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メモ(第5話 初めての契約魔物)

【5話 初めての契約魔物】ダンジョンの特徴


 再びデコピンで吹っ飛ばされるゴブリン。


「うっ、痛いゴブよ。何するゴブ、あっ、お前は……悪魔だな」


 涙目になったゴブリンは、額に出来た大きなたん瘤をブランシュに見せつけてアピールしている。緑ゴブリンの次に現れた悪魔と天使。そして、必死に天使のブランシュすがり付こうとする。


「そんなことしても意味はない。俺達と契約しないゴブリンは、ただのゴブリン。弱肉強食の世界の1つのピースでしかない」


「うっ、うっ、契約って何するつもりゴブ?ワイらは弱いゴブ。どんなに頑張っても、森で満足に狩りも出来ない弱小魔物ゴブ」


「心配する必要も頑張る必要はない。もう完成されてるんだ」


「えっ、何がゴブか……もしかして、月齢ゴブね。ワイを生け贄にするつもりゴブか」


 そして、再び慌てふためくゴブリンに、優しくブランシュが話しかける。


「レヴィン、あまり虐めたら可哀想よ。ねえ、安心して、ゴブリンさん。あなたじゃ、下位の悪魔も召喚出来ないの。だから、心配しなくも大丈夫」


 ブランシュがゴブリンを落ち着かせる為に言った言葉が、さらにゴブリンは混乱に陥れる。悪魔召喚なんて、ゴブリンは見たことはなく、おとぎ話でしかない。

 しかし、ブランシュは悪魔召喚は存在し、それが可能な存在であることを肯定してしまった。


「ああっ、ああっ、ワイは……」


 再び意識を失いそうになるゴブリンに、水筒の水を頭からかける。


「よく話を聞け。お前は、ヒケンの地に選ばれた種族なんだ。このヒケンの森を象徴する魔物こそ、赤黒のゴブリン」


「ワイが?森の象徴?」


 洞穴の外に連れ出すと、ゴブリンにかけた水筒の水を地面に溢す。地面からは煙が舞い上がり、生い茂った雑草は枯れてしまう。


「どうだ、分かったか?」


「何がゴブ?」


「ほれっ」


 再び、水筒の水をゴブリンにかける。


「うっ、うわっ、何するゴブ。鬼、悪魔、いや死神ゴブ。助けたフリして、甚振って殺すつもりゴブ」


「バカ、早く気付けよ」


「もっ、もっ、もしかして、顔が溶けてるゴブか?かっ、感覚が麻痺してるゴブ。何も感じない、麻痺してる。一思いに殺すゴブよ」


 騒ぎ散らかすゴブリンの額を小突くと、ゴブリンは静かになる。


「あれっ、痛い……ゴブ」


 すると急に顔中を触り始める。顔の形を確認するだけでなく、時折頬をつねったり叩いたりして、触感を確認している。


「たん瘤が治ってるゴブ。なんで?」


「だから、言っただろ。赤黒のゴブリンは、ヒケンの地に適応した唯一の魔物なんだって」


 ヒケンの大地は、エンシェント・ドラコンのブレスによって汚染されてしまった。地表付近の毒が薄れるだけでも数百年の年月を必要とした。そして、地中には依然として、強い毒に犯されている。

 その中でも、唯一毒に対して耐性が出来たのが、赤黒のゴブリン。その耐性は、毒を無効化するだけでなく、傷や体力を回復させる。ヒケンの森で、ほぼ飲まず食わずで生きていられる生命力の源は、地中の毒を魔力に還元して吸収しているから。


 そして、ヒケンの森のダンジョンコアは、主である熾天使の意向を汲み取り成長するが、最大の特徴は主を守ろうとする事。

 まだ小さなダンジョンではあるが、この地の最大の特徴でもある、エンシェント・ドラゴンによって汚染させられた大地から毒を吸収し、侵入者からブランシュの事を守ろうとしている。


「このダンジョンで働ける魔物は、赤黒のゴブリンしかいない。お前は、このダンジョンに選ばれし魔物なんだよ」


「ワッ、ワイが、選ばれし者ゴブか」


 ブランシュが屈むと、ゴブリンと目線を合わせる。


「そうなのね。ゴブリンさん、私と契約してくれるかしら?」


「うっ、うっ、うわ~」


 女性耐性の中でも、特に綺麗なお姉さん耐性の無いゴブリンは、舞い上がり完全に思考停止しまう。


「レヴィン、どうしたイイ?」


「おい、ゴブリン聞いてるか。お前の名前は、ゴブゴブだ。ブランシュの為に、ダンジョンで働く。問題ないな」


 ゴブリンの体が一度だけ光ると、手の甲には円い紋様が刻まれる。こうして、ヒケンの森のダンジョンの初めての魔物、赤黒のゴブリンが誕生する。

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