妹の友達2
「先輩先輩!こっちの服とこっちの服……どっちが僕に似合いますか?」
エイナとエイミーの友人であり、蓮の後輩……大石修。
彼女は両手にそれぞれ違う服を持ちながら、蓮に問い掛けていた。
今、修は蓮を連れてショッピングモールに来ており、服を選んでいた。
「そうだな~……左手に持っているボーイッシュな服がいいんじゃないかな?そっちが一番似合いそう」
蓮が素直にそう言うと、修は「じゃあこれを買ってきます」と言ってレジに向かった。
一人残された蓮はフゥ―と息を吐く。
(どうしてこうなった……)
まさかの後輩……しかも妹の友人である修とデートしている。
蓮にとって笑えない事だった。
なぜなら、
(すっげぇ目で見ているよ、あの二人)
蓮はチラッと後ろに視線を向ける。
彼の視線の先には、建物の柱に隠れて蓮を見ているエイナと百合の姿が。
彼女達は瞳を真っ黒に染めており、口元を三日月に歪めていた。
(いつの間にいたんだよ、あの二人。やばい……今日、死ぬかも)
魔神教団の幹部や魔獣よりも恐ろしく見える妹と友人。
蓮は背中から大量の汗を流しながら、これからのことを考える。
「まず、これ以上…二人を怒らせないために修ちゃんとはここで別れよう。うん……そのほうがいい」
「先輩、なにぶつぶつ言ってんですか?」
「わぁ!?」
いつの間にかいた修に驚き、蓮は思わず声を上げた。
「そ、そんな驚かなくても……」
「ご、ごめん。ついね。アハハハ」
「先輩?顔が汗だらけですよ?」
「気のせいだ」
「そうですか?なら……この後は食事にしましょう。そろそろお昼ですし!」
「い、いや……俺、これから用事が……」
「行きますよ、先輩!」
「え?いや、ちょ!!」
修は蓮の手を掴み、歩き出す。
巨人族である彼女は力が強く、蓮は振りほどくことができなかった。
<><><><>
次にやって来たのは、食べ放題のバイキングだった。
野菜や魚、肉、ごはんにデザートなど多くの料理が並べられている。
修は大きな皿に唐揚げやポテトサラダ、寿司などを盛り付けていく。
それを隣で見ていた蓮は頬を引き攣った。
「す、すごい量だね…」
「巨人族はごはんをいっぱい食べるんです。……先輩はご飯をたくさん食べる女の子は嫌いですか?」
「いや……嫌いじゃないけど」
蓮の言葉を聞いて、修はパァ!と明るい表情を浮かべた。
「よかったです!」
嬉しそうに笑う巨人族の後輩。
そんな彼女を蓮は素直に可愛いと思った。
料理を皿に盛り付けた蓮と修は席に座り、手を合わせる。
「いただきます~!」
「いただきます」
修はガツガツと料理を食べていく。
ものすごい勢いで修の皿に載っていた料理が消えていく。
それを見ていた蓮は、呆然としていた。
「す、すいません。私だけガッツいて」
蓮に見られていることに気付いた修は、頬を赤く染める。
「あ、いや……ぜんぜん気にしなくていい」
「そ、そうですか?」
「うん」
「よ、よかったです。ところで先輩はなんで街の中で魔法少女に変身したのですか?街の中では基本、魔法少女になるのは禁止ですよ?」
「あ~あれ……実は、ヤバい気配を感じて、反射的に魔法少女になったんだ」
「ヤバイ気配?」
「うん……修ちゃんでもわかるように言うと……神級の魔獣かな」
その時、口に料理を運んでいた修の手が止まった。
「じょ、冗談やめてくださいよ」
「……そうだな。神級は言い過ぎたかな」
そう言って蓮は冷たい麦茶を飲んだ。
(そうだよな……神級の魔獣は世界の半分を滅ぼした化物。そんな奴の気配を感じ取ったってなんの冗談だよって言いたくなるのもわかる。でも……間違いなくあの感じは)
全身が凍るような悪寒。
それを蓮が思い出していた時、
「先輩!先輩ってば!」
修の声が聞こえた。
「な、なにかな?修ちゃん」
「もう……何度、呼んでも反応しないんですからまったく」
「ご、ごめんね。ちょっとボーとしちゃって。で?なにかな?」
「その~……そのエビフライを食べさせてほしいな~と」
修の視線が蓮の皿の上にあるエビフライに向けられていた。
(なるほど……あ~んをしてほしいのか。でも……それは)
蓮は圧を感じる方向に視線を向ける。
彼の視線の先には、アイスティーを飲みながら蓮達を見ているエイミーと百合の姿があった。
口は笑っているが、目が笑っていない。
(ここは彼女達を怒らせない方がいい)
そう思った蓮は素直に断ることにした。
「しゅ、修ちゃん。流石にあ~んするのは」
「だめ……ですか?」
瞳を潤ませ、上目遣いで問う大石修。
甘えてくる先輩に蓮は、
「しょ、しょうがないな」
フォークをエビフライに刺し、修の口に近付ける。
「あ、あ~ん」
「あ~ん!」
修は一口でエビフライを口に入れ、幸せそうに食べた。
同時にエイミーと百合の身体からドス黒いオーラが放たれる。
蓮の顔から大量の汗が流れた。
「今日……生きて帰れるかな?」
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