魔王と魔王の眷属1
エイナを背負いながら学生寮に向かう蓮。
そんな彼に三人の少女が近づく。
「蓮兄さん」
「蓮さん」
「先輩」
エイミーと百合、そして修だ。
「おお……三人とも。どうだった?」
蓮が問うと、修が落ち込んだ表情を浮かべる。
「すみません、先輩。僕……負けました」
「え?マジで?これは予想外だな」
「……魔王の魔力を使いこなせなかったんです」
「……そうか」
蓮は優しく微笑みを浮かべ、修の肩に手を置く。
「お疲れ様。よく頑張った。自分の敗因がわかっただけでもよしとしよう」
「……先輩。僕……必ず先輩の魔王の魔力を使いこなしてみせます」
悔しさを押し殺した顔で、修はそう言った。
彼女の言葉を聞いて、蓮は「そっか」と満足した顔で頷く。
「楽しみにしてる」
「はい!」
「……さて、勝利したエイミーと白雪さん。約束通り二人を眷属にします。ただその前に……二人に質問です」
蓮は真剣な表情を浮かべながら、エイミーと百合に視線を向ける。
「二人とも……本当に魔王の眷属になる覚悟はありますか?今なら後戻りができます」
蓮の問いに対し、エイミーと百合は……笑みを浮かべた。
「覚悟ならできてるよ」
「覚悟ならできてる」
二人の言葉を聞いて、蓮は「そうか」と言って目を閉じる。
そして目を開け、口を動かす。
「なら今ここで二人を、俺の眷属にすることを認める」
次の瞬間、エイミーと百合の胸から一本の鎖が伸び、蓮の胸に突き刺さった。
そして鎖が消えると、蓮の右手の甲に二つの魔法陣の紋様が浮かび上がる。
同時にエイミーと百合の首に、首輪のような紋様が浮かび上がった。
「これで二人ともは俺の正式な眷属になった」
蓮の言葉を聞いて、エイミーと百合は嬉しそうに微笑む。
「やった!」
「これで蓮さんと一緒にいられるわ」
なんで喜ぶんだよと思いながら、蓮は苦笑する。
「ところで先輩。なんでエイナと一緒にいるんです?」
蓮がエイナを背負っていることに気付いた修は尋ねる。
「あ~、えっと。とりあえず寮に戻ったら話すよ」
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