復讐は終わらない3
「クソいってぇ~」
目を覚ました蓮が、最初に口から出た言葉がそれだった。
全身筋肉痛のような痛みに襲われ、身体が重く感じていた蓮。
「やっぱり【鳳凰】の蒼炎は、肉体の負担が大きいな」
上半身を起こした蓮は、ポキポキと腕を回す。
「ここは……病院か?」
蓮は周囲を見渡す。
彼が今いる場所は、綺麗に清掃された白い部屋。
とても広く、大きなテレビがあり、まるで高級ホテルのよう。
右腕には点滴が刺さっている。
そしてベットの上に居る蓮の近くには、目を閉じて吐息を漏らす二人の少女の姿があった。
「エイミー……白雪さん」
「おぬしが目を覚ますまでここにいると聞かないのじゃ。その子娘達は」
「!!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
声のほうに視線を向けると、そこにいたのは学園長である皇覇満月。
そして彼の隣には、黒髪の少年—――皇覇月夜の姿もあった。
「学園長……月夜さん」
なぜここに?と蓮が聞く前に、満月と月夜は答える。
「お主と話がしたくてのう」
「僕はお見舞い。魔森蓮くん、調子は大丈夫?」
眉を八の字にして尋ねる月夜。
本気で心配してくれている彼を見て、蓮は胸が温かくなるのを感じた。
「はい、大丈夫ですよ。身体のあちこちは痛いですけど、【鳳凰】の炎で治せます」
「そっか~よかった」
「月夜さんのほうは大丈夫ですか?」
「僕は平気。満月が避難させてくれたから」
「そうですか~。よかったです」
月夜と蓮は笑い合う。
歳は離れているが、二人は確かに感じていた。
男の友情を……いや、ヤンデレに愛されている男の友情を。
蓮と月夜が男の友情を感じていた時、満月はゴホンと咳をする。
「蓮。お主に聞きたいことがあるのじゃ」
「なんでしょう?」
「お主……覚醒しているな?まだ完全ではないが」
「……気付いていたんですか?」
「眠っている間にお主の身体を調べさせてもらった。もう少しで……人ではなくなる」
「覚悟は出来ています」
真っすぐな目で蓮はそう言った。
彼の言葉と目には、迷いがない。
満月はハァとため息を吐く。
「そうか……なら止めぬ」
「満月、いったいなにを話しているの?魔森蓮くんが人ではなくなるってどういうこと?」
話についてこれていない月夜。
そんな彼に満月は「月夜は知らなくていい」と告げる。
「蓮よ。お主が魔王になる覚悟があるのは分かった。だがよく覚えておくのじゃ。お主が人でなくなったら、悲しむ者がいることを」
「……はい」
蓮は眠っているエイミーと百合に視線を向ける。
彼女達の顔が悲しみで歪めるのを想像した蓮は、胸が苦しくなるのを感じた。
「分かってます。ですが……復讐は続けます」
「そうか……では、儂らはこれで」
満月は月夜を連れて、病室を出た。
残された蓮は眠っているエイミーと百合を見つめる。
彼の瞳には、なにがなんでも守りたいという覚悟が宿っていた。
「もう……死なせない。絶対に」
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