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メモ(第2話 出来たばかりのダンジョン)

【2話 出来たばかりのダンジョン】


 ヒケンの森に出来たブランシュのダンジョン。


 ダンジョンといっても厳密には2つの空間がある。冒険者達が訪れる本来の迷宮としての空間と、黒子天使達がダンジョンを管理する為の管理人室としての空間。

 冒険者が訪れる空間は、人が5・6人が入れる程度の洞穴でしかなく、その洞穴を管理する為の隠し部屋としてワンルームが併設されている。ダンジョンの成長と共に、管理人部屋も広くなる。今はワンルームだが、部屋の広さだったり数も増えてゆく。


 しかし、今はワンルームしかなく、俺とブランシュの同棲生活になるのは仕方がない。俺が洞窟の中で暮らしても問題はないのだが、何故かブランシュはそれを許してくれない。あくまでもここはブランシュのダンジョンであり、ブランシュには絶対の権限がある。


 そして、部屋の中のテーブルに無造作に置かれたダンジョンコアが、歴としたダンジョンであることを示している。


「レヴィン、これってダンジョンコアなのよね?」


 ブランシュが入れてくれる食後の珈琲を飲みつつ、テーブルの輝石を眺める。ブランシュも本来ならば、ダンジョンを受け持つ前に、事前に実地研修を受けるはずだった。しかし、緊急事態下で、全てのことは省略されてしまった。


「そうだな、俺もイスイのダンジョンコアしか知らないけど、多分間違いないだろ」


 イスイのダンジョンコアは、黄色い輝石で人の頭程の大きさがあった。しかし、テーブルの上のダンジョンコアは、拳大の大きさで赤や青・緑・黄色の混ざったマーブル模様で、次々と模様も色も変化してゆく。


 ダンジョンにも特性がある。万物は、火・水・土・風・光・闇・空・無の8つの属性が複雑に絡み合うことで構成されている。

 だから、まだ誕生したばかりのダンジョンコアには、全ての属性が均等に存在し、これから成長・進化するにつれてオリジナリティーが出てくる。


 俺がダンジョンコアに触れようとすれば、マーブル柄の珠は、ブランシュの方へと逃げてゆく。ダンジョンコアに触れることの出来る者は、ダンジョンマスターしかいない。テーブルに置かれているのは、少し無用心にも思えるが、これならば間違ってゴミとして捨てられることもないだろう。


「3ヶ月もあれば、洞穴も少しは大きくなる。それに合わせて、まず魔物を探してこないとな」


 黒子天使の仕事は、ダンジョンの維持管理になる。簡単に維持管理といっても、その業務は幅広い。ダンジョンに出現する魔物の調達や、ダンジョン内に現れる宝箱や、ドロップアイテムの調達と多岐にわたる。


 そして、ダンジョン稼働までに与えられた準備期間は3ヶ月。その短い期間の中で、ダンジョンとしての形式を整え、冒険者達を迎え入れなければならない。


「レヴィンは、どんな魔物を探してくるつもりなの?」


「ヒケンの森なら、まずゴブリンだろうな」


 定番過ぎる最弱の魔物の名前に、ブランシュは少し驚く。ヒケンの森ならば、トレントなどの森特有の魔物も多い。


「えっ、ゴブリンなの?」


「ああっ、ゴブリンだ。ブランシュはあまり知らないかもしれないけどな、ゴブリンは優秀なんだぞ」


 ダンジョンに魔物を置く理由は3つある。


 1つ目は、冒険者と戦わせて、ダンジョンを成長させる為。冒険者がダメージを負い、血を流した分だけダンジョンは早く成長する。

 2つ目は、ドロップアイテムを落とさせる為。戦闘の報酬として、魔石やドロップアイテムを落とさせる。戦闘の対価がなければ、誰も魔物と戦おうとはしない。

 3つ目は、ダンジョンの労働力。ダンジョンを運営するには雑務も多く人手が必要になる。


「ダンジョン運営の初期で、一番重要なのは人手なんだ。今は何をするにしても、俺かブランシュの手が掛かる。でも、人を増員しようとすれば魔力を供給する必要がある。この珈琲だって魔力から作られてるんだからな」


「ゴブリンは、魔力消費が少なくて済むのね」


「それだけじゃないん。手足があって、会話も出来る。後は使う側の問題で、やり方次第ではゴブリンの価値は大きく化けるんだ」


 そして、俺たちのダンジョンに所属する魔物を求めて、ヒケンの森の探索が始まる。

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