蒼き炎3
復讐の蒼炎を宿した《魔炎》の拳。
憎しみの赤黒い炎を宿した《煉獄》の拳。
二つの拳はぶつかり合い、激しく拮抗する。
蒼炎と赤黒い炎の嵐が発生し、周囲のものを吹き飛ばす。
「無駄だよ!あんたの〈マジックアイテム〉は支援特化型!戦闘特化型の私の〈マジックアイテム〉には、勝てない!!」
「くっ!」
僅かに蓮の足が後ろに下がった。
同時に彼の左腕から無数の傷が生まれ、赤い血が噴き出す。
激痛に襲われた蓮は顔を歪める。
しかし、彼は……、
「ふ……ざけんじゃねぇ!」
諦めなかった。
「俺がここで負けたら、エイミーと白雪さんはお前に殺される!そんなことはさせない!!あんな想い……二度と味わってたまるか!!」
蓮の蒼い瞳が強く光り出す。
彼の胸の中で燃えていたのは、復讐の炎だけではない。
大切なものを守りたい。
妹を、友を死なせたくないという強い想いが、蓮の胸の中に宿っていた。
その炎が、蓮の背中を押す。
「勝つのは……俺だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
次の瞬間、蓮の左拳に宿っている蒼き炎が激しく燃え上がった。
勢いよく燃える蒼炎の左拳は、《煉獄》の左腕を破壊する。
骨が砕ける音が鳴り、血と肉が飛び散った。
「くっ!《魔炎》!!」
片腕を失った《煉獄》は右の拳で、蓮の頭を破壊しようとした。
だがそれよりも速く、蓮は蒼炎を纏った右拳を放つ。
彼の拳は《煉獄》の拳と激突し、破壊する。
両腕を失った彼女は後退った。
「そんな!」
「これで……終わりだ」
蓮は激しく、蒼く燃える左拳を強く握り締めた。
そして蒼炎を纏った左拳で《煉獄》の顔を力強く殴り、地面に叩きつける。
轟音が鳴り響き、地面が大きく陥没。
蓮の拳を受けた《煉獄》は竜人から少女の姿へと戻った。
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「ああ……負けちゃったのか」
憎き《魔炎》に殴られた私は、身体を動かすことができなかった。
頭がクラクラする。
視界がぼやける。
顔が痛い。
「《煉獄》……」
冷たい目で私を見下ろす魔森蓮。
ああ、憎い。
こいつを殺せないのが……悔しい。
「なにか言い残すことは?」
本当に……ムカつく奴。
「あんたに……いいことを教えてあげる」
私はムカつく《魔炎》に教えてやった。
未来視の魔眼で見た……魔森蓮の末路を。
「このまま復讐を続ければ……あんたは誰もが恐れる魔王になる」
私は覚えている。
魔王となった魔法少女の姿を。
魔眼で見た未来の彼は、全てが黒かった。
右手に握り締める大太刀も。
全身を覆う甲冑も。
腰まで伸びた長髪も。
復讐の炎を宿した瞳も。
そして……背中から生やした六枚の炎の翼も。
全てが常闇の如く黒く、禍々しく、そして……恐ろしかった。
「せいぜい……未来に怯えなさい♪クソ野郎♪」
「……そうかよ」
蓮は片足を上げ、そして……、
グシャ!!
なにかが潰れた音が聞こえた直後、私の意識は黒く染まった。
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