水分補給
「いらっしゃいませ、二人様ですね。こちらにどうぞ」
空腹を感じファミレスを訪れると、珍しくテーブル席に案内をされた。週末の昼時という混雑する時間帯に、テーブル席を使うことに心苦しく思う。
「お水、失礼します。ご注文が決まりましたら、こちらのボタンを押してください」
店員は、こちらと向かい側にグラスを置くとテーブルを離れた。何を食べようかメニューへと手を伸ばすと、向こう側に置かれたグラスの水位がみるみるうちに下がる。
「そんなに、喉が渇いていたのか?」
俺は自分のグラスを向こう側に押し出した。途端にグラスの水位が直ぐに下がる。
「良かったな。視える人で」
グラスの氷が、機嫌の良い音を鳴らした。