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第三話 こういうことじゃない

第三話です。

ついによろず部始動!



誤字脱字などがあるかもしれませんがお楽しみいただけると幸いです

とりあえず依頼人に来てもらうよう俺たちはビラなどを用意して配った。

しっかりと教師にも許可を貰ったので大丈夫だと思うがオルトの仕事が早すぎて若干引いた。

確かに色々準備したけど…それを一晩で終わらせるって何?!

怖いよ!有能すぎて怖いよ!


「オルトスゴすぎ……。」


「お褒めいただき光栄です。」


「とりあえず依頼があれば設置したポストに入れるもよし、直接来るもよし状態にしたけど……。」


来てくれるか?いやここはオルトの顔面を信じよう。

さっきオルトと一緒に私に言った時なんて女子がめっちゃ騒いでたし。

俺達は放課後に部室で座って待っていた。

机などは移動させ、よく漫画で見るような事務職っぽくしてみた。


「すみません。依頼に来たのですか。」


「あ、はい。どうぞ……、って翼?!」


「うん、ビラ見て来たよ。」


まさか最初の依頼人が翼になるとは思わなかった。

まぁある意味やりやすいけどな。


「それで依頼って、何か悩みでもあったのか?」


「うん。実は同じクラスになった相川あいかわ美瑠みるっていう子がいるんだけど、その子に話しかけるの手伝って!!」


「え?翼からそんなお願いが来るとは思わなかった。」


翼ってコミュ力すごいしどんな奴でも仲良くなれるタイプだから心配することないと思うけどな。

コミュ力お化けってあだ名あるくらいだし。


「何考えてるかわかるけどそうじゃないの!」


「じゃあ何が怖いんだよ。」


「私その子に昔あったことがあるんだ。小三くらいだったかな。この朝雪市に引っ越す前。」


ああ、確か翼が引っ越してきたの小四くらいだったか?

それ以前の話は聞いたこと無かったな。


「その子のことを夕方頃の公園で見かけて1人だったから話しかけてみたら仲良くなって。そしたらしばらく一緒に遊ぶようになったんだ。なんか事情があって夕方頃からしか遊べないってことだったんだけどとっても楽しかったんだよね。」


なら尚更話しかければよくね?

まぁそれじゃあすまないから俺に相談に来てるんだろうけど。


「でもある時からぱったり来なくなって。何か事情があるのかもって思って引っ越すまで行ける日はなるべく公園に行ってた。」


「でも結局現れなかったのか。」


「うん。だから、もしかしたら私が嫌なことしちゃったのかなって。そうじゃなくても何も言わず引っ越しちゃったから怒ってるかなって思った。」


なるほど。まぁ俺からしたら何も言わず来なくなったのその相川さんなんだから気にしなくていいと思うけどな。

翼はこっちを見て依頼を受けてくれるか待っている。

結構期待を込めた目で。

う、やめろ。その顔なんか謎の使命感に襲われるから。


「はぁ。わかった引き受けるけど、俺がどうこうできる問題かそれ……。」


「うん!あのね、話しかける内容一緒に考えて!」


そこかよ!!

俺は思わず机に頭を叩きつけてしまった。

いや確かに普通に考えたら相川さんを全く知らない俺ができることなんてそれくらいしかないけども!

まさか翼が言葉を紡げないほど重症だとは思わなかった。


「まず自己紹介をしてみようかなって。私を覚えてない可能性もあるもん。挨拶の言葉考えるために最近相川さんを見ながらシュミレーションをしてたんだけどなかなかいいのが思い浮かばなくて。」


「そこからしてなかったのか。」


というかめっちゃ怖いな。

俺が相川さんなら逃げるぞ?

こいつの事だから圧とか無意識に出してるもん。

もうそれ覚えてても覚えてなくても逃げ出したくなるな。

逆に逃げなかったのか、ちょっと尊敬する。


「んで仲良くなれたらその後は明日の昼ごはんを一緒に食べようって誘ってみようと思うんだよ。」


「普通に昼ごはん食べない?って誘えばよくね?仲良くなってんだし。」


「あと明日練習ないから一緒に帰れたらなって。」


こいつもう俺無しで良くね?

願望出過ぎだよ。逆に何を怖がってんだ。

さっきまでのシリアス雰囲気返せ。


「とにかく最初の掴みが肝心だから、しっかりとした挨拶を考えなくちゃ!」


「確かにそうだが…。」


とりあえず翼と途中から笑ってたオルトを交えて作戦会議(?)を行った。

相川さんがどんな人かは知らないので翼に話を聞きながらだが。



・・・・・・・



「それで、相川さんっていうのはどの子だ?」


「えっと…あ!あの子!あの奥で本読んでる子!」


翼が示した子は窓際の席で物静かに本を読んでいる女子だった。

教室に入り込んでくる風に腰まで伸びた黒髪をなびかせながら読むその姿は清楚という言葉が良く似合うと思った。

まぁ確かに話しかけ安い感じでは無いが。


「翼なら大丈夫だ。行ってこい!」


「う、うん!」


そうして話しかけに言った翼を扉の前でオルトと見守っていたがなんとか上手く言ったらしい。

最後にはお互い楽しそうに話していた。

やっぱり俺要らなかっただろ!


これで依頼解決かな?


「優也!ありがとう。今日一緒に帰る約束までできたよ!」


「良かったですね翼さん。」


「オルトくんもありがとう。」


微笑ましいってこういうことを言うんだろうか。

やべぇ俺おっさんみたいだな。

まぁ精神年齢で言えば相当なジジイだけども。


「あの、貴方が藤村さん?」


ん?相川さんがこっちに来る?

翼が俺のことも話したのか?

にしてはなんか随分警戒されてるようだけど。


「そうだけど。」


「そう。翼さんとはお友達なのよね?彼氏とかではなく。」


「あ、ああ。そうだけど。」

(あれ?この子……。)


「そう。ならいいんだけど、ね?」


「失礼。何かございましたか?」


「いいえ、別に。」


俺に何かを言おうとした相川さんを遮ってオルトが間に入ってくる。

一応警戒してるんだろう。

だって彼女、おそらくこっち側の人間だ。

俺を狙ってる可能性は十分に高い。

だが、彼女が今放っているのはおそらく殺そうという殺気よりどちらかと言えば嫉妬に見える気がするが。

相当翼が気に入ったのか?


俺がそう考えてる間もオルトと相川さんが笑顔でバチバチ言わせている。

それを見た翼が何やら嬉しそうで。


「もしかしてもう仲良くなったの?!早いね!」


「いや、仲良くはなってないと思うが…。」


「仲良くなったならはい!」


そう言って翼が出してきたのはあるチケットだった。

それは今度翼が出る全国大会の観覧チケット。

そういえばもうそんな時期か。


「3人とも見に来てよ!絶対勝つから!」


「ええ!ぜひ行かせて頂きます!」


相川さんはめちゃくちゃ笑顔で翼の手を握る。

いやさっきまでの圧どこいったんだよ。

わかったこの子翼大好きだ。

やっぱりアレ勘違いじゃなくて俺が変な虫だと思われてたわ。

なんだかオルトは俺のそばに寄ってきてチケットを見ていた。

俺も一緒に見ているが、開催されるのは3週間後。

今から予定開けとけば問題ないだろう。


「じゃあよろしくね!」


「ああ。頑張れよ。」



そう言ってお互いのクラスへ帰って行った。



・・・・・・・



放課後になり俺は相変わらずオルトと帰る。

女子たちは一緒に帰るのを諦めたのか誘うことも減ってきた。

下駄箱で靴を履き替えているとどこからか感じたことの無い魔力を感じ取る。


すぐにオルトに目配せをするとオルトも当然気づいているようで既に感知を始めていた。

するとその魔力は外の駐輪場から発生していることに気づく。


「あれは……。」


急いで隠れながらその近くに向かうとそこにはなんと、カメラを構えた変態がいた。


「いやぁいいですねこのアングル!そう!そこです。そして!風よ吹け!」


「きゃぁぁぁ!」


「すごい強風。」


「いやっふー!いいですねいいですね!」


……なんだこれ。

魔力感じてきてみればいたのは変態。

一応姿がこっちでもよく知られているような悪魔の格好したやつだからおそらくあっちの世界のやつなんだろうけど。

しかもしっかりと魔法使ってるし。


「オルト、なんだあれ。」


「知りません。というか知りたくありません。」


オルトの目も死んでる。

わかる。あれが魔族なら同族だと思いたくないし思われたくないもんな。

とりあえず殺せばいいのか?

少し緊張感出した俺がバカみたいだ。


嫌だけど一応話しかけるか。

野放しにできないし。

たぶん認識阻害系の魔法かけてるんだろうな。

俺達もかけておくか。



「おーい。お前……」


「やっほぉ!やっぱり生はいいもんですな!向こうでは見られなかったものです!」


「あの。おい?聞いてるか?」


「あーもううるさいですぞ!今大切な撮影…ちゅう……。」


やっとこっちみたな。

変態は俺のことを認識したのかこちらを見て固まった。

ようやくこちらを認識したらしい。


「お、お前は!よ、ようやく見つけたぞ魔王!さぁ!我と来てもらおう!」


いや今更取り繕ってもだめだからな?

何も取り返せないから。手遅れだから。


「誰が行くかこの変態。」


「な!我が変態だと?!失礼な!我はお前を連れていくためにあらゆる場所を探り続けただけだ!」


「いや探っていたのはあなたの欲求をぶつける場所でしょ。」


オルトナイス。

いやまじで俺探す気欠片もなかったよな?

こっち来た時はあったかもしれないけどもう欠片も残ってないよなお前。

どっちかと言うと女子生徒に興味心身だったよな。


「な!お前も我らの同胞か!ならば共にこの魔王を連れていこうぞ!」


「嫌ですあなたと同族と思われたくないので。」


「即答……だと…?」


「いやそりゃそうだろ。俺だって嫌だよ。女子生徒の下着を見て興奮するやつと仲間だと思われるの。しかも魔族なら相当歳くってるよな?」


「な!我はまだ200歳だぞ!」


いや魔族でも200なら大人だからな?相手16とか17とかだぞ?何歳差ある時思ってんだ。

だめだ頭痛くなってくる。


「優也様、殺してもいいですか?」


オルトの目完全に殺る目だ。

いや怖いなこいつ。普段のデフォルトの笑顔どこやった。

ここに女子いたら別の意味で盛り上がりそうだな。


「気持ちはわかるがここは学校だからだめだ。殺すなら人のいない所にしよう。」


「な!お主らそれでも心があるのか!」


「少なくともお前に向ける心は殺意のみだ。」


「くっ!ならば我も本気を出そう!喰らえ!『暴風龍ワインドストーム』!下から吹き上げる強風!これでお前たちも辱めてやりますよ!」


「変態なのに結構な技使ってきますね。」


「だな。これ水がない台風だよ。まぁ俺達は男だからあいつが望む展開には一切ならないんだけどな。」


「は!そうでした。というか野郎のあれを見ても吐き気しか。」


変態は勝手に項垂れてる。

馬鹿だし色々失礼だろこいつ。

するとオルトは普通に歩いてその男に近づきその肩に手を置く。

そして男が顔を上げた瞬間、その顔にオルトの拳がクリーンヒットした。


「へっぶぅぅ!!」


オルトが普通に物理的に殴った。

魔法なんか一切なくただ単に殴り飛ばした。

あいつめっちゃ吹っ飛んけど大丈夫かな?

まぁ魔族は頑丈だし何とかなんだろ。


「おーいオルト。大丈夫か?」


「ええ。スッキリしました。あ、いえ、あの様な俗物相手に優也様の手を煩わせる訳には行かないので。」


いや本音出ちゃってるよオルトくんよぉ。

まぁ別にいいけど。

あれは誰でもイライラするからな。


「とりあえず、あいつのカメラ壊すか。そんで縛って警察に突き出そう。向こうに返す方がいいかもしれないが罪はしっかり償うべきだ。」


「はい。わかりました。」


そうして俺たちは変態を警察に持っていった。

気絶していたせいで警察も若干引いていたが知らん顔。

そいつはなんでも他でもやらかしてたらしく警察が捕まえようとしても逃げられていたらしい。

俺はそれを聞いた瞬間あいつが起きる前に魔法封じでもしとこうと心に誓った。



・・・・・・・



次の日俺が学校に行くと、新聞部の新聞が張り出されており、そこに人がごった返ししていた。


「おーい小野宮、これなんだ?」


「あ!優也!お前すごいな!これお前らの事だよ!」


「は?」


そこにあったのは俺たちが昨日変態を警察に引き渡してる写真だった。

内容は「『よろず部』連続盗撮魔を捕まえる!」

と書かれており結構大々的に書かれていた。

魔法系な超常現象は見られていないから良かったが、まさかこうなるとは。

てか依頼関係ないし。


「これで多くの方に知って貰えましたね。」


「まあ第1段階は上手くいったってことでいいのか?」


俺は今回オルト以外の俺を狙う奴にあった。

変なやつだったがこっちに来ている時点で魔力量はあったはずだ。

そうなるとあれ以上のが来ることは予測しておくに限る。

来るのが魔族だけとは、限らないからな。



・・・・・・・



「ようやく見つけた。」


また新たな存在が出てくることを俺はまだ知らなかった。


人物紹介

オルト・ペニングス

魔獣の父と死神の母を持つ。

優也を向こうに連れていこうとしたが負けたので従者となった。


髪:長い青色で後ろで縛っている

目:サファイア


魔族は強いものにより惹かれる性質がある。

オルトは祖父であるバトラによくワースの話を聞いていた。

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