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プロローグ

双葉霧弥は一見すると10代~20代前半に見える。180㎝のスラッとした体躯と彫りの深い顔立ちにサラサラした黒髪。どこかのアイドルを思わせる。

しかしこの男の戸籍を見ると誰もが驚くだろう。

戸籍には1816年5月6日生まれ。199歳。

来月には200歳の誕生日を迎えるのだ。

200歳と言うだけでもギネス級だが、この男のさらに凄いところはその容姿だ。

その美しさは勿論、まるで時間が止まったかのように容姿の変化が無いのだ。

成長することも老けることもない。少なくとも写真を見ると18歳から容姿に全く変化が無い。容姿だけではなく体力や運動能力にも全く変化が無い。まさに不老不死。どこまで生きるのか。

マスコミは「絶世の美青年」と囃し立て、周囲からは長生きの秘訣を教えてほしいとやたら多くの人々が駆けつけてくる・・・

しかし彼は孤独だった。

彼は3回恋をした。


一人目は8歳のとき、家族で海にいったときに出会った少女だった。水葉と言う瑠璃色の瞳をした泳ぎの得意な彼女に霧弥は一目で惹かれた。色々話をして、海で一緒に泳いだ。帰るとき、また会おうと約束をした。それきりだった。


二人目は15歳のとき、父に連れられてアメリカにいったときのことだった。父の友人の娘であるユラリスと言う彼女は流れるような金髪と紅い瞳が特徴だった。ヨーロッパの慣れないマナーに四苦八苦する霧弥をからかいながらもお茶を楽しんだり、飼っている犬を可愛がったりして、二人の距離は縮まっていった。父の友人はユラリスを霧弥の嫁にどうかと言うまでだったが、やがて戦争が始まり、二人が会うことは無かった。


三人目の佐和乃は終戦後、霧弥とお見合い結婚した。流れるような黒髪に人しく控え目な物腰、まさに大和撫子だった。周りからも、「美男美女の夫婦」との評価だった。お見合い結婚ではあったが、お互いを大切にし、幸せに過ごした。やがて娘が生まれた。美男美女の霧弥と佐和乃の血を十二分に受け継いだ。可愛らしい娘だった。お互いの名前を取って、霧乃と名付けた。


しかし160年前、佐和乃は病気にかかり、幼い霧乃を残して逝ってしまった。


そして僅か10年後に霧乃も病気になり逝ってしまった。霧乃の亡骸の傍でで泣き叫んだ、「なぜ俺は生きているんだ。なぜみんな死ぬんだ。」それから父、母、姉、妹、弟と旅立っていった。そして気が付けば200年の月日が流れていた…



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