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TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
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妹の想い5

「ぐあっ!」


 天井に激突したエイナは自由落下し、硬い床に衝突。

 高いところから落ちた衝撃で、エイナは立ち上がることができなかった。


(嘘…でしょ。たった一撃で私の連打を無効化した!!)


 蓮が化物並みの強さを持っていることは、エイナも知っていた。

 だがここまで差があるとは思っていなかったエイナは、驚きを隠せない。

 もはや像と蟻。

 それぐらいの差があった。

 蓮は、エイナでは辿り着けないような場所に立っている。


「もう終わりだ、エイナ」


 地面に倒れているエイナに近付く蓮。

 エイナはゆっくりと顔を上げ、兄の顔を見る。


「あ」


 蓮の顔を見て、エイナは目を見開いた。

 彼は微笑んでいる。

 とても優しそうな、だけど寂しそうな顔で微笑んでいた。

 その微笑みを見て、エイナは胸が苦しくなるのを感じる。


「エイナ……お前はよく頑張った。俺のために頑張ってくれた。すごく嬉しいよ。ありがとう。お前が俺の眷属になってくれると言ってくれた時、ちょっと嬉しかった。だけど……」


 蓮は微笑みを消し、真剣な表情を浮かべる。


「お前は普通に生きろ。普通の学園生活を送り、普通に友達と一緒に遊んで、普通の魔法少女として生きてほしい。俺の復讐に付き合う必要はない」

「蓮…兄……」

「だから頼むよ、エイナ」


 蓮は心からの願いを言う。


「俺以外の男を好きになって、幸せになってくれ」


 その言葉を聞いた瞬間、エイナの胸の中で黒いなにかが爆発した。


「嫌だ」


 エイナは両手と両脚に力を入れ、ゆっくりと起き上がる。


「嫌だ」


 エイナはルビーの如き赤い瞳を真っ黒に染める。


「絶対に……嫌だ!!」


 次の瞬間、エイナの身体から黄金の粒子が発生した。

 嵐の如く吹き荒れる黄金の粒子。

 蓮は目を見開きながら、距離を取る。


「これは……」

「蓮兄……そんなことは言わないでよ!」

「!!」


 黒く染めた瞳で、蓮を睨むエイナ。

 彼女の緑と金の髪が長く伸び、まるで獅子の(たてがみ)のようになる。


「普通に生きろ?他の男を好きになって幸せになれ?そんなの死んでも嫌だね」


 黒く染まった瞳を怪しく光らせながら、エイナは言葉を続ける。


「蓮兄のそばにいられないなら、普通の人生なんていらない。他の男を好きになって幸せになるぐらいなら、死んでやる」


 獅子の鬣の如き緑と金の髪を揺らしながら、エイナは拳を構えた。

 惚れた男の隣に立つために、彼女は限界を超える。


「さぁ行くよ、蓮兄。私のことを無理矢理にでも意識させてあげる」

 読んでくれてありがとうございます。

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