《魔炎》2
無数の星が浮かぶ暗い空。
その空の下で、二人の魔法少女は激しい戦闘を繰り広げていた。
一人は無数の水の剣を生み出し、飛ばす青き魔法少女。
二人目は炎を纏った大太刀で全ての水の剣を切り裂く魔法少女。
「ハハハ!どうしたの?こんなものじゃないでしょう、魔森君!」
笑いながら、圧縮した水のレーザーを放つ青き魔法少女―――水篠マリ。
いくつもの外灯を切断しながら襲い掛かるウォータージェットを、赤き魔法少女—――魔森蓮はしゃがんで躱す。
そして足元から炎を噴射し、彼は弾丸の如き速さで突撃する。
「シッ!」
普通の人間なら目で捉えられない速さで、蓮は大太刀を振るう。
炎を纏った剣撃が、マリの身体を切り裂こうとした。
しかし、彼の攻撃は突然現れた水の壁によって防がれる。
「無駄だよ」
マリは指をパチンと鳴らした。
直後、水の壁が爆発。
爆発を受けた蓮は吹き飛び、噴水に衝突する。
「大したことないね……魔森君」
嘲るように笑うマリ。
彼女の目には侮蔑の感情が宿っていた。
「これが《魔炎》?とても魔神教団を一度壊滅させた魔法少女にしては……弱いな~」
噴水の水でずぶ濡れになった赤き魔法少女。
彼はゆっくりと立ち上がり、マリを睨む。
「まぁ……あのおバカな子の兄になんだからしょうがないか♪それにあの子は……」
「黙れ」
低く、とてつもない怒気が宿った声。
その声を耳にしたマリは背筋が凍るような悪寒を感じ、口を閉じた。
「黙れよ……お前みたいなクソアマが俺の妹をバカにするんじゃねぇよ」
静かに、だが赤く燃える炎を宿した蓮の両目。
全てを切り裂くような殺意の赤き瞳を見て、マリは後退る。
そして彼女は……自分の両手と両脚が震えていることに気付く。
「ふ、ふん。バカをバカって言って何が悪いのよ。もういいわ」
マリは杖をタクトの如く振るう。
「溺れて死になさい」
次の瞬間、蓮は大きな水の球に呑み込まれた。
「アハハハ!知っていると思うけど、〈マジックアイテム〉には属性と相性があるの。魔森君の〈マジックアイテム〉の属性は炎。そして私の属性は水。炎は水に弱い。つまり水の魔法少女である私とは相性最悪。もう水の中じゃあ、あなたの炎は無意味よ!アハハハハハ!」
高笑いする水の魔法少女。
彼女は勝利を確信していた。
だから気付かない。
水の中にいた蓮の身体と大太刀が、激しく燃えていることに。
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