表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
40/86

蒼き炎1

「いいよ……なら、私の炎で焼き殺してあげる♪」


 殺意と怒りを宿した明るい声を口から出す《煉獄》。

 彼女は額に青筋を浮かべながら、蓮を睨んでいた。

 手に装備している大剣は、激しく燃えている。

 そこらへんにいる魔法少女だったら、戦意を失って逃げていただろう。


 だが……《魔炎》は逃げない。

 逃げるわけにはいかなかった。


(これは復讐だ。母さんや父さん、そして妹を殺した奴を殺す……俺の復讐)


 復讐は何も生まない。

 それは一度復讐をしたことがある蓮が……一番理解していた。

 まさにその通りであると頭では分かっている。

 だから―――、


(だからなんだ?)


 蓮は大太刀を強く握り締める。


(家族を殺した奴がのうのうと生きているのを、黙って見ていられるほど……俺は我慢強くねぇ)


 赤き魔法少女は己の胸に宿る復讐の炎を、静かに……だけど強く燃やす。


(俺は魔神教団のやつら全員にもう一度復讐する。それが例え間違えているとしても)


《魔炎》は修羅の如き顔で、《煉獄》を睨む。


「それは無理だ。なぜなら……俺がお前を殺すから」


 復讐のために。

《煉獄》を殺すために。

 友を、仲間を、家族を……妹を二度と失わないために。

 今度こそ大切なものを守るために。

 復讐の魔法少女(魔森蓮)は使う。


《魔炎》の必殺技を。


「炎よ、蒼く燃えろ」


 次の瞬間、蓮の身体が青く燃え上がった。

 激しく燃え上がる蒼炎。

 彼が纏った赤い甲冑が。

 刀身が二メートルはある赤い大太刀が。

 ポニーテイルに結ばれた長くて赤い髪が。

 炎の如き赤い瞳が。


 全ての赤が……蒼へと変わる。


「蒼い……炎?」


 蒼炎を纏った蒼き魔法少女(魔森蓮)

 彼はスーと息を吸い、大太刀を構えた。

 すると蒼い大太刀の刃に、蒼炎が発生する。

 刃に蒼く燃える炎を纏わせ、蓮は告げる。


「行くぞ」


 刹那、蓮の背中と足の裏から蒼い炎が勢いよく噴射。

 炎を推進力に変え、彼は目に止まらない速さで《煉獄》に突撃。

 たった一秒で《煉獄》の懐に入った蓮は、音速を超えた速度で大太刀を振り下ろす。


「くっ!」


 未来視の魔眼で未来を見ていた《煉獄》は、斬撃をギリギリ躱せ―――なかった。

 神速の斬撃によって《煉獄》の身体に、大きな傷跡が刻まれる。

 傷跡から大量の血が噴き出し、地面を赤く染めた。


「コフッ。な…に……!?」


 口から血を吐き出した《煉獄》は自分が斬られたことに今、気づく。


「【鳳凰】の蒼い炎は超強化型。回復、解毒、浄化ができない代わりに、強化能力を大幅に向上させた俺の必殺技だ。お前……俺の炎に殺傷能力がないって言ったよな?それは間違いだ」


 瞳に蒼い炎を宿らせた《魔炎》は、静かな声(殺意が宿った声)で言う。


「【鳳凰】の炎は燃やして殺すことができないだけで、己を強化して敵を殺すことはできるんだ。だから……」


 《魔炎》は蒼炎を纏った大太刀を振るい、怒涛の連撃を放つ。


「俺はお前をもう一度殺せる」


 大太刀から放たれる斬撃の嵐。

 蒼炎を纏っていることで、斬撃能力は数十倍まで強化されている。

 故に、《煉獄》の身体に無数の斬撃の跡が刻まれた。

 鎧ごと肉を切り裂かれる《煉獄》は顔を歪める。


 このままでは負ける。


 敗北の二文字が頭に浮かんだ時、《煉獄》の中で何かが切れる音が聞こえた。


「調子に乗らないでよね!《魔炎》!!」


 次の瞬間、《煉獄》の身体から赤黒い炎の柱が発生した。

 とてつもない熱風が勢いよく吹き、蓮はバックステップで距離を取る。


「その姿……」


 炎柱が消えると、そこにいたのは赤黒い炎の怪物。

 頭から伸びた太く長い二本の炎の角。

 激しく燃える炎の翼。

 腰から生えた長い炎の尻尾。

 そして赤黒い炎を纏った手と足。


 人と竜と炎が合体したような姿になった《煉獄》。

 彼女は大剣を構えながら、瞳を怪しく輝かせる。


「勝つのは……私だよ♪」

 読んでくれてありがとうございます。

 気に入ったらブックマークとポイントをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ