表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
68/86

妹の想い1

 学生寮を出た後、蓮は外を歩いていた。

 向かう場所はエイナが入院している病院。

 

「……二人を叩き潰せはないだろう。俺」


 部屋で言ったことを思い出しながら、蓮は深いため息を吐いた。


(二人を俺の眷属にさせたいためとはいえ、修ちゃんにあんな命令を出してしまった)


 蓮は自己嫌悪し、またため息を吐く。

 彼にとってエイミーは大切な妹であり、百合は大切な友人。

 そんな二人を、魔王の眷属(化物)にさせないために彼は修に命令したのだ。


(だけど……後悔はない。二人を俺の復讐に巻き込むわけにはいかない。それに……今の修ちゃんならエイミーと白雪さんに勝つことなんて余裕だし)


 そう思いながら蓮が歩いていると、


「あれ?蓮兄?」


 彼の瞳に一人の少女の姿が映った。


「!お前は……」


 その少女は緑色のショートヘアーを伸ばし、両目にはルビーの如き赤い瞳を宿していた。

 耳が細長く尖っており、それが可愛らしい。

 エルフと吸血鬼のハーフ少女—――魔森エイナが、蓮の目の前にいた。


「エイナ?どうしてここに」

「今日、退院したんだよ。あれ?エイミーから聞いてない?」


 エイナの言葉を聞いて、蓮は気付く。

 エイミーはエイナを心配させないために、自分が行方不明になっていたことを黙っていることに。


「そういえばそうだった。それで今日、俺は迎えに行くところだったんだ」

「……」


 アハハと苦笑しながら誤魔化す蓮。

 そんな彼を、見定めるような目でエイナは見つめる。


「ねぇねぇ蓮兄!どこかでお茶しない?」


 明るい声を出し、エイナは笑顔を浮かべる。


「ああ、いいぞ」


<><><><>


 とあるカフェにやってきた蓮とエイナは、お茶を飲みながら話をしていた。


「ねぇねぇ。蓮兄はどんな本が好き?」

「お前も知っているだろう。ラブコメ系だ」

「兄妹恋愛ものは?」

「う~ん、それはちょっと……」

「なんでそんな微妙な顔をするの!?そこは『大好物だぜ♪グヘへへへ』と言うところでしょ!?」

「なんだよ『グヘへへへ』って」

「私は諦めない!蓮兄を兄妹恋愛脳にしてみせる!必ず!!」

「カッコイイ声で何を言ってんだよ、お前は」


 呆れた表情を浮かべる蓮。

 だがエイナと話をする彼は、どこか楽しそうだった。


「いや~やっぱり蓮兄と話すのはいいな~」

「俺は疲れるけどな」

「アハハ。そっか……」


 エイナはカップに入っている紅茶を一口だけ飲んだ後、微笑みを浮かべる。


「ねぇ蓮兄!」

「ん?」

「私を……」




「魔王の眷属にしてよ」


 その言葉を聞いた蓮は、手に持っていたカップから紅茶を零した。

 読んでくれてありがとうございます。

 気に入ったらブックマークとポイントをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ