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TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
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気合と根性

 修を近距離で炎と冷気の魔法攻撃を放ったエイミー。

 炎と冷気の爆発が目の前で発生し、エイミーは軽く吹き飛ぶ。

 ゴロゴロと床の上を転がったエイミーは、顔を上げた。


「やった…の?」

「それはフラグだよ、エイミー」

「!」


 二本の槍を握り締め、平然と立っていた巨人族の少女。

 傷一つない彼女を見て、エイミーは目を大きく見開く。


「な…んで」

「いや~……今の一撃はヒヤッとしたよ。昔の僕だったら気絶してたかもね。でも……今は違う」


 修は片足を上げ、床を強く踏んだ。

 すると床から大きな黒い石の手が現れ、エイミーの身体を掴む。

 拘束されたエイミーはなんとか抜け出そうとするが、黒い石の手はそれを許さない。


「先輩が眷属を増やしたくない理由がよく分かったよ。魔王の魔力(この力)は異常だ。昔の僕ならプロの魔法少女と戦ったら一瞬で負ける。だけど今の僕なら、プロの魔法少女が百人いても余裕で倒す自信がある。まさに化物……きっと激しい戦いに巻き込まれるね」

「……」

「先輩はこの力を持てば人が不幸になると分かってる。だからエイミー……先輩の眷属になるのは諦めて。先輩は僕が支えるから」


 真剣な表情で説得する修。

 彼女は本気でエイミーを案じていた。


「……心配してくれているのはわかるよ、修。だけどね」


「余計なお世話だよ」


 瞳を真っ黒に染めて、修を睨むエイミー。

 彼女の闇の如き黒い瞳を見て、修は一瞬だけ息を呑む。


「好きな人の隣にいるためなら化物にだってなるよ。蓮兄さんは自分が支える?寝言は寝て言ってよ。蓮兄さんを支えるのは私だよ。私だけなんだよ。それを譲るつもりは……ない!」


 次の瞬間、エイミーの周りにいくつもの魔法陣が出現。

 魔法陣から炎の剣や水の槍、風の矢などが放たれ、エイミーの身体を拘束する黒い石の手を破壊した。

 だが同時にいくつかの魔法攻撃がエイミーに直撃する。


「なっ!拘束を解くために自分ごと!?」


 まさかのエイミーの行動に、修は目を大きく見開く。

 ボロボロになりながらも、しっかりと立つエイミー。

 彼女は瞳を黒く光らせる。


「かかって来なよ、修。全力で叩き潰して、蓮兄さんの隣に相応しいのは私だって教えてあげる」


 エイミーの言葉を聞いた修は、額にビキビキと青筋を浮かべる。

 全身の血が沸騰するような怒りを覚えた修は、瞳を真っ黒に染めた。


「オッケー、わかった。なら僕は全力でエイミーを叩き潰してあげるよ!」


 修は二本の槍から怒涛の連続刺突を放った。

 人の目では捉えることができない連撃。

 迫りくる連撃を前にして、エイミーは……落ち着いていた。


「甘いよ、修」


 エイミーは両手の手の平に魔法陣を形成。

 魔法陣を宿した手の平で、怒涛の連続刺突を全て受け流す。


「なっ!?」


 遠距離で魔法攻撃で戦うエイミーが、まさかの近接戦闘。

 そのことに修は驚愕する。


(蓮兄さんの言った通りだ!)


 攻撃を受け流しながら、エイミーは思い出す。

 愛する兄である蓮が言っていたことを。


<><><><>


「え?魔法少女の力を高める方法?」


 エイミーが呪いのせいで入院していた頃。

 見舞いに来た蓮に、彼女は強くなる方法を聞いていた。


「うん。蓮兄さんが魔法少女になった時、すごかったからその理由はなんだろうって気になって」

「まぁ……色々とあるが、魔法少女の能力を高める一番の方法は―――」



「気合と根性だな」


 まさかの予想外の言葉に、エイミーは目を丸くする。


「え?気合と根性?てっきり特別な訓練とか奥義とか言うのかと思っていた」

「もちろんそれもある。だが一番重要なのは……(ここ)だ」


 蓮は右手の人差し指で自分の胸を軽く叩く。


「人間がなんで車だとか、飛行機だとか生み出せたのか分かるか?知能があったから?それとも才能?違う。これを作りたいやこれが欲しいという強い想いがあったからだ」

「想い……」

「想い……もしくは欲望がなければ人は何も成せない。一番になりたい、有名になりたい、幸せになりたい。そんな想いが人を強くする。特に魔法少女はな」


 真剣な表情で蓮は言葉を続ける。


「魔法少女の体内にある魔力は強い想いで活性化する。速い攻撃が遅く見えたり、身体能力が向上したりなど色々だ。そして気合と根性は一時的に魔法少女の能力を超強化する」


 蓮は微笑みを浮かべて、エイミーの頭を撫でる。


「いいか、エイミー。もし呪いが解けて元気になって、魔法少女の力でなにかを成したい時は難しく考えず、まず気合と根性を出せ。そうすれば―――」


「お前は無敵だ」


<><><><>


(私がしたいこと……そんなの決まっている)


 修の連続刺突を全て受け流したエイミーは、強い想い(欲望)を宿した瞳を強く光らせる。


(蓮兄サンヲ管理シタイ。チャント監視シテ、私ダケシカ見ラレナイヨウニスル!)


 エイミーは気合と根性で、魔法少女の力を超強化。

 彼女の周りにいくつもの魔法陣が出現し、()()()


「行くよ、修。今の私は……無敵だよ」


 読んでくれてありがとうございます。

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