《魔炎》1
パチパチと拍手する水篠マリ。
そんな彼女を鋭い目つきで蓮は睨んでいた。
「へぇ~……私がその子を魔神化させたって気付いてたんだ」
「まぁな……エイナからお前の魔力が微かに感じたからな」
「ふ~ん」
「委員長が魔神教団の人間だったのは、最初から気付いていた。だけどあえて泳がせていた。なにを企んでいるか知るために」
「そうなんだ~」
「だけど……それは失敗だった。お前を泳がせていたせいでエイナは巻き込まれた」
蓮の身体のあちこちから赤い炎が噴き出し、白い甲冑や髪、瞳の色が赤く染まる。
その炎は蓮の怒りと殺意の表れ。
炎が激しく燃えているということは、それだけ彼が怒りを覚えているということ。
「一つ問う。なんで妹を巻き込んだ?」
蓮は静かな……そして低い声で問いかけた。
マリはわざとらしく指を顎に当て、考えるフリをする。
「そっちのほうが……面白いからかな?」
嘲るようにマリは口を三日月に歪めた。
「あの子……エイミーちゃんと魔森君が抱き締め合っているのを見て、すっごく泣きそうな顔をしててさ。そんなエイナちゃんを騙して、魔神化させたの。実に面白かったよ!まったくあの子は本当にバカだよね~」
「そうか……もういい」
蓮の身体から発生していた赤き炎が、さらに激しく燃え上がる。
彼の真紅の瞳も燃えており、額には皺が寄っていた。
その姿はまるで、修羅。
「エイミーを悲しませたくはないが……エイナを弄んだお前は殺す」
「できると思う?」
マリは手を前にかざす。
「歌いなさい、【水の精霊】」
彼女の手のひらから水が噴き出した。
その水は小さな青い杖へと形を変える。
マリはワンドをタクトの如く振るい、唱えた。
「変身」
次の瞬間、マリを中心に水の竜巻が発生した。
水の竜巻は周囲にあった外灯やベンチなどを呑み込み、細かく砕く。
やがて水の竜巻が収まると、そこに立っていたのは水のドレスを纏った少女。
背中から水の羽を生やしており、頭の上には水の輪っかが浮かんでいた。
まさに水の精霊のような姿。
「魔森君。今から君を殺すね」
笑みを浮かべながら、瞳を怪しく光らせるマリ。
そんな彼女に蓮は大太刀の剣先を向けた。
「やってみろよ……クソアマ」
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