魔王の眷属
「今……何と言った?」
満月は自分の耳を疑った。
修の言葉が衝撃的すぎて。
「僕は魔王の眷属になりました」
「なっ!」
満月は目を大きく見開いた。
「それは本当なのか!?」
「はい」
「……なんということじゃ」
満月は頭痛を覚え、頭に手を当てた。
(魔王の眷属。それは魔王に忠誠を誓った魔法少女。プロの魔法少女なんて片手で潰すことができる化物)
魔王の眷属がどれだけ面倒なのか、満月は知っている。
なぜなら一度だけ、魔王の眷属と戦ったことがあるから。
(大石修はもうただの魔法少女ではない。国を滅ぼすことができる化物じゃあ。放置はできぬ)
満月は深いため息を吐いた後、真剣な表情を浮かべた。
「大石修。なぜ魔王の眷属になった?」
満月の問いに対し、修はハッキリとした声で言う。
「惚れた男とずっといたい。それ以外に理由はいりますか?」
その言葉を聞いて、満月は黙るしかなかった。
そして黒く染まった修の瞳を見て、彼女はすぐに理解する。
この娘は、自分と同類だと。
好きな男とずっと一緒にいたい。
自分の全てを好きな男に渡したい。
自分を意識してほしい。
そして……惚れた男は絶対に離さない。
死ぬまでずっと共にいる。
そんな強く、闇の如く黒い欲望が大石修にはあった。
「……そうか。なら仕方ないのう」
満月はそう言うしかなかった。
怒ることはできない。
なぜなら修の気持ちが、満月には分かるから。
「ならお主も儂の部下になれ。今、蓮は儂の部下として働いておる。もちろんそれなりの給料は払うし、儂にできる範囲ならなんでもしよう」
「でしたら一つお願いします」
「なんじゃ?」
「僕を先輩と同じ部屋にいさせてください」
その言葉を聞いた蓮は思わず声を上げる。
「ちょ、修ちゃん!なに言って」
「先輩。僕は先輩とずっといたいんです。ず~とず~と一緒にいたいんです」
修は黒く染めた瞳を、蓮に向けた。
彼女の吸い込まれそうな黒い瞳を見て、蓮は後退る。
「先輩。イッパイオ世話シマスネ♡」
地獄の底から響いたような少女の声。
その声を聞いて、蓮は絶望の表情を浮かべる。
(哀れじゃな。蓮よ)
満月は蓮に同情した。
だが同時に、これは仕方ないことだと満月は思う。
(蓮よ。女とは狩人じゃ。狙った獲物は逃がさない。儂もそうじゃから)
満月は目を細めながら、一人の少女のことを思い浮かべる。
(我が娘よ。お主のために蓮をこの学園都市に連れてきたが、とんでもないライバルが現れたみたいなのじゃ)
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