表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

第1話 始まりは唐突で

第1話目ですがこれからどんどん投稿していこうと思います。

誤字脱字は多いかもしれません。


最初はあまり詳しい説明はないですが楽しんでください。

西暦1945年


日本の大地は炎で覆われた。それは決して忘れてはならない炎。受け継ぎ、語り継いでいかなければならない過ち。その過ちが残したものはあまりに悲惨であり、二度と無かったことになどできないものが多かった。


争いは終わり、日本中の復興をしている中、日本各地であるものが発見された。いわゆる穴である。同じ直径、同じ形。全てが同じ形をしているものであった。穴と言ったが実際に落ちることはなく、上に立つことさえできた。しかし毎年ある時期になると穴から黒い霧が発生する。その霧は科学的に証明が不可能であるとされ、世界中の学者達が集まったが、改名することは出来なかった。霧に触れたところで害が出たという症例もなく、30年がたった頃にはあるのが地元民たちは当たり前になっていた。騒いでいたのはもっぱら報道人や学者たちである。


しかし穴が発生して60年たったある日、突如として日本中の穴が一斉に消えてしまった。当時は天変地異の前触れなどと言われていたが10年たっても何も起きず、そうして穴の存在は次第に忘れ去られていった。



・・・・・・・



俺の名前は藤村ふじむら優也ゆうや

生前異世界の魔王だった。

別に高校二年生になってまで厨二病を発動させてる訳では無い。

むしろそう認識されたくないがために今まで誰にもこのことは言っていない。


俺が魔王だってことは小五くらいで思い出した。

はっきり言って流れ込んでくる情報量の多さから1週間ベットとお友達状態。

そりゃなんたって生前五百年くらい生きてたわけだから頭がパンクするのも仕方ないと思う。

でも最後はお決まりというくらいあっさりと勇者に倒されたもんだから思い出した当初の不完全燃焼感が凄かったのを覚えている。

今はそう思わないが。


俺は友達にこのことを伝えようかと思ったが、このご時世厨二病というのがあった。

頭がおかしい子としてレッテルをはられ、皆から笑われる日々となってしまう。

漆黒の堕天使とか名乗るなんてきつい。名乗る気ないけど。


さらに生前魔王だった影響か、魔王としての力が残ったままだったせいで俺は普通じゃなくなった。

ベットとお友達状態の1週間のうちに生前の知識をフル活用して抑え込むことに成功したが、あのまま抑え込めなかったら、今の生活はなかったと思う。


今の生活はとても穏やかなものだ。

魔王としての力を使うこともなく、幼なじみや学友たちと共に楽しい学校生活を送っている。


「優也、おはよう。」


「おはよ。つばさ。」


噂をすればと言うやつか。

ショートカットの髪をなびかせながら、少し息をあげてこちらに来た女子が俺の幼なじみの戸村とむらつばさ

俺は毎朝家が隣のこいつと登校する。もう慣れとなっている。


「また朝から練習か?」


「うん。今日も投げてきた。」


翼の家は柔道場をやっている。

翼の父親は高校・大学共に全国大会優勝を果たしており、根っからの柔道男じゅうどうまんだった。

現役を離れてなおその実力は衰えを知らない。

おかげでその娘である翼も去年高校一年生にして全国優勝した。


俺は幼い頃から柔道をする翼の姿を見ていたが、何があっても怒らせないと誓っている。その理由は単純に怖いから。


「きゃあああ!ひったくりよ!!!誰か捕まえて!!」


「ん?」


いきなり俺の後ろから女性の叫び声が響く。

まだ早朝の7時半。朝の商店街は人があまり居ないせいかよく響く。

振り返ると全身に暗めな色の服にニット帽を被った男が走ってきていた。在り来りなやつだ。


「どけ!!」


俺たちを脅すように叫ぶ。

俺はどうしようか悩んだが、その思考を一瞬で放棄した。既に隣にいた翼が動き出していたのだ。

翼は走ってくる男の進行方向にまっすぐ立つと、気を溜めるために目を閉じる。その間どれだけ男が叫ぼうが一切動かない。

男が翼の両手の届く近さまで来た瞬間、翼は目を見開き無防備になっていた襟と腕を掴み体をひねりながら男の懐に入ると見事な投げ技を決めた。

周りからはその姿を賞賛され囲まれる。

これまでに翼が止めた争いは数知れず。


え?お前が魔王なんだから力を使えばいいって?

いや魔王だから普通より力が段違いというか。

こっちは異世界より力が抑えられるけど普通の一般人相手だと下手すれば重症をおわせてしまう。加減も難しい。


過去に1回、子供が道路に飛び出してトラックに轢かれそうになったところを助けようとして、めっちゃ優しくトラックのタイヤに向けて風を操ったら見事にパンクさせてしまった。

おかげで子供は助かったが、力加減がものすごく難しいと分かりそもそも使わないことにしたのだ。


それに俺の隣にいる翼は俺が守らなくても一般人相手に負ける要素は無いので、使う必要性がない。

だから俺はこんな力いらないと思っていた。



・・・・・・・



俺達は自宅から1時間程の県立『神楽星かぐらぼし高校』に通っている。

偏差値的には中の上くらいだが、制服が可愛いと有名な学校でそれ目当てに入学してくる女子が一定数いるとかいないとか。


部活動もそれなりにあり翼は当然柔道部。

柔道部の強豪校としても知られている。

毎年全国大会出場しており小中と有名な翼が入り、エースとなった今年は団体で全国優勝も視野に入れているとか。


ちなみに俺はどこの部活にも所属していない。

強制では無いしひたすらに面倒くさいだけだが。

それでも友達はいるし充実した高校生活を送っている。


最初は俺が魔王として生まれ変わった意味を考えたりしていた。

よくある異世界物では、魔王を倒すために勇者として転生したり召喚されたりする。

だから俺もそういう系だと思ったが、最近で一番謎となった穴は俺が生まれた年になくなってしまった。

なにか関係があったのかもしれないがなくなってしまったならどうすることもできない。


俺はこの先も力を特に使うことなく過ごすんだと思っていた。



・・・・・・・



「おーい。優也一緒に帰ろうぜ。」


「悪い。ちょっと浅井先生に呼ばれててな。」


隣のクラス友達に帰りを誘われたが、担任である浅井先生に呼ばれていたため断った。

呼ばれた理由は、今週の日直である俺が先生の仕事の手伝いをするだけだ。

生徒がやるなんておかしいかもしれないが、浅井先生は結構忙しく、手伝ったらお菓子や文房具をくれるので案外やりたがる生徒が多い。なので日直がやることになった。

手伝う内容は提出された宿題をまとめたり、資料綴じなどで簡単に終わる。

内容は簡単だが量が多いため、時間がかかってしまう。

それでも少し日が落ちる頃には終わるため、なんの問題もなかった。


電車を何本か乗り換え帰宅するとすっかり日もくれ、多くの家から明かりが漏れている。

街灯もあるが家が密集する地域では家明かりの方がいい道標になる。家の中からは時々笑い声が聞こえてきて随分楽しそうだった。

俺も陽気にしかしうるさくならない程度の音量で鼻歌を歌う。


しかし俺は背後に気配があるのに気づいた。

一瞬ただの通行人かとも思ったが、その者からは殺気が出ている。

しかも明らかに一般人ではない。


俺は少し考えるとしばらくは歩き、角を曲がったところで一気に走った。そして走りながらなにかが追ってきていることを確認すると人気のない路地裏まで来る。

それは街灯が1本しかなく家明かりもない。決して目立つことの無い場所。

一応保険として騒音を消す『無音地ノンサウンド』をかけるのを忘れずに。

そこでようやく俺はなにかに話しかけることにした。


「お前、何者だ?人間じゃないだろ。」


「お気づきになられますか。さすが元魔王。」


俺が魔王であることを知っているということはあっちの世界の住人か。でも俺のように転生者では無いようだ

。魂の形、纏う雰囲気何もかもが人間では無い。


「異世界人がなぜこっちにいる?それになぜ俺の正体を知っている。」


「私の名前はオルト。オルト・ペニングス。我々の世界にあなたを連れていく。それこそが私の望みですよ。」


「ならその望みは諦めろ。俺はこっちで人間として生きてんだ。」


「では力ずくで連れていきますよ。」


オルトはこちらに一気に距離を詰めてきた。

オルトは殺気を纏うその拳で殴りかかってくるので防御を貼りその衝撃を殺しながら後ろに下がる。

再びオルトは魔力を貯めていたが、いくら周囲に家がないとはいえ魔法を使われるのは厄介なので俺は空に飛び上がり、オルトが追いかけてくるのを待つ。

案の定オルトは追ってきて貯めていた魔力を一気にこちらに向けて打ってくる。


豪炎弾ボムフレイム。」

「はぁ……。水龍銃ピッチショット。」


俺はあまり周りに被害が行かないよう炎球の核を狙って範囲は狭いが銃のようにまっすぐ貫く水を打つ。

一応気配探知で下に何も無いことは確認済みなのでたぶん大丈夫だと思う。いや、思いたい。


「やはり魔法では意味がありませんか。ならば。」


ドゴンッ!


「肉弾戦以外ありませんね。おや?避けましたか。空中でもこれほどのスピードが出るとは。さすがですそうでなくては。」


おいおい。一発目よりよっぽど力あるぞこれ。

まぁ力を抑えてたのはわかってたが、ここまでとは。

何とか避けたがあいつの本気は多分今以上に早い。

それに下手に魔法を使えば余波で下にも被害が行く。

だが俺も生前魔王だ。一魔族に負けることは無い。

どれだけブランクがあろうとな。俺は、そう生まれてきたんだ。


「しかし、あなたならもっとできるでしょう?なんせ500年も魔王をやっていたんだ。それとも、僕をまだ舐めているんですか?」


「いや別に。様子見をしていただけだ。こっから反撃してやる。」



・・・・・・・



「カハッ!……こ、これほど、とは。」


「ふぅ。終わった。」


結論で言うと決着はすぐ着いた。

俺別に肉弾戦できないわけじゃないので魔法で身体強化してお互い殴り合いを選択する。

俺は魔法なんかも使ったが、それにつられたのかオルトも同じように魔法を使っていた。

まぁそもそもの魔力量も違う。

おそらく己の限界も把握はしていたのだろうが、想像以上にこちらの抑圧が凄かったのだ。

まああれだけの魔力を使えるならあっちでは相当強かったはずだが……。


こっちの今俺がいる世界は魔力を押さえ付ける役割を持っている。

とても抑圧されるから考えないとすぐに魔力切れを起こしてダウン。

今回俺が勝ったのはそういう要因もあるんだろう。


「さて、どうする?このまま大人しく帰るなら見逃すが?」


「そうですね。……。」


さすがに考えるか。でも帰る以外にないと思うが……。

それにこいつ、あの強さなら別に俺を連れ帰る必要性なんてないんじゃ。俺が強いだけだし。

あれ、そういえばこいつ。なんて名乗った?ペニングス……あ。


「バトラ……。」


「え!そ、その名は……。」


「やっぱりお前、あいつの親族か!なるほど。それならお前の強さも納得だ。」


バトラ・ペニングス。俺の生前の執事をしていた魔族の名だ。

魔族ではNo.2と言われたほどの実力者で、俺もよくやらかしてぶん投げられてたっけ?

でも……あいつは……。


「ええ、私はバトラ・ペニングスの孫、オルト・ペニングス。よく祖父からあなたの話を聞いておりました。」


「でもお前なら向こうで相当強かっただろ?なんで俺を連れていきたいんだよ。」


「知りたかったんです。あれだけ強かった祖父が仕えた方の実力が。だから俺はこちらに来ることができた時、あなたをおっていましたが、こちらではあなたは力を使わない。」


まぁこっちは使うことこそありえない世界だしな。

俺は二度と魔法を使わないと決めていた。仕方ないことだ。

でも……おっているって軽くストーカーでは?……いや考えないようにしよう。今はそれより。


「だから実力行使か。それで、俺がこっちに転生したことを向こうの連中はみんな知っているのか?」


「いえ、知っているのは限られたもの達のみ。突如我々の世界各地に黒い穴が現れ、それから発せられる魔力があなたのものであると、あなたが生きていた頃を知っているものたちが言ったのです。」


穴ってまさか……俺が生まれた時に無くなったやつか……。

やっぱり関係あったか。


「そして多くのものがこちらに飛び込みましたが、ほとんどのものが戻って来れなくなりました。」


だろうな。そもそも魔力はあちらのものにとって命も同然。

無くなれば死を意味する。

元々魔力が少ないやつはこっちの抑圧に耐えられず潰されるだろう。


「だが、魔力が多いやつはこっちに来れる。ってことか。やっぱりお前はあいつの孫だな。こっちに来てもあんだけ扱えるんだ。向こうでは魔王でもやってたか?」


「いえ、私はそういうのは好みません。どちらかと言えばひっそりと暮らしたい派ですね。それに今魔王をやっている男は私より強いですし。」


なら尚更なんで来たお前。

いや、言ってたな。バトラ……俺より弱かったかもしれないが、あいつは芯が強かった。

だが俺なんかといたせいであいつは……。


「(魔王よ。私は、あなたに仕えたこと、後悔していません。だからどうか、泣かないでください。私はあなたや家族の幸せを願っているのですよ。)……勝手に言いやがる。」


俺は頭を掻きむしるとオルトの傷を治した。

オルトは目を見開いていたがそんなことは気にしない。


「それでお前、どうする?」


「え?」


「いやだってお前、俺に逢いに来たんだろ?でも俺は向こうに行く気は無い。ならどうする?」


「そうですね……。ならばあなたのそばにいることをお許し頂きたい。私は魔王様に敗北した身。ならば魔族らしく勝者の下につきたいのです。」


「俺は今魔族じゃないが、それでもいいならいいぞ。ただし!もう襲ってくるなよ?次襲ってきたら今よりもっと痛い目に合わせるからな?」


「はい。」


そうして俺はオルトと主従関係の契約を交わす。

一応説明しておくと、主従関係の契約を交わす際には主人となる物が従者となるものに少量の血を飲ませ、従者となるものが己の血で主人の左手の甲に円を書く。

こうして血で繋がった契りとなり相当な効力を持つ。

これで相当なことがない限りオルトが俺に反旗を翻すことはないだろう。

オルトにはこれから色々頼みたいことがあるしな。

向こうと繋がる穴が空いてる時点でこっちに何かしらの異変が起きてもおかしくない。それなら情報が必要だ。

だからこそオルトに向こう側のことを教えてもらわないと困る。

俺が死んでどれだけ経ったのかは知らないが少なくとも百年は経過してる。

ならば変わるだろう、異世界のあり方は。



その後俺は『無音地ノンサウンド』を消し公園を元に戻して家に帰ったが、家に着くとおばさんが俺の心配をしてくる。

なんでも少し大きな地震があったとかで。

すまん……その地震、多分俺だ。

俺は心の中で密かに謝りながら大丈夫だったと伝えた。




もし何か問題などがありましたら教えてください。

次回からここはキャラ説明や設定紹介に使って行けたらと思ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アイデアいいです。 [一言] 問題なら今特くはない、魔王設定なのに普通に人間助けなどいくつなおかしいなところありますでも全体的な設定見えない限り判断できない。ここからのストーリー展開は本番…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ