとくが、アタシは今回だってアンタが命の恩人だから返すって考えてるだけ。悪いことしたとは思ってねーし、やめる気もねーよ」


 エミリアの願いをすげなく断って、少女はその表情に強かな笑みを浮かべる。

 彼女の年齢でするには痛ましさすら感じる横顔だ。そんな彼女の主義主張を聞きながら、ラインハルトはしかし無言でこれを受け入れる。

 職務上、決して見逃すべき状況でないのはわかっている。が、他に彼女たちにどんな生き方ができるというのか。対案も出さずに正論だけ振りかざすのは都合がよすぎる。


 そう考えられる程度には、ラインハルトは王都を見てきたつもりだ。

 それはエミリアにも察せられたのだろう。少しだけ儚げに目を伏せると、そのことについて彼女は言及せずに手を出し、


「わかった。……強情ね」


「なにもしねーで食い物がわいてくるならやらねーかもな。そんじゃ、ほらよ」


 取り出したそれを掌に乗せ、少女はエミリアに盗品と思しきものを返す。

 一瞬、赤いきらめきがラインハルトの瞳を過った。その眩い光は見覚えのあるもので、刹那の間だけ目を細めるラインハルトは記憶の海を探る。

 そして思い当たる記憶を見つけ出し、


「――え」


「ラインハルト……?」


 徽章を握る少女の手を、横合いから掴み取っていた。


 驚きを瞳に浮かべるのは当事者二人だ。彼女たちは揃ってラインハルトを見上げ、そして彼の表情に浮かぶ真剣な眼差しを前に口ごもる。


「い、痛いっつの……放して……」


 いやいやと、首を振るような弱々しい仕草で抵抗する少女。

 だが、彼女の手を握るラインハルトの握力は弱まる気配がない。本気になれば鋼すらひしゃげさせるラインハルトの力だ。加減がされているとはいえ、華奢な少女が振り解けるような拘束では決してない。


「なんてことだ……」


 震える呟き。それはラインハルトの口から紡がれたものだ。

 その言葉に反応したのはエミリアだった。彼女はその紫紺の瞳に動揺を浮かべ、


「ラインハルト、待って。確かにおとがめなしで済ませるには難しい話なのはわかってる。でも、この子は徽章の価値は知らなかったのよ。そして盗られた私自身はそれを問題にはしてない。――盗られた私にも落ち度があることだから。だから」


「違います、エミリア様。僕が問題にしているのは、そんなことじゃない」


 強い口調で上から言われ、エミリアは困惑した顔で押し黙る。

 そんな彼女への無礼な態度も忘れて、ラインハルトは自分が腕を掴む少女を見た。その紅の双眸と同じ頭髪の色を持つ青年を見上げ、少女の瞳が不安に揺れる。


「……君の名前は」


「ふぇ、フェルト……だ」


「家名は? 年齢はいくつだい?」


「こ、孤児だぜ? 家名なんて大層なもんは持っちゃいねーよ。年は……たぶん、十五ぐらいって話だ。誕生日がわかんねーから。っつか、放せよ!」


 話している間にいくらか調子を取り戻し、乱暴な口調で少女は暴れる。が、巧みな力加減で少女を抑制し、ラインハルトはエミリアを見つめると、


「エミリア様、先ほどのお約束は守れなくなりました。――彼女の身柄は自分が預からせていただきます」


「……理由を聞いても? 徽章盗難での罰というなら」


「それも決して小さくない罪ですが……今、こうして目の前の光景を見過ごすことの罪深さと比べれば些細なことに過ぎません」


 戸惑いと無理解に眉をひそめるエミリア。

 そんな彼女の困惑を、ラインハルトは仕方のないことと受け止める。なにせ彼女には見慣れた状況でしかないのだ。気付け、という方が酷なのだろう。


「ついてきてもらいたい。すまないが、拒否権は与えられない」


「ふざけ……助けたからってあんまり調子に……っ?」


 ラインハルトの言葉に口汚く応戦しようとして、ふいに少女の体勢が崩れる。

 言葉尻も怪しく肩の力が抜け、少女は最後に恨めしげにラインハルトを睨み、


「地獄、落ちろ……ちくしょう」


 憎まれ口を叩ききって、がくりと頭を下げた。

 意識を失った少女の体を支え、自然な流れで横抱きにして持ち上げるラインハルト。彼の手慣れた動作にエミリアは、


「また騎士様らしくないやり方……あんまり手酷くやると、ゲートに後遺症が残るわよ」


「幸い、生まれてからの付き合いなので加減は心得ております。――エミリア様、また近いうちに呼び出しがあるかと思われます。ご理解を」


 意識のない少女の手から徽章を優しく奪い、エミリアに対して差し出す。

 竜を象った徽章はまさしく、『親竜王国ルグニカ』の象徴そのものだ。ラインハルトの手の中で、うっすら鈍い光を放っている赤い宝珠――それがエミリアの手に渡ると同時に、持ち主の下へ戻ったのを喜ぶかのように眩く輝く。


「スバルのことを、どうかよろしくお願いします」


 徽章を受け取り、無言で自分を見つめてくるエミリアにラインハルトは一礼。

 腕の中、軽い少女の重みを感じながら、ふと手で彼女の額にかかる金髪をよける。あどけない白い顔立ちは、気を張る必要のない無意識であれば年相応に愛らしい。

 衣服を着替え、路地の垢を落とせば、さぞや輝くことだろう。


 強い風が吹き、ラインハルトの赤い前髪が踊る。

 その隙間から空を見上げ、すでに夕闇に沈んだ王都の上空――月が浮かんでいる。

 うっすらと青白く輝く満月、その美しさはどこか妖しげな魅力をはらんでおり、


「落ち着いて月を見れるのは、今日が最後かもしれないな――」


 ラインハルトの囁きは、彼らを見下ろす月だけにしか届かなかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] エミリアたんが変態なんて言葉使うの、なんか今じゃ新鮮だな
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