妹は兄に恋をしている1
魔森エイナが初めて蓮兄にあったのは、中学生になったばかりの頃だった。
両親が蓮兄を連れてきたのだ。
パパとママの友人の子供らしく、引き取ることになったらしい。
蓮兄を見て最初に思ったのは……地味な人。
あまり特徴的なものはなく、ブサイクでもなければイケメンでもない。
どこにでもいそうな普通の男の子。
「今日からお世話になる蓮です。よろしくお願いします」
元気がない声で、他人行儀な挨拶をしていたのをよく覚えている。
両親が言うには、蓮兄は家族を亡くしているらしい。
私はエイミーと一緒に蓮兄を快く迎え入れ、元気になってもらえるよう頑張った。
最初は他人行儀だった蓮兄も少しずつ元気になり、私達は仲良くなっていったよ。
私達—――魔森家は、確かに蓮兄と家族になりつつあったんだ。
だけど……ある日、事件が起きた。
それは私が学校の部活で帰りが遅くなった時のこと。
スーパーマーケットに行っていたパパとママ、そして蓮兄とエイミーが凶悪な魔法少女に襲われた。
その魔法少女はパパとママを殺し、エイミーに呪いをかけたのだ。
それを聞いて私は絶望したよ。
両親を失っただけでなく、大切な双子の姉が呪いによって殺されようとしていた。
悲しみ、苦しみ、喪失感。
あらゆる感情がごちゃ混ぜになって……どうしていいか分からなかった。
そんな時、蓮兄は私に言った。
「俺がなんとかする」
蓮兄は通っていた高校を中退し、仕事を始め、私が生活できるようにしてくれた。
それだけじゃない。
呪いに苦しんでいるエイミーを助けるために、呪い専門の病院に入院させてくれたのだ。
ママの代わりに家事をして、パパの代わりに私の学費とエイミーの入院費を稼いできてくれた。
私たちのために動いでくれる蓮兄。
そんな蓮兄に……私は恋をした。
そして恋をしてから、蓮兄の血を飲みたくなってしまった。
私はエルフであり、吸血鬼でもあるから仕方ないこと。
なぜなら吸血鬼は愛する者の血を求めるものだから。
「ねぇ……蓮兄。少しだけ……血を飲ませてほしいんだけど」
吸血衝動に耐えられなかった私は、蓮兄に血を飲ませてほしいと頼んだ。
「ああ、いいとも」
蓮兄は快く了承してくれた。
私は初めての吸血にドキドキしながら蓮兄の首に噛みつき、血を吸ったよ。
その瞬間、今まで感じたことがない快感と幸福感が私の心を満たしたのを覚えている。
血を飲んでから私は余計に蓮兄のことが好きになった。
そして誰にも蓮兄を渡したくないという独占欲を抱くようになったよ。
蓮兄は私のもの。
蓮兄の血は私だけのもの。
絶対二……蓮兄ハ私ダケノモノ二スル。
例エ…エイミーデモ、蓮兄ハ譲ラナイ。
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