妹の想い3
「蓮兄……私と決闘して」
エイナの言葉を聞いた蓮は、目を見開く。
「決闘?」
「そう、決闘。私が勝ったら、私を蓮兄の眷属にして」
「……俺が勝ったら?」
「そしたら魔王の眷属になるのを諦めるよ」
「……」
蓮は目を細めながら、顎に手を当てる。
彼は心の中で驚いていた。
いつも明るく、アホなことを言うエイナが、まさか自分と決闘しろと言うとは思わなかったから。
「いいだろう。その決闘を受けてやる」
蓮は瞳を怪しく輝かせた。
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魔法少女育成学園『三日月』の体育館。
そこで魔法少女に変身した蓮とエイナはいた。
赤い甲冑を纏い、右手で大太刀を握り締める赤髪の魔法少女。
そして黄金の鎧を纏い、金色のガントレットに覆われた拳を構える緑と金の髪の魔法少女。
二人の魔法少女は武器を構えながら、話し合う。
「こうやって戦うのは初めてだな」
「そうだね」
「お前の実力は見て分かる。学生の中ではそこそこすごい魔法少女。魔力量は普通だが、戦闘能力は学生にしては高いほう。努力してきたのが分かる。だが……プロの魔法少女と比べたらまだまだ。だから……手加減をしてやる」
赤き魔法少女――魔森蓮は綺麗な指で大太刀の刀身を撫でた。
すると大太刀の鋭い刃がなくなり、刃を持たない刀へと変わる。
「一撃だ。エイナが一撃でも俺に当てることができたら、お前の勝ちだ」
「……わかった」
エイナはフゥ―と息を吐き、ルビーの如き赤い瞳を強く光らせる。
「行くよ!」
エイナは床を強く蹴り、弾丸の如き速さで蓮に突撃した。
そして蓮の懐に入ったエイナは、力強く拳を振るう。
「ハァ!」
普通の人なら回避できない拳撃。
それを蓮は余裕の表情で、大太刀で弾き返す。
金属音が鳴り響き、エイナは軽く吹き飛ぶ。
「くっ!」
エイナはすぐにまた蓮に突撃し、怒涛の連打を放つ。
一撃一撃が速く重い連打を、蓮は全て大太刀で防ぐ。
エイナの攻撃を防ぐ蓮は、一歩も動いていない。
「遅い」
全ての連打を防いだ蓮は、大太刀の柄頭でエイナの胸に軽くトンと叩いた。
直後、エイナに強い衝撃が襲う。
「ガハッ!」
口から全ての空気を吐き出したエイナは、後ろに向かって勢いよく吹き飛ぶ。
そして壁に激突し、大きな衝撃音が鳴り響く。
壁にめり込んだエイナはゲホゲホと咳をする。
そんな彼女に、蓮はカツカツと足音を立てながら近づく。
「エイナ。お前は大切な妹だ。だから手加減はしてやる。ただ……」
蓮は赤い瞳を怪しく光らせた。
「二度と俺の眷属になりたいと言わないように、教育してやる」
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