ハナ1
とある都会で蓮は今日も魔法少女として活動していた。
白銀のツインテールを揺らしながら、彼は大型チェーンソーで魔獣達を切り裂いていく。
全ての魔獣を倒した蓮はフゥと息を吐いた。
「ここらへんのやつらは全て倒したか。あとは―――」
蓮が別のところに移動しようとした。
その時、ガキン!ガキン!と金属同士がぶつかり合うような音が蓮の耳に聞こえる。
「戦闘音!こっちか」
蓮は急いで音が聞こえた方向に向かって走る。
数分後、音の発生源に到着した彼は首を傾げた。
「魔法少女と魔獣が戦ってる?」
一人の魔法少女が猿型魔獣と戦っていた。
魔法少女が振るう刀と猿型魔獣の爪がぶつかり合う。
それを見て、蓮は違和感を覚える。
(おかしい。なんであの程度の魔獣に魔法少女が苦戦する?)
刀の魔法少女が戦っているのは、歩兵級の魔獣。
普通の人間相手なら十人は殺せる力を持つ。
だが魔法少女なら倒せない相手ではない。
だというのに刀の魔法少女は苦戦していた。
(というか……動きが遅すぎね?)
刀の魔法少女の戦う速度が、普通の魔法少女よりも極めて遅い。
よく言ってそこそこ身体を鍛えている少女ぐらい。
魔法少女は変身すると最低でも身体能力と肉体強度が強化される。
戦闘型ではなく、非戦闘型の魔法少女でも多少は強化されるのだ。
(とりあえず助けるか)
蓮は地面を蹴り、一瞬で刀の魔法少女と猿型魔獣の間に入った。
そして彼は素早くチェーンソーを振るい、魔獣を細切れにする。
血が地面に飛び散り、細切れにした魔獣の肉がボタボタと落ちた。
「大丈夫か?」
蓮は刀の魔法少女に視線を向け、気付く。
(うわぁ!すっげぇ美少女!!)
蓮の目の前にいたのは、和風美少女。
おかっぱにした艶のある黒髪。
翡翠の如く緑色の瞳。
そして身に纏う戦闘服は着物とドレスが一つになったかのようなものだった。
大和撫子という言葉に相応しい美少女だ。
「あ……あなたは……《機神》……ですか?」
「え?あ、うん。そう呼ばれていますね」
思わず敬語で話してしまった蓮。
そんな彼の耳につけていた通信装置からりりさの声が聞こえた。
『お兄ちゃん。魔獣は全て倒したから帰るよ』
「ああ、わかった」
蓮は和風美少女に手を振り、「じゃあ、気を付けて」と言い残して立ち去ろうとした。
その時、
「《機神》さん!待ってください!」
和風美少女が突然土下座をした。
蓮は思わず目を見開く。
「ちょ、急になんですか!?」
「お願いします!」
少女は大声で叫ぶ。
「私を……弟子にしてください!!」




