後輩の新たな力3
(まさかここまでヤバいとは思わなかったな~)
頬から一筋の汗を流し、フゥ―と息を吐くエイミー。
共に戦っていた百合は拘束され、無力化。
つまり一人で修と戦わなければならないということ。
(けど……今の修に私が勝てるの?)
今の修は魔王の魔力を手に入れて、化物のように強い。
ハッキリ言って勝ち目はない。
しかし、エイミーは負けられなかった。
(ここで勝てないと、蓮兄さんの隣にはいられない!)
エイミーは空中に巨大な魔法陣を召喚した。
その魔法陣から灰色のマントを羽織り、緑の帽子を被った男が現れる。
彼は鋭い目つきをしており、手には猟銃が握られていた。
まるで狩人だ。
(私の〈マジックアイテム〉は【魔法王】!ありとあらゆる属性の魔法を使うことができる。だけど一番のすごいところは強力な悪魔を召喚し、戦わせること。そっちが化物なら、こっちは悪魔で対抗する!)
エイミーは命令する。
己が召喚した悪魔に。
「行ってバルバトス!目の前にいる魔法少女を倒して!」
主の命令に従い、狩人の悪魔は駆け出す。
近づいてくる悪魔。
そいつを倒すために、修は空中に無数の黒い石の槍を生み出し、飛ばした。
迫りくる石の槍の雨。
それを目にしてもバルバトスは恐れない。
彼は冷静に猟銃を構え、引き金を引く。
パアン!という銃声が鳴り響き、銃弾が飛ぶ。
そして銃弾は細かく分裂し、無数の石の槍を破壊した。
「へぇ~やるな~」
目を細める修の懐に入ったバルバトスは、猟銃の銃口を彼女に向ける。
そして迷わず引き金を引いた。
直後、銃口から弾丸が勢いよく放たれる。
弾丸が修の顔に直撃する寸前、
「遅いよ」
右手に持っていた槍を修は振るい、弾丸を弾く。
そして左手で握り締めた槍で、バルバトスの身体を貫いた。
槍に貫かれたバルバトスは粒子になって消滅する。
「惜しかったね」
「ぜんぜん惜しくないよ、修」
「!」
修の背後からエイミーの声が聞こえた。
振り返った修の瞳に映ったのは、両手のそれぞれに赤と水色の魔法陣を形成させたエイミーの姿。
「私の勝ちだよ。修」
エイミーは両手から炎と冷気を勢いよく放射。
炎と冷気による魔法攻撃が、修を呑み込んだ。
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