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TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
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《煉獄》4

「……」


 《煉獄()》はゆっくり近づいてくる《魔炎》を見て、沸々と怒りが湧き上がった。


 ああ、憎い。


《魔炎》を見ていると、初めて殺された時のことを思い出す。

 顔につけられた古傷がうずく。

 まだ十数年しか生きていないはずの魔法少女なのに、一度私を殺した魔森蓮。


 彼が……とても憎い。


「ふ~ん♪まだ戦うのね♪」

「…当たり前だ。お前を殺すまで……俺は何度でも立ち上がる」


 足を止め、殺意を宿した赤い瞳で私を睨む蓮。

 彼の目を見ると、ある感情が私の胸から現れる。


 恐怖だ。


 とてつもなく危険な化物に睨まれたような感覚が私を襲い、手が震える。

 ああ、憎い!憎い!!

 私に恐怖を与えた彼が憎い!!

 立っているのがやっとのはずなのに!!

 疲労がとても溜まっているはずなのに!!


 なんで……なんでそんな目で私を見ることができるの!?

 なんで立ち上がれるの!!


「でも……もう立っているのがやっとでしょ?そんな状態で私に勝つなんて絶望的♪不可能よ♪」


 私は湧き上がる怒りと憎しみを抑えながら、明るい声で彼をバカにした。

 それに対して蓮は、


「絶望的?不可能?それがなんだ?」


 静かに……中指を立てる。


「そんなものクソ喰らえだ」


 私は全身の血が沸騰するような感覚を覚えた。

 大剣を握り締める力が強くなる。


 なんで……なんでそんなことが言えるの!!

 絶望的なはずなのに!

 私に勝つなんて不可能のはずなのに!


「絶望だろうと、不可能だろうと……そんなもの乗り越えてみせる。勝つまで諦めない。何度でも立ち上がる。それが……」


 蓮は堂々と言う。


「魔法少女だ」


 その言葉を聞いた時、私は思い出す。

 蓮と同じぐらいムカついた……一人の魔法少女のことを。


<><><><>


 激しい雨が降り、風が吹き荒れていた森の中。

 私は一人の魔法少女と対峙していた。

 炎の如き赤い瞳に、短い赤髪。

 フリルが付いたドレス風の赤い着物。

 鈴が付いた可愛らしいステッキ。


 一言で言い表すなら、和風魔法少女。


 そんな彼女は口からハァハァと荒い息を漏らしており、身体のあちこちが傷だらけだった。


「アハ♪もう終わりだね♪そろそろ諦めて死を受け入れたら?」


 私がそう言うと、目の前にいる魔法少女は……明るい笑顔を浮かべながら、ステッキを構える。


「諦めないよ、アタシは。どんな絶望的でも……アタシは何度だって立ち上がる。なぜならそれが―――」




「魔法少女だからね!」


<><><><>


「ムカつく」


 私はガリッと歯噛みした。

 ムカつく!ムカつく!!ムカつく!!!

 あの魔法少女を思い出すと!

《魔炎》を見ていると!


 どうしようもなく、腹が立つ!!!


 ああ、頭がおかしくなりそう!

 殺す殺す殺す!

 絶対に殺してやる!!


「いいよ……なら、私の炎で焼き殺してあげる♪」


 大剣に赤黒い炎を纏わせ、構える。

 もう私を止めることはできないよ、《魔炎》!


「それは無理だ。なぜなら……俺がお前を殺すから」


 赤き魔法少女は、静かな声で告げる。


「炎よ、蒼く燃えろ」

 読んでくれてありがとうございます。

 できるだけ火、木、土、日の午前十二時に投稿するようにします。

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