改定:プロローグ「隊長が就任されました! 転生編」
文章のやり直しをします。すみません(土下寝
初めまして。拙い文章ですが、生暖かい目で見てやってください。
注意書き
このお話は、w←を大量に含んでいます。苦手な人は戻る推奨。
湿度の高い、薄暗い部屋。
畳の上には生ゴミが散乱、腐臭を放ち、蛆まで蠢き、蝿が飛んでいる。
締め切った窓の中は刺激臭で充満している。
ロクに掃除もしていないパソコンにモニターは埃を被り、
もう何時壊れてもおかしくない状態のようだ。
ガリガリガカリガリガリガリ…。
ハードドライブディスクの寿命も近そうだ。
そんな人の住むような環境では無い室内に住む男が居た。
室内の劣悪な環境に意も介さず、右手にマウスを握り締め、
ソーシャルネットワークゲームに没頭する。
カチ、カチ、カチカチカチと、クリック音。
ガリガリガリガリとハードドライブディスクの悲鳴の不協和音。
背筋は歪に曲がり、モニターに至近距離に迫る顔。
目の回りは落ち窪み、頬の肉は削げ落ち、
まるで骸骨に皮を貼り付けたかのようだ。
歯も酷い状態で虫歯を幾度放置したのだろう。
痛みすらもこの男は感じていないのか、
欠け、抜け落ち、歯茎が紫に変色している。
そんな口から歯槽膿漏の嫌な臭いを漏らしつつ、笑い、呟く。
「ビャハハハ…どいつもこいつも…」
充血した目を見開き、ゲーム内のチャット欄で毎回話題になる
最高レアの自慢報告、萌え会話を見て嘲る。
「強いので倒せるのは当たり前だろがwwww」
見下すが、以前までこの男もその一人だった。
最高レア、SSRを手に入れる為、光熱費、食費を削る。
更新される度、新しいゲームが出る度、
課金を続けに続けた。
そんな生活が何時までも続く筈もなく。
ついに男は会社を辞め、退職金にまで手を出した。
そんな金も底を突き、無課金ユーザーとして
低レアのN縛りという遊びを見出す。
無理。不可能と言われながら、男はあろうことか、
とあるゲームにおける最難関ステージをクリアして見せた。
チャット欄に投稿されたリザルト画面を見たユーザー達が
驚き、賞賛の声を送る。人生を捨てた愚か者に。
「キメェwwwwww」
「装備と編成の詳細希望」
「運営涙目wwwwwww」
等々。三十分程、激しく流れたチャット。
それを見た男はグラリと後ろへと倒れ込む。
「ビャハハ…まだだ、まだやりたらねぇぞぉぉwwww
次はN縛りに人数一人減らすぞぉ…ww」
最早狂気、此処までいけば見事なもの。
だが、男の体は普段からの不摂生、不衛生が祟り、限界を迎えた。
倒れたのは自身の意思では無い。己の体が意志に逆らった。
「まだだ…まだ…ま…」
目を見開き、倒れこんで尚、右手にはマウスが握られ、
指先だけはカチ、カチ、カチ、ボタンを押し、
ついに、その音すらも途絶えると同時に、
パソコンのハードドライブディスクの悲鳴も止まる。
此処に、一人の廃人の人生の幕が下ろされた。
――かに思えた。
見渡す限りの白。地も空も。
そんな真っ白な世界に、痩せ細った彼は立っていた。
「…なんだぁここは」
立つのも辛い。もう何年もまともに運動していない。
弱りに弱った足腰が、彼を何も無い地面にペタリと座らせた。
そんな彼を、いつの間にか傍に立っていた全身が白い女が見下ろす。
青い瞳は憂いを湛え、白い肌と腰まで届く長い髪は周囲と同化しそうな
までに白く透き通る。加えて纏った衣までも白。
白、白、白。しかと見ないと存在すら認識出来無い程に。
その何者かが、艶やかな声色で、優しく、静かに語りかける。
「見ていました…凄いですね。
生き方は褒められたモノではありませんが…。
貴方は、指揮能力が飛びぬけて高い。そう私は見ました」
ただソレのみを告げた女は、彼に手を差し出した。
「貴方の望みを一つ。いえ…二つ叶えましょう。
ですから、私の子供達を導いて欲しいのです…」
余りに唐突な事に、一瞬、男は目を疑った。
だが、異世界転生、異世界転移の二つが思い浮かび、口を開く。
「うっはww何者だ? まさか神とか言うんじゃないだろうなw」
黙って頷く女神を見た男は、腹を抑えて笑い出す。
全知全能の神様がお願い事だと!?と、イカレたように笑う。
「全知全能ではありません! …もう。予想より凄い人ですね」
「ビャハハ!! で、願い事ってーのは、なんぞw」
魔王討伐に女神が生み出した、不遇な三人の戦乙女
助け、導いて欲しい、そう女神は彼に伝えた。
「これが、彼女達の詳細です…」
「ほーう? 不遇ってと産廃だな?www」
何処か、楽しそうに痩せ細った男は資料に目を通し、
またイカレたように笑う。
「…ビャハハハハ!!」
「可能、でしょうか?」
「んなもんやってみん事にはなぁwww」
敵を知れば百戦危うからず。
それを女神に伝えると、彼は魔王討伐を受けた。
そして、彼が受けられる二つの恩恵。願い。
「そうだなー。俺をくっそ硬ぇ奴にしてくれ。
なんならメカでもイイゼ? ビャハハハ!!!」
「判りました。では貴方は異世界イスタリアにおける、
機械人として転生させます」
「マジカwwwwwwwうけるwwww」
何が面白いのか。一つ一つの言葉に大袈裟に笑う。
そんな男を哀れにも思えた女神。
そんな彼女が最後の願いを尋ねた。
「おー。そいつぁ…これでたのむごにょごにょ」
ワザワザ耳元で内緒話。敵が隠れているかも知れない。
魔王討伐を受けたその瞬間から彼の戦いは始まっていた。
然し、その内容を聞いた女神は目を丸くする。
今まで幾人も異世界へと日本人を送り届けた。
その誰もが圧倒的強さを求めた。
強敵を倒す為の当然の選択とも言えるだろう。
だがこの男の願いは、似て非なる願いであり、
女神の頼み事を第一に考えた願いだった。
「それは…可能。ですが…本当にいいの? それは余りに…」
「ビャハハハ!! まぁ…切り札だなww
使わない事を祈っててくれやぁww」
彼は思い切り笑う。
女神の目にはみすぼらしく汚らわしい男。
さぞ醜く私欲に満ちた愚かしい願いだろうと内心、見下していた。
蒼い瞳からポロリと一滴の涙を流し、醜い男の名を聞いた。
「貴方のお名前を…いえ、その前に私の――」
ビャハハ!! と、彼女を指差し嘲るように笑う。
「名前ぇ? そんなモノ覚えられたら困るわwww
そして、覚えても困るwwww」
何故、困るのか。その真意は現時点で女神しか知り得ない。
それを知る時、それは即ち、全てが終わる時だろう。
そして、彼は、三人の戦乙女を救うべく、
女神の力により異世界イスタリアへと
機械の体を手に入れて転生を果たすのだった。