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TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
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妹と友達はナースになる

「はい、蓮兄さん。あ~ん」

「こっちも、あ~ん」


 フォークを刺したリンゴやイチゴを、蓮の口に近付けるエイミーと百合。


「いや……自分で食べられるから」

「いやなの?」


 捨てられた子犬のような目で見つめてくるエイミーに、蓮はなにも言えなかった。


「私たちのことを心配させたのだから、これぐらいは受け入れてほしいわ。蓮さん?」


 蓮の顔に自分の顔を近づける百合。

 彼女の美しい顔から強い圧を感じ、蓮は両手を挙げた。


「分かった。降参、食べますよ」


 蓮はフォークに刺さったリンゴやイチゴを食べる。

 甘い果物の味が蓮の口の中に広がった。


「どう?」

「おいしい?」


 蓮は首を縦に振り、「ああ、おいしい」と答えた。


「ところで二人とも……ずっと気になっていたんだが」

「なに?」

「なんで……ナース服を着てるんだ?」


 そう。

 エイミーと百合は私服ではなく、白いナース服を着ていた。

 しかも普通のナース服と違い、スカートの丈がとても短い。

 ギリギリパンツが見えそうで見えないような絶妙な長さ。


「こ、これは……蓮兄さんが喜ぶからって聞いたから、その……」

「フフフ。どう?かわいいでしょう」


 顔を真っ赤にしてモジモジするエイミーと、セクシーポーズを取る百合。

 そんな彼女達を見て、蓮は顔に手を当てる。


「まったく……なにをやってるんだ」

「で、でも蓮兄さんこういうの好きでしょ?」

「いや、好きって言われても……」

「だって……プラモデルの箱の中に隠していた薄い本に、ナース系やメイド系のやつがいっぱいあったよ?」

「おい、なに男のプライバシーを覗いてんの!?」


 二人の話を聞いていた白雪百合は蠱惑的な笑みを浮かべる。


「ふ~ん。そうなの。なら……このまま押し倒しても問題ないわよね?」


 百合はベットの上に乗り、蓮に近付く。


「白雪さん!?なにして……」

「蓮さん……目を閉じて」

「ちょ、マジで待ってください!!」


 唇を近づける百合。

 そんな彼女から逃げようとした蓮の肩を、美しい白い手が掴む。

 離れようとしても、離れない。


「逃げないで」

「いや、逃げますよ!っていうか、力つよっ!!」


 あと少しで百合が蓮にキスをしようとした。

 その時、エイミーが百合を突き飛ばす。


「エ、エイミー。助かっ」

「ダメ……ダメだよこれは。このままじゃあ蓮兄さんが奪われちゃう!私が管理しなくちゃ…管理しなくちゃ」

「エ、エイミーさん?」


 瞳を真っ黒に染めて、ブツブツと喋り出すエイミー。

 そんな彼女を見て、嫌な予感を感じた蓮は頬を引き攣った。


「……蓮兄さん」

「な、なに?」

「監禁されるなら……どういう部屋がいい?」


 蓮はすぐにベットから降りて、素早く病室を出た。

 そして全速力で廊下を走る。

 彼は振り返られない。

 ただ逃げる事だけを考えて、蓮は走る。

 そんな彼を、魔法少女に変身したエイミーと百合が追いかける。


「待ってよ。蓮兄さん!ちゃんと私が管理してあげるから」

「逃がさないわよ、蓮さん!」


 真っ黒に染めた瞳を輝かせながら、追いかけるエイミーと百合。

 蓮は止まらない。死ぬ気で走った。

《煉獄》との戦いとは別の緊張感を感じながら、蓮は走り続ける。


「ああ、クソ!やっぱりヤンデレは怖いわ!誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 病院の中で蓮の叫び声が響いた。


<><><><>


 広大な海に浮かぶとある大きな無人島。

 その無人島の草原で、一人の少女が寝っ転がっていた。

 少女は黄色の髪を三つ編みにしており、頬には稲妻のタトゥーが施されている。

 彼女は気持ち良さそうに眠っており、鼻から鼻ちょうちんが出ていた。


「スピ―スピ―……ん?」


 鼻ちょうちんが割れると同時に、少女は起き上がった。


「この感じ……なるほど、新しい魔王が誕生しようとしているみたいだな」


 少女はニッと笑みを浮かべ、立ち上がる。


「なら会ってみるか。新たな魔王に」


 シトリンの如く黄色の瞳を輝かせながら、少女は己の身体から激しい稲妻を発生させた。

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