表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
54/86

《機神》1

 回転している歯車で埋め尽くされた広い空。

 その空の下で白銀のドレスを纏った少女は虚空を見つめている。

 少女は長い銀色の髪を伸ばしており、背中から機械仕掛けの翼を生やしていた。


「蓮……」


 白銀の瞳を潤ませながら、少女は透き通った声を漏らす。

 機械仕掛けの翼を生やした少女は願った。

 大切な契約者が……自分自身を憎まないことを。


<><><><>


 大石修は自分の目を疑った。

 信じられなかったのだ。

 目の前の現実を。

 今、彼女の視線の先にいるのは……銀色のツインテールを揺らし、機械仕掛けの鎧を纏った魔法少女―――《機神》だった。


 ブオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!


 まるで怪物の雄叫びの如きエンジン音が、《機神》が纏う鎧から鳴り響く。


「……」


 《機神》―――魔森蓮はなにも喋らず、ただ静かに手を振るった。

 するとなにもないところから、大型チェーンソーが現れる。

 そのチェーンソーを右手で握り締め、構えた。


「来るなら来い」


 背筋が凍るような低い声を、蓮は口から出した。

 その直後、雷の戦士たちは一斉に襲い掛かる。

 戦士たちの雷の剣が、蓮の身体を串刺しにしようとした。


 しかし……そうはならなかった。


「消えろ」


 次の瞬間、無数の刃が高速回転するチェーンソーが、百体の雷の戦士たちを細切れにした。

 細切れにされた雷の戦士たちは一瞬で消滅。

 それを目の当たりにした修は、言葉を失う。


(嘘……炎の魔法少女の時とは比べ物にならない速さで、雷の戦士たちを!)


 修が驚愕している間に、蓮は左手からガトリング砲を生み出す。


「失せろ」


 引き金を引いた直後、複数の銃身が超高速回転。

 六つの銃口から無数の弾丸が放たれた。

 弾丸の雨は雷の戦士たちの身体にいくつもの風穴を開け、消滅させていく。

 だが蓮の攻撃はまだ終わっていなかった。


「邪魔なんだよ」


 蓮の周囲に、いくつもの銃が出現。

 その銃は浮遊しており、推進器が搭載されていた。


「死ね」


 そこから始まったのは戦いではなく、一方的な殲滅だった。

 無数の銃は超高速に飛びながら、弾丸を放ち、雷の戦士たちを撃ち抜く。

 そして《機神》はチェーンソーで敵を斬り裂き、ガトリング砲で無数の風穴を開ける。

 圧倒的な力で、一万以上いた雷の戦士たちは消滅した。


 かかった時間は……僅か五分。


「……」


 全ての敵を倒した蓮は生み出した武器を消し去り、変身を解除する。

 ただの少年に戻った蓮は、静かに俯く。

 そんな彼に、修はゆっくりと近づいた。


「先輩……だったんですね。英雄……《機神》は」

「……違う。俺は……英雄じゃないよ」


 蓮は目を細めながら、右手の中指に嵌まっている銀色の指輪を見つめる。


「俺は……この世で最も愚かな魔法少女だよ」


 蓮の声には、深い悲しみと自分に対しての強い怒りが宿っていた。


「……聞かせてください。《機神》のことを……なにがあったのか」


 聞かずにはいられなかった修は、問う。

 しかし蓮は口を開かない。

 やがて冷たい雨が降り、二人を濡らした。

 雨が降る中、修は一歩も動かず、ただまっすぐに……蓮を見つめる。

 数分後、蓮の口がゆっくりと動いた。


「……いいよ。教えてあげる。《機神》の……過去を」

 読んでくれてありがとうございます。

 気に入ったらブックマークとポイントをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ