終わりを迎えたこの世界を、救えるそこのキミはだれ?
ここ、アトランティス大陸って言うの。人間の身勝手な核戦争によって、滅んだ世界の唯一の楽園。
最初は毎日楽しく過ごした楽園。けど、そんなの一瞬に過ぎないの。
名を馳せる三人の殺人鬼、ジャックにメリーに黒柳、コイツらがこの大陸を恐怖で塗り尽くしたの。
人を殺しまわる殺人鬼、毎日恐怖に怯える人々、耐えられないの。
なんで、なんでこんな世界に生まれたの?
なんで自分はこんな所に生まれたの?
わたしは前世何か悪い事でもしたの?
どれだけ悔やんでも変わらないの。けど悔やみ続けるの。
悔やみ、憎み、苦しみ、なんでこんな事に耐えてまで生きてるの?
そんな感想が湧き上がる。けど、家族はそんな事を思うなんて事を許したりしないの。
わたしだって分かってるよ。愛してくれてるんだからそんな事したら悲しむの。だからそんな事しないで、その願い、十分理解できるの。
けど、理解してても、結局思いは変わらないの。
死にたい、いつから感じるようになったか覚えてないの。
私は願うの。殺人鬼達に殺してもらえないかな。
それが、一番の救いじゃないかな。
毎日響く悲鳴、耳の奥まで響いてくるの。
あぁ、次はわたしの番かな? そう思うの。
いずれかきっと殺してくれる。救ってくれる殺人鬼達、早く来ないかな。
そんな感情は家族の前に絶対出さないの。出したら泣かれる。だから出さないの。
家族は逃げようと荷物整理に必死だったの。どうせ逃げても殺されるの。逃げなくていいのに。
そう思うけど、口に出さないの。
どうせ話したとしても何を言っているんだと、親は子の言うことを何一つ聞いてくれないの。だから話さないの。
着々とわたし達の番が迫ってくるの。家族は逃げようと必死なの。逃げたいなら荷物を持たずに逃げればいいのに。
けど、欲深く全てを持ち去ろうとする。まだ引っ越し先も見つかってないのに。
近付いてくる悲鳴。わたしにとっては救いの声。
まだかな、まだかな、早く来ないかな。
刻一刻と過ぎる時計を見つめるの。
そして、その日は突然だったの。
やっと、やっと来てくれたの。救いの手が差し伸べられたの。
入って来た水色髪のかわいい女神、殺人鬼なの。
真っ先にうるさい家族を殺してくれたの。
かわいい殺人鬼の声と家族のうるさい悲鳴の声が混ざり合って、それはまるで音楽みたいだったの。美しい音楽。
嬉しかった。うるさい奴らがどっか行ってくれた。
そう、どっか行ってくれた。多分嬉しい。そうだ。
そして、わたしを最後に残してくれたの。
あぁ、やっと救われる。わたしは震えながら感謝の涙を流したの。
もう怖くない。死ぬのなんか怖くない。なんなら楽しみなの。
「お母さんたち死んじゃったね、怖いだろうね。安心して」
怖くなんかないけど、安心するそのセリフ。
わたしも何か喋ろうと思った。けどもし何かあって殺されなかったらと考えると、余計なことはしないほうがいいの。
わたしは、ただその時を待ったの。
目の前に居る殺人鬼は、どこからかキャンディを取り出して、わたしの口に入れてくれたの。
甘く、爽やかないちごのキャンディ、これまで食べたものの中で一番おいしかったの。
「じゃぁね」
目の前にいた可愛い女神のような殺人鬼は、そう首を軽く傾けて、微笑みながら言ってくれたの。
最後に見たあの輝くような笑み、可愛かったの。
最後に見た光景がこれでよかったの。
殺人鬼が離れてから数秒後、多分キャンディの中にあった爆弾が爆発して、わたしを救ってくれたの。
痛くなかったの。苦しくなかったの。一瞬だったの。
あぁ、ありがとう。殺してくれてありがとう。
やっと救われた。
そうだ。キミ達にも感謝しないと。
この世界を進めてくれてありがとう。おかげで死ぬことができた。
いや、もっと感謝することがあるね。
この、滅んだ世界を、造ってくれて
本当に、ありがとう。
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どうも!作者です。
初めて短編というものを作ってみました!まぁ短編と言うには文字数が少なすぎるような気がしますが………まぁいいでしょう!
この物語は私の書いている小説『三殺事件』と繋がりがあります。しかもこの子が出てくる話は第一話目ですので、是非読んでみてください!殺人鬼から見たこの子がよくわかりますよ!
あとすっごいダークな物語ですが、安心して下さい。作者は元気です!
どうも、作者でした!
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