表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
50/86

妹の友達4

 浮遊学園都市『大和』、バトル専用巨大体育館。

 そこは東京ドーム並みの大きさの建物で中は広く、多くの魔法少女達が戦闘訓練する場所。

 だが今日だけ、魔法少女達は手を止めていた。

 なぜか?

 それはある二人に注目していたから。


 一人は茶色に輝く長い槍を構える巨人族の魔法少女—――大石修。

 彼女の全身は石の鎧で覆われている。


 そしてもう一人は刀身が長い刀を右手に握り締めた赤髪の魔法少女—――魔森蓮。

 彼女が纏う甲冑は炎の如く赤い。


 眉間に皺を寄せて、黒く染まった瞳で目の前の魔法少女を睨む修。

 なにも喋らず、ただ静かに自分の後輩を見つめる蓮。

 そんな二人を観客席から魔森エイミーと白雪百合は見ていた。

 エイミーは不安で胸がいっぱいで、百合は心配そうに眉を八の字にしている。


「どうしてこんなことになってしまったのかしら」

「なに呑気なことを言ってるんですか!早く止めないと、蓮兄さんが危ないんです!」

「そんなに大石さんは危険なの?」

「はい。中学の頃、不良の魔法少女集団が修の憧れの人をバカにしたことがあるんです。それで修がブチギレして、不良たちを全員……病院送りにしたんです」

「それはすごい。……でも、蓮さんが負けるはずないし、怪我をすることはないわ。それより……私は別の意味で蓮さんが心配」


 百合は蓮の顔に視線を向けた。


「あの人……《機神》のことを話すとき、すっごく怒っていたわ。いや……憎んでいたわね」

「それは……私も思いました」

「魔神教団と同じくらい……いや、それ以上に《機神》のことを憎んでいる」


 百合とエイミーは知っている。

 蓮がどれだけ魔神教団を恨んでいるか。

 だからこそ驚きを隠せなかった。

 魔神教団以上に《機神》という魔法少女を、蓮が憎んでいることに。

 

「蓮さん……あなたになにがあったの?」


<><><><>


「準備はいいかな?修ちゃん」

「黙れ。お前に名前で呼ばれたくない」

「……分かった。なら大石さん。どっからでもかかってこい」


 修は額に青筋を浮かべ、目を血走らせた。


「殺す!」


 彼女は槍を振るった。

 その直後、空中に大きな石の両手が現れる。

 石の両手は拳を握り締め、蓮に襲い掛かった。

 超高速で迫りくる石の拳。

 だが蓮は動じない。


「シッ」


 蓮は舞うように赤い大太刀を振るい、石の拳を細切れにした。

 その時、蓮が影に覆われる。

 上に視線を向けると、そこにあったのは巨大な石の塊。


「潰れろ!」


 修が槍を振り下ろした直後、巨大な石の塊が落下。

 普通の人なら押し潰されて死ぬだろう。

 しかし……《魔炎》は違う。


「フッ!」


 赤き魔法少女は素早く大太刀を振るい、一閃。

 巨大な石の塊は真っ二つに割れ、床に落下。

 真っ二つに割れた石は土煙へと変わり、舞い上がる。

 

「なるほど……土煙で俺の視界を潰したか」


 蓮がそう言ったその時、彼の背後から鋭い槍が迫った。

 彼は振り返らず、大太刀の剣先で槍の刺突を受け止める。

 土煙は吹き飛び、火花が飛び散り、金属音が鳴り響く。

 

「なっ!」


 まさか刀の剣先で攻撃を防がれるとは思わなった修は、目を大きく見開く。

 

「作戦は悪くないが、奇襲ならもう少し殺気を隠すべきだった」

「くっ!黙れ!」


 修は槍を地面に突き刺した。

 次の瞬間、蓮の足元から無数の石の棘が勢いよく伸びる。

 蓮は素早く後ろに跳んで、石の棘を躱す。

 彼が地面に着地した瞬間、修は駆け出し、刺突の連撃を放つ。

 襲い掛かる連続刺突。

 それを蓮は大太刀で受け流す。

 そして、


「終わりだ」


 蓮は大太刀で槍を弾き飛ばした。

 槍はクルクルと空中を回転した後、床の上に転がり落ちる。

 武器を失った修の首元に、蓮は大太刀の刃を軽く当てた。


「俺の勝ちだ」


 圧倒的な強さで勝利した蓮。

 彼の戦いを観客席から見ていた少女や女性たちは呆然とする。


「約束だ。もう《機神》に憧れるのはやめろ」

「……いやだ」

「なに?」

「いやだ!!」


 修は真っ黒に染めた目で、蓮を睨んだ。

 鼻息が荒く、眉間には皺が寄っている。


「なんで……なんであの人に憧れちゃあダメなの!? なんであの人のことを悪く言うんだ!」

「……」

「お前に……あの人のなにが分かるんだああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 修は右手から石のナイフを生み出し、蓮に襲い掛かった。


「修!ダメ!」

「まったくもう!」


 観客席にいたエイミーと百合は飛び出そうとした。

 その時、


「分かるよ」


 蓮は左手の掌で石のナイフを受け止めた。

 石のナイフは彼の掌を貫く。

 赤い血が流れ、ポタポタと床に落ちる。


「!!」


 石のナイフを掌で受け止めたのを見て、修は言葉を失う。


「分かるよ……《機神》のことは誰よりも分かっている。アイツがどれだけ愚かか。そしてなぜゴミなのか……俺が一番、分かってる」


 悲しそうに目を細めながら、静かに涙を流す蓮。

 そんな彼を見て、修はなにも言えなかった。

 

 どうしてそんな顔をするの?

 どうして涙を流すの?

 どうして悲しい声を出すの?


 そんな疑問が修の頭の中に浮かび、胸が苦しくなるのを感じた。

 その時、蓮と修の足元に光る巨大な魔法陣が突如として出現。

 

「え?」

「修ちゃん!今すぐ離れろ!」


 次の瞬間、魔法陣が強く光り出した。

 あまりにも眩しさに観客席にいた人達は両腕で目を隠す。

 やがて光が収まると、さきほどまでいたはずの蓮と修の姿はなかった。


「修!蓮兄さん!」

「まさか……転移!?」


 エイミーと百合は二人が消えたことに驚愕する。


「とりあえず学園長に!」

「そうね!」

 読んでくれてありがとうございます。

 気にいったらブックマークとポイントをお願いします。

 あと感想をください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ