妹は兄を監視して、管理したい2
天井のライトを消した後、大きなベットの上で横になる蓮とエイミー。
隣で目を閉じている蓮を見て、エイミーは鼓動を高鳴らせていた。
(蓮兄さんの顔……ちゃんと見るのは初めてかも)
今、彼女の目の前には目を瞑っている蓮の顔があった。
いつも前髪で隠れている蓮のまつ毛と眉毛が、よく見ることができる。
(蓮兄さんっていつも前髪で隠れているから分からないけど、けっこう……イケメンだな)
エイミーは蓮の唇にふと自然に目を向ける。
今ならキスができるかも。
そんな悪魔の囁き声が、エイミーには聞こえた気がした。
(蓮兄さん……)
エイミーはゆっくりと自分の唇を、蓮の唇に近づけようとした。
その時、
「なぁ……エイミー」
蓮の唇が動いた。
エイミーは慌てて顔を離し、「な、なにかな?」と尋ねる。
「聞かないのか?白雪さんのこと」
「!!」
白雪百合。
エイミーと偶然出会った謎の美少女で、蓮の友人。
そして蓮の心を守る方法を教えてくれた人物。
「気にならない……と言えば嘘になる。でも聞かない」
「なんでだ?」
「蓮兄さんの口から教えてほしいから」
兄の方から言ってほしい。
そんな我儘な気持ちが、エイミーの中にあった。
「……全部は言えないけどいいか?」
「うん」
「白雪さんは……俺が助けた人でな。助けてからは友達になったり……色々あったり」
「そうなんだ……蓮兄さん。白雪さんの気持ちに気付いてる?」
「……まぁな。どこかの鈍感主人公みたいに俺は鈍感じゃない。自分のことを好きでいてくれている女の気持ちぐらいは気付く」
「……そっか」
鈍感じゃない。
それはつまり……エイミーの気持ちにも気付いているということ。
(なんとなく分かってたよ。蓮兄さんが私の気持ちに気付いてたの)
エイミーは頬を赤く染めながら、胸に手を当てる。
今でもドキドキという大きな音を立てて、心臓が早く動いているのを彼女は気付く。
(やっぱりだめだな、私。エイナのために諦めようと思ったけど……やっぱり諦めきれないや)
一緒に生まれ、一緒に育った双子の妹―――エイナ。
エイナとエイミーは共に笑い、時には喧嘩し、時には両親に怒られ、時には泣いた。
お互いのことを想い、譲り合いをしてきた仲。
(だけど……これだけは譲れない)
エイミーは蓮の服を強く掴む。
彼女の瞳は黒く染まっていく。
(蓮兄サンハ、渡サナイ。蓮兄サンハ一生……私ガ監視シテ、管理スル)
エイミーの中で独占欲という強い闇が渦巻いた。
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