表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS魔法少女の二度目の復讐  作者: グレンリアスター
第一章 魔法少女の兄も魔法少女
19/86

謎の少女は兄の知り合い2

「私たち……友達なんだから♡」


 そう言って精霊のような純白の少女—――白雪百合は蓮に近付く。

 蓮が後ろに一歩下がった時、


「動かないで」


 百合は静かな、だが誰もが魅了されるような美声で呟いた。

 彼女の声を聞いた蓮は、身体を動かすことができなくなってしまう。


「白…雪…さん」

「また会えて嬉しいわ、蓮さん。相変わらず悪人を殺しているみたいね」

「なんで……なんであんたがこの学園都市にいる!?」

「そんなの決まっているじゃない。魔法少女育成学園『三日月』の生徒だからよ」


 百合は細く美しい人差し指を、蓮の顎に添える。


「あなたがこの学園都市に来たと知った時は……とても嬉しかったわ、私」


 目を細め、微笑みを浮かべる百合。

 幻想的な美しさを持つ彼女に……蓮は恐怖を覚えた。


「まだ……俺を諦めてなかったのか?」

「もちろん。でも……あの時みたいに焦った行動はしない。今度は焦らず、慎重に……だけど確実に……ね」


 純白の少女はホワイトサファイヤの瞳を黒く染めながら、蓮の耳元で囁く。


「モウ……逃ガサナイカラ♪」

「!!」


 背筋が凍るような寒気を感じた蓮は、顔を真っ青にする。


「だけどあなたを捕まえる前に……まずはあなたの心を守らないとね」


 百合は蓮から離れると、軽い足取りでエイミーの隣に移動する。


「ダメよ、蓮さん。自分をもっと大切にしないと。……妹さん、あなたがこれ以上傷つかないように魔神教団の魔法少女達を探して殺そうとしていたんだから」

「!エイミー……それは本当なのか?」


 蓮の問いに対し、エイミーは何も答えなかった。

 なにも答えない。

 それはつまり肯定を意味する。

 蓮は顔に手を当てて、静かな……だけど怒気を宿した声を吐く。


「バカ野郎……お前が手を血で染める必要はないんだぞ!」

「それは……蓮兄さんだって同じだよ」


 エイミーは真剣な表情で、蓮を見つめる。


「蓮兄さんが人を殺す必要なんてどこにもないよ!例え世界の人達が必要だって言ったとしても……私は必要ないって叫ぶ!」

「エイミー……」

「これ以上、蓮兄さんが人殺しをしないよう……()()()()()()()()()()()

「エ、エイミー?」


 嫌な予感を感じた蓮は、額から一筋の汗を流す。


(いや……ちょっと待て。エイミーに限ってまさか。どうか自分の嫌な予感は外れてくれ。頼む。本当にマジで頼む。神様、お願いします!)


 蓮は必死に心の中で願う。

 しかし、その願いを神は聞き入れなかった。


「もうこれからは管理する。出かける時も、寝る時も、風呂に入る時も、魔神教団の人達と戦う時も全部……私が監視して管理するよ」


 真っ黒に染めた瞳で兄を見つめるエイミー。

 蓮の顔からブワッと大量の嫌な汗が出る。


「拒否権はないよ?約束を破った蓮兄さんが悪いんだから」


 蓮は脳みそをフル回転させた。

 妹をどうやって説得するか。

 どうやって自分を管理させないようにするか。

 だがそんな彼の思考を、白い少女の声が止める。


「逃れようとしても無駄だよ。蓮さん?」


 エイミーの隣にいたはずの白雪百合は、いつの間にか蓮の目と鼻の先にいた。


「私とエイミーさんはあなたの心を守るために、あなたを監視して管理するから。覚悟してね」


 まだ凶悪殺人鬼の魔法少女のほうが可愛く見えるぐらい、二人の少女を恐ろしいと蓮は思った。

 恐怖が彼を襲う。


(誰か助けて……マジで)


 蓮は願った。このヤンデレ少女達から自分を助けてくれと。

 だが彼の願いを聞き入れる者は……いなかった。

 読んでくれてありがとうございます。

 気に入ったらブックマークとポイントをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ