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TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
TS魔法少女の過去
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【機械神】

「ん?」


 姫神蓮は広い空間にいつのまにか立っていた。

 空にはいくつもの歯車が浮かんでおり、音を立てて回転している。


「……今日はなんのようだ?相棒」


 振り返った蓮は問いかけた。

 すると彼の視線の先にいた少女が腰に手を当てて、眉間に皺を寄せる。


「なんのようだ?じゃないわよ、蓮!」


 少女はまるで天使のような美しい人だった。

 一本一本の毛がキラキラと輝く長い銀髪。

 身に纏う白銀のドレス。

 そして背中から機械仕掛けの翼を生やしていた。


「な、なんで怒るんだよ?カルシウムが足りてないんじゃないか?」

「やかましい!怒りたくもなるわよ!また無茶な戦い方をして!付き合う私の身にもなってよ!」

「わ、悪かったって」

「悪いと思うならもう少し私のことを考えて!」


 ハァとため息を吐いた銀髪の少女—――【機械神(デウスエクスマキナ)】は呆れた表情を浮かべる。


「いくら私が超絶完璧最強最高〈マジックアイテム〉でも、あなたの力を百パーセント発揮できないのよ」

「めちゃくちゃ自分の評価が高いな、コイツ」

「あなたの魔力の質も量も異常なほど高くて、戦いもパーフェクト。私に相応しい契約者よ」

「えへへへ、そこまで褒められると嬉しいな~」


 頭を掻きながら、ニヤニヤと笑う蓮。

 そんな彼に【機械神】は人差し指を突きつける。


「でもすごすぎるあまり私はついていくのが精一杯なの」

「……」

「なにより……このまま無茶な戦い方をすればあなたがもたない」


 心配そうに顔を歪める白銀の少女。

 彼女は本気で蓮のことを心配していた。

 その心配が嬉しかった蓮は、笑みを浮かべる。


「ありがとう、心配してくれて。でも大丈夫。俺は無敵だ」

「でも!」

「どんな困難でも俺はなんとかしてきた。違うか?」

「……」


【機械神】は黙り込む。

 蓮の言う通り、彼はあらゆる壁を乗り越えてきた。

 強敵を倒してきたのだ。


「俺はどんな相手だろうと負けないし、どんな状況でも乗り越えられる。だから……心配するな」


 自信に満ち、覚悟を宿した蓮の瞳を見て、【機械神】は何も言えなかった。


「それに……無茶や無理をしてでも、魔獣を全て倒して、この世界を平和にしなくちゃいけない。アイツらのためにも」

「それは……」

「知っているだろう?俺がなんで無茶をするか」

「……『焔』のみんなのためでしょう?」


 蓮は「そうだ」と頷いた。


「俺の夢はハーレム。もともと嫁を多く作らないとダメだと言われているから、俺は夢を叶えてもいい。だけどりりさ達は違う」

「蓮の住む村で生まれた魔法少女達は死ぬまで魔法少女として生きなければならないのよね」

「もしくは魔法少女に関係ある仕事をしなければならない。それが俺達の村の掟だ。分かってる。それが代々伝わる大切なことだって。だけど……りりさや『焔』のみんなが夢を諦めていいはずがない」


 蓮は拳を強く握り締める。


「りりさの諦めた夢がさ……本を書くことなんだよ。みんなを喜ばせる物語を書きたいんだよ」

「……」

「『焔』のみんなもそう。本当は……めちゃくちゃ叶えたい夢があるのに、それを我慢している。別なことをして、誤魔化している。そんなの……嫌じゃないか」

「蓮……」

「だから……俺が全て終わらせる。魔法少女としての役目を終わらせる。全ての魔獣を倒して、魔獣をこの世界に来させないようにすれば、みんなは夢を叶えることができる。だから……無茶だろうと無理だろうとする」


 真剣な表情ではっきりと言う蓮。

 最後まで相棒の話を聞いていた【機械神】は頭に手を当てて、深いため息を吐く。


「何を言っても無駄みたいね」

「ああ」

「分かった。私も全力でサポートするわ」


 困った顔で白銀の少女は微笑む。


「だって私は……あなたの力だから」

「ありがとう、【機械神】」

「その代わり、私をたくさん褒めなさい!」

「綺麗!美人!頼りになる!」

「フフフ、もっともっと!」

「貧乳!最強貧乳!貧乳無双!貧乳天使!」

「一度、死になさい!!」


 直後、蓮の顔面に【機械神】の拳が炸裂した。


<><><><>


「【機械神】には俺の無茶や無理に付き合ってもらった。アイツの力があったから……俺は負けなかった。全てアイツのおかげだ。なのに……当時の俺は【機械神】の力を俺の力だと勘違いしていた。本当に……カッコ悪い」


 ガリっと歯噛みし、拳を強く握り締める蓮。

 そんな彼の拳をエイナは自分の両手で包み込む。


「カッコ悪くないよ、蓮兄。それに蓮兄が当時、あんなに活躍できたのは【機械神】の力だけじゃない。蓮兄だからできたの」

「そんな……【機械神】のおかげだ」


 エイナは首を左右に振るう。


「記憶を見たけど、【機械神】の能力は強力な武器を生み出したり、鎧を変形するもの。確かに性能は最上級だけど、そのぶん扱うのは難しい。あの力を使えるのはとてつもない才能と努力が必要だよ」

「それは……」

「私は記憶を見たから知っている。蓮兄は……五百年以上も鍛錬して、【機械神】を限界以上まで使えるようにしたのを」


 エイナの言葉を聞いて、エイミーだけでなく修も百合も目を見開く。


「五百年!?どういう意味なのエイナ!」

「そのままの意味だよ、エイミー。蓮兄は時間の流れが遅い空間で五百年以上も鍛錬していたの」

「なっ!」

「蓮兄の強さの秘密……それは化物クラスの才能と凡人では絶対に無理な努力量。……『焔』のみんなのために蓮兄はがんばったんだよ」


 蓮はなにも否定しなかった。

 エイナの言っていることは全て正しいから。

 彼の異常な強さの秘密は才能と努力。


「まぁ……その才能と努力のせいで、魔王に目覚めちゃったところはあるけどな」


 肩をすくめて蓮は苦笑する。


「さて次は……仲間の話をしよう。まずは親友のことからだ」

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