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TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
TS魔法少女の過去
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姫神りりさ

 ナンパに失敗し、家に帰ってきた姫神蓮は肩を落としながらため息を吐く。


「ハァ……今日もダメだったな~」


 蓮が深く落ち込んでいると、


「もう。またナンパに失敗して落ち込んでいるの?お兄ちゃん」


 一人の少女が近づいてきた。

 蓮の妹の姫神りりさだ。


「妹よ……聞いてくれ。ナンパを五十回はしたんだが、全部がダメだった」

「五十回もナンパする根性はすごいよ。お兄ちゃん」

「クソ……なぜだ。俺はただ……美女に囲まれてエッチなことをしまくりたいだけなのに!」

「それ、アタシ以外で言うのはやめなよ。そもそもなんでハーレムを作りたいの?」

「そんなの男の憧れだからだよ!浪漫なんだよ!俺の夢なんだよ!それに……姫神家の男は多くの嫁さんを作らないといけないのは本当だろ?」

「まぁ……そうだね」


 姫神家にはある掟があった。

 それは女に生まれた者は魔法少女として生き、男は子孫を残すために多くの嫁を作らないといけないというもの。

 もちろん一人で子供を多く作るというなら嫁は一人でもいい。

 蓮は魔法少女になれるが、一応は男。

 だから嫁を多く作るか、一人の嫁に多くの子供を産ませなければならない。


「俺はハーレムを作る。なにがなんでも。ただ……うまくいかない時は普通にヘコむ。どうやったらハーレム系ラブコメ主人公みたいなことができるんだろう」


 ハァ~と深いため息を吐く蓮。

 そんな兄をりりさは、


「ぎゅ~!」


 強く抱き締めた。

 突然、抱き締められた蓮は目を丸くする。


「りりさ?」

「えへへ。ヘコんでいたから慰めてあげてるの。嫌だった?」

「いえ、むしろ最高です!」


 幸せそうな笑顔を浮かべて、蓮はりりさを抱き締める。


「ありがとうな、妹よ!愛してるぜ!」

「アタシもお兄ちゃんを愛しているよ」

「ああ~もうお前しかいないよ。結婚しよう!」

「もう……妹に求婚するって、これで何度目?」

「俺のものになるまで何度でも求婚します!」

「アハハハ。お兄ちゃんってシスコンだよね。もしアタシが別の人を好きになって、結婚したらどうするの?」

「そしたら……妹を奪った奴を迷わず殺す」


 殺意と怒りに満ちた顔で蓮ははっきりとそう言った。

 だが……すぐに表情を戻し、言葉を続ける。


「と……言うのが本音だ。だけどその気持ちを押し殺して、妹の幸せを祝福しようと思う」

「え?」


 どこか寂しそうな笑みを蓮は浮かべる。


「俺の目の前からお前が消えるのはめちゃくちゃ嫌だぞ?だけどさ、お前が選んだ男はきっといい奴だ。そいつならりりさを幸せにしてくれるだろう」

「お兄ちゃん……」

「俺はお前の兄だ。誰よりもお前の幸せを願っている」


 それは蓮の偽りのない言葉だった。

 世界一愛している妹を他の男に渡したくない。

 だがそれと同じくらい妹の幸せを願っている。


「俺の大好きなりりさ。お前には世界一幸せな人間になってほしい」

「……ずるいよ。その言い方」


 りりさは蓮を抱き締める力を強くする。


「大丈夫だよ、お兄ちゃん。アタシはお兄ちゃんと同じくらい素敵な男じゃないと結婚しないし」


 ニッと歯を剥きだして、明るい笑顔を浮かべるりりさ。

 彼女の言葉を聞いて、蓮は心の中でガッツポーズを取るぐらい嬉しいと感じた。


「もう!可愛い奴だな!!」


 蓮は妹の頭をわしゃわしゃと撫でた。

 りりさは恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに「や~め~て~よ~♪」と笑いながら叫ぶ。

 兄妹仲良くしていたその時、


 リンリンリンリン!


 大きな鈴の音が鳴り響いた。


『魔獣発生!魔獣発生!場所は栃木県宇都宮!』


 天井から聞こえる声を聞いて、蓮とりりさは顔を引き締めた。


「お兄ちゃんは転移型魔道具で先に行って!アタシ達も後で向かう!」

「わかった!」


 家から飛び出した蓮は、走りながら唱える。


「創造せよ、【機械神(デウスエクスマキナ)】!」


 その名を口にすると、蓮の右手の中指に銀色の指輪が出現した。


「さぁ、今日も暴れるぞ。相棒!」


 彼の言葉に反応するかのように、指輪が光り出す。


「変身!」


 次の瞬間、蓮の身体が銀色に輝き出し、服が消える。

 銀色に輝く蓮の身体は少年のものから少女のものへと変わった。

 綺麗な顔立ちに大きな胸と尻、そして腰まで伸びた白銀の髪にシルバーオーラの如き銀色の瞳。

 まさに美女……いや、女神である。

 その女神の髪がツインテールへと結ばれ、空中に出現したいくつもの装甲と機械が身体を覆う。

 機械仕掛けの鎧を纏った白銀の魔法少女、姫神蓮は鳥居の形をした転移型魔道具をくぐった。

 すると彼は村から魔獣に襲われている街へと瞬間移動する。


「今日も酷いもんだな」


 転移した場所では人々の悲鳴が響き渡っていた。

 建物は崩壊しており、車は燃えている。


「チッ!魔獣共が!」


 蓮は背中と脚からブースターを展開し、炎を噴射。

 低飛行で移動しながら、魔獣を探す。

 そして見つける。人々が魔獣達に襲われているところを。

 よく見ると戦闘服や鎧姿で戦う魔法少女達の姿があった。


「失せろ!」


 蓮は飛びながらスナイパーライフルを生み出し、構える。

 そして引き金を引き、五発の弾丸を放つ。

 超高速に飛ぶ弾丸たちは正確に魔獣の頭を撃ち抜いた。

 魔獣達はゆっくりと倒れ、魔法少女達は呆然とする。


「大丈夫ですか!」

「!!あなたは……《機神》!?」


 蓮が近づくと、他の魔法少女達が驚愕の表情を浮かべた。


「ここは危険です!早く避難を!!」

「それが……できないのよ」

「それはどういう」


 どういう意味か尋ねようとして、蓮は気付く。

 怪我をしている多くの人間に。

 重傷を負っている者もいて、避難できない状態だった。

 これからどうするか蓮は考える。

 その時、


「お兄ちゃん!」


 少女の声が聞こえた。

 その声を聞いて、蓮は笑みを浮かべる。


「ナイスタイミング!」


 声の主は姫神りりさだった。

 フリルが付いたドレス風の赤い着物を着ており、手には鈴が付いたステッキが握られている。

 そして瞳と髪の色が炎の如く赤い。


「りりさ。この人たちの治療を頼む」

「オッケー!」


 りりさは赤い髪を揺らしながら、ステッキを振るう。


「炎で癒してあげて、【火雀(ひすずめ)】!」


 ステッキの鈴がシャリン♪と鳴り響くと、怪我人たちの身体が赤い炎に包まれる。

 炎は傷を癒していき、塞いでいく。

 そして怪我人全員を完治させた。


「すごい……一瞬で」


 りりさの回復能力を見て、他の魔法少女達は呆然とした。


「治療完了!」

「よくやった。さてみなさん!今のうちに安全なところに避難しましょう!」


 蓮は大声でそう言った。

 しかし誰も動こうとしない。

 

「安全なところまで俺達が護衛します!だからここから離れましょう!」


 蓮は改めて叫ぶ。

 しかし他の人達は動こうとしない。

 怯えた表情で身体を震わせていた。


(ダメだ。身体の傷が治っても、心の傷までは)


 魔獣に襲われるという恐怖と絶望。

 魔法少女ではない一般人の彼らには、動けない理由には十分だ。

 なんとか説得しようと蓮が考えていたその時、


「みんな~!大丈夫。アタシ達が絶対に守るから!」


 太陽の如く明るい笑顔で大声を出す姫神りりさ。

 誰もが彼女に視線を向ける。


「怖い魔獣なんてアタシ達ならけちょんけちょんに倒すから安心して!」


 恐怖で震えていた彼らの身体が止まる。

 絶望で歪んでいた顔が和らいでいく。


「本当に……大丈夫?わたしたち……助かるの?」


 五歳児ぐらいの幼い少女が不安な顔で問い掛けた。

 するとりりさはしゃがみ込み、満面の笑みで幼い少女の頭を撫でる。


「もちろん!」


 りりさの言葉を聞いて、幼い少女は笑顔を浮かべた。

 他の人達も安心したのか、笑顔を浮かべる。

 それを見ていた蓮は改めて妹の凄さに驚き、尊敬した。


「本当……すごいやつだよ。お前は」


<><><><>


「りりさの言葉には力があった。りりさの笑顔は、他の人を笑顔にさせた。本当に……すごいやつだった」


 目を細めながら語る蓮は、どこか悲しそうだった。


「アイツと〈マジックアイテム〉である【火雀】のコンビは素晴らしかった。どんな人だろうと癒し、りりさと【火雀】の炎は俺達に勇気と力を与えた」

「ねぇ……蓮兄さん。【火雀】ってもしかして」


 何かに気付いたエイミーは問う。

 彼女の問いに対し、蓮は頷いて答える。


「【火雀】は……俺が今、使っている〈マジックアイテム〉―――【鳳凰】の本当の名前だ」

「やっぱり……」


 蓮の言葉を聞いて、エイミーは悲しそうに顔を歪めた。

 彼女は理解したのだ。

 兄は妹の〈マジックアイテム〉を使っているのだと。


「なんで【鳳凰】なんて名前に変えたの?」

「……詳しくはあとで話すが、アイツは嫌っているんだ。【火雀】って名前が」

「どうして?」

「主を……りりさを助けることができず、自分だけ生き残った弱い【火雀】(自分)が嫌いなんだ」

「!」

「だから名前を変えたんだ。ちなみに【鳳凰】って名前を付けたのは俺だ」


 悲しそうに顔を歪める蓮を見て、エイミーだけでなく、エイナや修、百合は胸が苦しくなるのを感じる。

 好きな人が悲しそうにすると、エイミーたちも悲しかった。


「次は俺のもう一人の相棒―――【機械神】の話をしよう」


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