《機神》6
「お前をここで殺す。雷の魔王」
チイイィィィィィィィィィィィィィィン!!という音を響かせながら、無数の刃を超高速回転させる大型チェーンソー。
それを構えた白銀の魔法少女は、背中に展開したいくつもの推進器から炎を噴射。
銀色の軌跡を描きながら、音速を超えた速度で雷の魔王に突撃した。
「面白い!」
雷の魔王レティ―・イナズマは身体から黒い稲妻を激しく放電させ、駆け出す。
黒雷の軌跡を描きながら、目に止まらぬ速さで彼女は白銀の魔法少女に突撃する。
二人の化物は一瞬で距離を縮め、武器を振るう。
「ハアァ!」
「オラァ!」
チェーンソーとウォーハンマーが激突した瞬間、嵐の如き衝撃波が発生。
地面に大きな皹が走り、周囲にあった何十本の木が吹き飛ぶ。
「ハアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「オラアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
白銀の魔法少女と雷の魔王は空を飛び、超高速で何度もぶつかり合う。
二人は銀と黒の軌跡を描きながらジグザクに飛行し、武器を振るい続けた。
ぶつかる度に金属音が鳴り響く。
そして、
バキィン!
蓮の大型チェーンソーが大きな音を立てて、粉々に壊れた。
しかし……これで彼は止まらない。
「これで終わりにしてやる」
彼は膨大な魔力を消費し、ある武器を生み出す。
その武器は剣だった。
雲を突き抜けるほど長く、そしてとてつもなく大きい。
そしてその剣には数え切れないほどの推進器が搭載されていた。
「喰らえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
蓮は超巨大な大剣を振り下ろした。
振り下ろす瞬間、推進器から勢いよく炎が噴射。
噴射された炎の反動で、超巨大剣の振り下ろされる速度が加速する。
高速に迫りくる超巨大剣を目にして、レティ―は……獰猛な笑みを浮かべた。
「その攻撃……真正面からぶち壊す!」
レティ―は大量の魔力をウォーハンマーに流し込んだ。
ウォーハンマーは激しく放電。
黒い稲妻を纏ったウォーハンマーを構え、両腕に力を込める。
「見るがいい。これが私の最強の一撃だ!」
魔王を告げる。己の必殺技の名を。
「災雷」
レティ―は黒い稲妻を纏ったウォーハンマーを、力強く振るった。
超巨大剣と黒雷を纏ったウォーハンマーは激突。
大きな衝撃波が発生し、無人島を覆う雲が吹き飛ぶ。
剣と槌は激しく拮抗する。
そして……大きな音を立てて、超巨大な剣が崩壊した。
「私の勝ちだ」
笑みを浮かべるレティ―。
完全な勝利だった。
レティ―のウォーハンマーは皹一つない。
だが……その勝利の確信が、僅かな隙を生む。
「……いや、違う」
背中の推進器から炎を噴射し、一瞬で距離を詰めた白銀の魔法少女。
レティ―は驚愕の表情を浮かべた。
「なに!?」
《機神》は残り僅かな魔力を全て使って、メリケンサックを生み出す。
それを右拳に装備し、レティ―の顔面に重い一撃を叩き込んだ。
強力な拳撃を受けた雷の魔王は、地面に向かって勢いよく吹き飛ぶ。
そして彼女は地面に激突。
大きな衝撃音が鳴り響き、地面が揺れた。
「ガハッ……」
口から血を吐き、動かなくなったレティ―。
そんな彼女の近くに着地した蓮は告げる。
「俺の勝ちだ」
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