表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/62

19 Side Senri 01話

 今日は何かあるみたいなんだよなぁ……。

 クラス委員が四時半までは校内にいるようにって言っていた。たぶん、生徒会が何かおっぱじめるんだと思うんだけど。

 それにしては面白いくらいに零れ情報すら耳に入らない。

「おかしいなぁ……そろそろ生徒会確定の一報が入ってもいい時期なのに」

 ぼやきながら昇降口へ行くと、ターゲット発見。

「みっそのーさん!」

 俺のお気に入り。見た目と性格のギャップが激しい気がするけど、見た目はすっごくかわいい。

 なんていうのかな? 見かけどおりおっとりさんなんだけど、バリバリの文系ですって顔をしていながら超理系っていう意外性。

 何より俺の顔と名前を覚えねぇ……。現に今も、「名前なんだっけ?」もしくは「誰だっけ?」って顔で俺を見ている。

「まだ覚えてくれねーの?」

 目の前の小さい頭に向かって尋ねる。

 身長は百六十ないにしてもそこまで小さいわけじゃない。でも、細っこいからかやけに小さく見える。

 そんな彼女の口から、

「……確か、バスケ部で隣のクラスの一年C組」

 自信満々に部活とクラスを当てられても……。

「その先っ!」

 いい加減名前覚えようぜ、名前っ!

 これでも学年では人気あるほうなんだけど、彼女の前ではなんの意味もなさない人気率……。

「名前……珍しい名前――」

 頭を抱えるくらいには一生懸命考えてくれてる。

 悪気があったり覚える気がなくて覚えてないわけじゃないらしいことが最近判明した。

 御園生さんの口から自分の名前が出てくることを待ち望んでいると、後ろから声がかけられた。

「翠、何してる? 漣も」

「あっ! サザナミくんだっ」

 全然嬉しくない。思い出したっていうか、「あ、それだ!」って感じだろ?

 いい加減自力で思い出しやがれ……。

「あーーー、もうっ。司先輩なんで言っちゃうかなぁっ!? この人、俺の名前全然覚えてくれないんですよねっ」

 振り返り、一個上の先輩に文句を言う。

 その人は中学のときに生徒会で一緒だった人。とりあえず、逆らって良かったためしなど一度もない。

 先輩は靴に履き替えると、「もう行けるの?」と彼女に尋ねた。

 は……!? 何それ、なんの話!?

 ふたりを交互に見ていると、

「はい、大丈夫です」

 と、満面の笑みで彼女が答えた。

「えっ!? 何? ふたり付き合ってるんですかっ!?」

 咄嗟に確かめると、

「違うよ」

 と、きょとんとした顔が俺を見上げた。

「えっ、じゃぁ何っ!? なんなのっ!?」

 彼女はなんだろう、って顔をして首を傾げた。すると、彼女の代わりに司先輩がしれっと答える。

「今日は俺に付き合ってもらう約束してるだけ」

 と。

「それって俺が申し込んでもOKってこと!?」

「や、それは……」

 うろたえる彼女を見て、司先輩がため息をついた。

「俺は翠に貸しがあってそれを返してもらうだけだ」

 なるほど納得。でも、それならさ――。

「俺も結構ないかな? ほら、何度言われても名前覚えられなくてごめんなさいデートとか」

 すると、またしても司先輩が口を開く。

「それは翠が悪いんじゃなくて、印象が薄い漣の問題だろ。第一、俺は一発で覚えてもらってる」

「うわっ、それ自慢ですか!? 俺だって学年ではそこそこモテんのに」

 ここぞとばかりにアピールしてみたけど、

「つまり、翠の範疇外ってことじゃないの?」

 司先輩に一蹴されて以上終了。戦意喪失――。

「行こう」

 彼女は背を押されて歩き始めた。こちらを振り返りもしない。

 これにはちょっとめげそうかも……。

 いやいやいや、こんなことくらいでめげる俺様じゃないっしょっ!

 顔をパン、と両手で叩き、部室棟へ向かって走り出した。


 部室に着いて着替えを始めたとき、校内アナウンスが流れてくる。

『皆さんお待ちかねの校内アナウンスです! 生徒会長こと加納久より、ただいまよりイベントのお知らせをさせていただきます。あっ、その前に業務連絡をひとつ! 漣千里、聞いてる? 聞いてないと痛い思いするから耳の穴かっぽじって聞いとけよ。めでたく生徒会フリーランス部隊に確定したから、今から即効――二分以内に図書棟へ集合。はい、カウント始めるよー! 三、二、一、ゼロっ!』

 マジでっ!?

 着替えもそこそこで部室を飛び出し、三段飛ばしでテラスへ駆け上がる。

 その間もアナウンスは続いており、走っている最中にそこかしこから、「がんばれー!」と声援をいただいた。

『あと一分だよー』

 のんきなタイムカウントをされつつアナウンスにも耳を傾ける俺は超器用っ!

『えー、ただいまより桜林館にて抽選会を行います。なんの抽選会かと言うとー、明日、午後四時より姫と王子のお披露目会を開催しますので、それに参加できるかどうかの抽選です。あ、遠目に見るんでかまわないっていう人は抽選に来なくてもOKです。その人たちには双眼鏡の貸し出しをします』

 図書室にたどり着くと、

「いらっしゃーい」

 と、海斗と簾条が迎えに出ていやがった。

「おまえらも?」

「そっ!」

「あれ? でも、簾条はクラス委員じゃなかったっけ?」

「私、異例のクラス委員との兼任だから千里と一緒、フリーランスよ」

 にこりと笑うと、超美人。

 こいつも俺の中では逆らっちゃなんねー人間リストに入っている。

 基本、生徒会のメンバーはみんなブラックリスト入り。強いて言うなら海斗だけは俺と並列。

「とりあえず中へ入って」

 簾条に促され図書室に入る。と、

『あっ、千里が図書室に到着しました。じゃ、続きを話します。お披露目会はとある姫の誕生パーティーを兼ねる都合上、定員百人と決まっています。で、これまたとある事情から六十四名しか抽選で選ばれません。心苦しいんだけど、みんな抽選で運を使い果たしてください。男女三十二名ずつの当選になるからね。じゃ、五時より抽選回開始となりますので、こぞって桜林館へお越しくださいっ!』

 アナウンスを終えると、放送ブースから久先輩が出てきた。

「よっ、千里! さすが俊足だな。今年も機動部隊だからがんばって働いてよっ。じゃ、会場に移動!」

 その場を仕切り、抽選会に必要なものを各自手に持って体育館へ向かう。

 図書室には茜先輩と朝陽先輩、外部生で生徒会入りしている二年のメンバーがいなかった。

「あっ、さっき司先輩帰ったけどっ!? なんでこんなイベントやるときに限って――」

 わめく俺の頭を簾条がはたいた。

「うるさい。それも作戦の一端だからよ」

「はっ!?」

「今年の姫のひとりは翠葉なんだ。で、翠葉の誕生パーティーを兼ねてるからサプライズになるように司が学校外に連れ出したわけ。OK?」

 海斗の説明にやっと合点がいった。

 なんだ、本当にデートとかそういうんじゃないんだ。なーんだ……。

「ところでほかのメンバーは?」

「朝陽先輩は抽選に使う機械のセッティングに先に桜林館入りしてるのよ。ほかの三人は入場場所を規制するために出入り口の封鎖に回ってるわ」

 相変らず手際の良いことで……。

「で? 俺の役目は?」

「とりあえず、今は抽選会に関する人員規制ってとこ」

 海斗に言われてふむふむと納得していると、

「あの人ごみに茜先輩は置いておけないから、開場する前に早く茜先輩と交代してちょうだい」

 あぁ、「姫ひとり」が御園生さんで、「もうひとり」は茜ちゃんなんだ。

「わーった。じゃ、俺先に行くっ!」

 言って、簾条たちを追い越した。

 俺、幸先いいんじゃね?

 生徒会で御園生さんと一緒って、かなりレアなポジションゲットだ。

 うっし……今度こそ名前覚えてもらうっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ