五話 黄金の果実
鼓膜を震わす喧騒にマルディナは眼を覚ます。
「ここ、は……」
一面に広がる紅の世界、見慣れた天井でもなければ樹海の木々も一切見当たらない。首を回すとランプが揺ら揺らと小さな火を燈していた。
知らない景色にマルディナは困惑を浮かべながら上半身をゆっくりと持ち上げると、身体を包んでいた毛布が簡素な寝台より転がり落ちる。
何故か酷く頭が重い。
「御嬢様、御目覚めですか」
「ディーマ……」
記憶にない場所に僅かに戸惑いを隠せなかった少女だが、自身の良く知る人物を前にようやく安堵の息を漏らす。
「私は、一体……」
「覚えていないのですか?」
「えぇ」
額に手を当てながら、マルディナは従者の言葉を肯定する。何故自分が寝ていたのか、この鈍痛は何なのか、その原因がまるで理解できずにいた。
しかし、その主の様子にディーマは何やら納得した様子である。
「御嬢様は白魔術をデヴィックに、いえ部隊の者全てに施した後、気絶したのです」
「私が、白魔術を……」
その言葉に、マルディナの明晰な頭脳が回転速度を増し、徐々に記憶が連鎖的に、そして爆発的な広がりを見せる。
過去の情景が瞳に投影され、耳から音声が再生される。そして、流れ込んできた魔力が、熱が少女の身体を火照らす。
「御嬢様、やはり御身体に何か……」
「だ、大丈夫よ」
思い出された少年の声に、視線に、魔力に、そして温もりに、心臓が強く脈動する。高鳴る鼓動に手を思わず胸に当ててしまったマルディナは、従者の気遣いの視線から目を逸らす。
心中を見抜かれぬように一度大きく息を吸い、精神と肉体の冷却を図ると共に、自身の最後の記憶を手繰り寄せる。
この身から溢れんばかり魔力を外部に放出するため、術の効果範囲拡大と充填魔力の増強を行った。
魔術発動中の陣の拡張は術者に強烈な負担を強いるが、あのままではむしろ彼女自身がその魔力を受け止めきれずに弾け飛んでいたことだろう。今更ながらゾッとする話だ。
今にして思う、あの常識外れの魔力のその凄まじさを。
流れ込んでくる魔力の質こそ自身に比べ純度が低いものの、それは当然の話だ。
日々、より魔素に効率良く伝達する魔力を身に付けるため、純度を高める作業を日常的に行う魔術師の魔力と同質であろう筈がない。
むしろ問題はその量だ。あれはとても人間のものとは思えなかった。
例えるならば何処までも果てしなく広がる大海、その総量がどれほどのものなのか計測することなど人間には不可能だ。
魔力はどの生命にも宿っているが、その総量と質は各種族ごとにその上限は大体決まっている。
魔術師はその中で偶然誕生した突出した魔力資質を備えた例外的な者達だ。
彼らは更に、己を鍛えることでその量、質を上昇させる。
しかし、どれ程鍛錬したところで、魔術師たちにも限界というものはある。
ジーンのその魔力量は、魔術師達の常識では考えられないほどのものだった。一体、どのような環境で育てばああなるのか、マルディナにも全く検討がつかない。
いや――心当たりはあった。
『俺、爺さん以外の人間って数えるくらいしか会ったことがないから良く分かんないけど』
考えてみれば色々と不自然だ。
あれほどの実力があれば名の一つは売れている筈だ。しかし、マルディナの記憶の中に、ジーンの名と存在は今日まで皆無だ。
ジーンという名が偽名という可能性もあるが、これほど圧倒的な戦闘能力と魔力量が同一する存在など、早々いるとは思えない。
ならば《裏》の存在か、という疑念が頭を過ぎる。
だが、あれほど裏表のない人間が闇の世界の住人とはマルディナには到底見えない。
あの顔が仮面なら話は別だが。
そんな中、ジーンの言葉が酷く気に掛かる。
数えるほどしか人と会ったことがないと、彼は言っていた。それがどれだけ異常な環境か、彼は気付いているのだろうか。
まさかと、マルディナは脳裏に浮かぶ一つの仮説を即座に投げ捨てる。
しかし、それは忘却という名の屑篭の縁に当たると記憶の床に転がり落ち、マルディナを無言で見つめていた。
「外が、少し騒がしいわね」
意識を外側へと戻したマルディナは赤い壁、即ち天幕の外から聞こえる従者達の陽気な声をその耳で捉える。
死の樹海と呼ばれるマ・ヒュージの森に入ってから、常に緊張を強いられ表情を強張らせていた彼らを見ていた身としては少々意外であった。
しかし、常に張られた緊張ほど切れ易いものはない。時には肩の力を抜くことも必要なことだ。
それはマルディナもまた同様だったらしい、内心で安堵の息を零すと釣られて彼女のお腹が可愛らしい音を鳴らす。
「我々も行きましょうか」
どうやら、外では夕餉が取られているようだ。言われてみれば鼻腔を芳ばしい匂いが絶えず刺激する。
ディーマの温かな眼差しに、羞恥に頬を染める少女は小さく頷いた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ひ……御嬢様、御目覚めになられましたか」
天幕を潜り、姿を晒したマルディナに気付いた数名の従者達は素早く主の下に駆け寄る。
「えぇ、心配をかけたようね」
「いえ、御無事で何よりです」
マルディナの言葉に首を振ると、心底安心したといった顔を彼女の下に晒す。そんな彼らの表情にマルディナは目尻を下げる。
「貴方達も怪我はないようね」
「御嬢様のお陰です、ありがとうございます」
見たところ外傷を負っている部下達の姿はなく、無事白魔術が発動したようだ。
マルディナは彼らの無事に、僅かに潜んでいた不安の陰が払拭されるのを感じていた。
「それにしても貴方達、それは一体……」
少女が一際目が惹かれるその品は、何とも人を惑わす匂いを発していた。
彼らの手に握られていたのは樹の棒に刺さったこんがり焦げた肉の塊であった。その芳ばしい匂いは空腹の身には余りに刺激的である。
思考の大半がその焼肉に侵される中、ある疑問がマルディナの頭に浮上する。
その肉は一体何なのかと。
マ・ヒュージの森に入るに当たり皆に携帯食を持たせていたが、間違ってもあのような日持ちのしないものなど持たせた覚えなど、彼女の記憶にはなかった。
誰が、何時、何処で、どうやってそれを手に入れたのか、皆目検討がつかない。
僅かに首を傾げる主に、従順なる従者は何故か僅かに不機嫌そうに視線をある一点へと向ける。
釣られて眼を向けると其処には、二人の男が焚き火を前に猛烈な勢いで肉を貪っている姿が飛び込んでくる。
その二人にマルディナは覚えがあり過ぎた。
「ひ、御嬢様!?」
周りの部下達を置いて、気付けば少女は足を進めていた。
近付くと共に闇夜に慣れ始めた瞳が男達の輪郭をよりはっきりと鮮明に映し出す。
一人の男は自身を遙かに上回る巨体であり、その身体から発する圧力は相当なものだ。豪快な食べっぷりと相俟って、豪傑と呼ぶに相応しいだろう。
炎が放つ光が男の頭を熱く照らし出し、反射された光にマルディナは僅かに目を細める。
その巨漢と相対するは自分とさして変わらぬ背丈の少年だ。
そんなに入るのかと思わず心配してしまいそうになるほどの勢いで、少年は肉を口の中へと放り込み続けている。
思わず尻込みしてしまうマルディナに、一息吐いた巨漢がようやく少女の存在を知覚する。
「姫様、気がついたんですかい」
「えぇ、つい先程。身体の調子は悪くないみたいね、デヴィック」
「姫様のお陰でさぁ」
豪快な笑みを零すデヴィックの顔に偽りの色は全く見えない。そもそも、この男にポーカーフェイスなど出来る筈もないので、マルディナは素直に彼の快調具合に頬を緩める。
「それにしても、良く食べているようね」
「あれだけ動けば腹の一つも減るってもんだ」
「それはそうですが……」
だとしても、マルディナには考えられないほどの量を食べただろうことが簡単に推測できるほど、樹の棒が至るところに転がっていた。
更に、彼らが囲う焚き火の周囲には依然、肉が大量に焼かれており、二人とも未だ満腹には至っていないことが分かってしまう。
少女はこの時、二人に確かに恐怖した。その胃袋の強大さに。
「姫様も食ってみろって、美味いですぜ」
ずいと差し出され、マルディナは僅かに困惑するが部下の申し出を断るのは心苦しく、更には未だ空腹の身、醸し出された誘惑に抗う術など彼女にはない。
少女は生まれに似つかわしい、あくまでも優雅な仕草で小さく口にする。
急速に広がる肉汁がマルディナの口内を瞬く間に侵食する。
まるで力強い生命の脈動を感じさせる充足感が口から咽喉へ、そして全身へと広がっていく。
気付けば少女の口から、熱い吐息が瑞々しい唇から零れ落ちていた。
「……美味しい」
目の前の炙られただけの焼肉が、宮廷料理と何ら遜色ないほど、もしかしたらそれ以上のものに感じられた。
「そいつはよかった。おいジーン、姫様が御気に召したぞ」
「ん~」
その言葉に、ようやく少年は目の前で格闘する肉から視線を少女へと向ける。
ジーンの紅い瞳を見た瞬間、マルディナの頬が微かに赤らむ。しかし、彼女としては幸いなことに、その色は二人には炎によるものだと認識された。
「俺もこんな美味い肉は久しく食ったことないですぜ。死の樹海産の大熊、いい味してるぜ」
その言葉にマルディナは噴き出す。
噴出されたそれは少年の顔に猛然と迫るが、ジーンは涼しい顔でそれを難なく回避する。
「す、すすすみません!」
「いいよ、別に気にしてないから」
乙女らしからぬ失態を犯したマルディナは羞恥に見る見ると顔が赤く熟していく。その様子を特に何かを感じるわけもなく、ジーンは再び目前の肉と戯れ始める。
その態度に僅かに傷付きながら、少女は先程の従者の言葉に食いつく。
「デ、デヴィック、貴方今何と……」
「姫様も驚いたかい。俺も驚いたよ、魔物の肉がこんなに美味いなんてよ」
魔物はこの大地の至るところに生息しているが、それを食する文化はどの国にも根付いていない。
何故ならば、魔物達は死ぬと急速に体細胞が腐敗するため、新鮮な肉など滅多に入らない。その為、魔物の肉を食べる機会があるとすれば、魔物を倒せる者だけに限定される。
これではどれだけ美味だろうが、その味が世間に広まるわけがない。
「本当の話なのですか?」
周囲を見渡せば幾つものグループが暖を取っており、各々の手には噂の物が納まっている。
どれだけ大熊が巨体だろうと、到底全ての者に手渡す事など不可能に思える。
しかし、彼女の疑問はあっさり氷解する。
「あぁ、コイツが次々に大熊を連れ帰ってきた時にはおったまげたぜ」
「……詳しく話して下さい」
彼の話ではこうだ。
魔力の熱暴走により気絶したマルディナの意識が回復するまで、部隊は一時その場に残留することとなった。
その間、ジーンはとりあえず考えた先の報酬を要求した。それは――
『美味い飯を食わせろ』
だが、マルディナたちが携帯していたのは長持ちのする携帯食、断じて味など考慮されていない。
ディーマが提供したそれをとりあえず食したジーンは当然のことながら――憤慨した。
「あの時は大変でした」
大熊の肉を口にしながら、ディーマはゲンナリした顔を見せる。
この場では望みの物は提供できない、しかし帰れば好きなだけ食べさせてやる。幾ら言ってもジーンは聞き入れない。
無理もないだろう、ジーンは《今》美味しい夕飯を食べたいのであり、先のことでは断じてなかった。
苛立ちを強めたジーンは気付けば、自分で晩御飯を取りに森に消えていた。
焦ったのはディーマたち一同だ。
正体不明の少年、しかしその戦闘能力は部隊を遙かに凌駕しており、その場に残留した彼らが冷静に主の目覚めを待つことが出来たのは、少年の存在が極めて大きい。
その彼が行方を晦ませたのだ。動揺を生まない筈がない。
ディーマも、一応の主従の命の恩人であり、警戒対象の突然の失踪は胆を大いに冷やした。ついでに、デヴィックはこの間見事に爆睡しており、その一部始終に全く関与していない。
時間にしておよそ一時だろうか、物言わぬ大量の大熊を連れて戻ってきた時、部隊は騒然となった。そして、更に行った少年の奇行に、その声は更に大きくなったのは当たり前といえる。
このタイミングで目を覚めたデヴィックは色々と分かっている。
「外界は美味いものがいっぱいあるって言ってたのに、爺さん――やっぱり嘘吐いてやがったな」
「そんなことはありません。このお肉も確かに美味しいですが、他にも美味しいものは沢山あります。ただ、今私達の手持ちには――」
「本当か?」
「本当です!」
いつの間にか同じ暖を囲むことになったマルディナの声に、ジーンはあくまで疑惑的だ。彼の中で彼女達の信頼度はどうやらかなり下落したらしい。
実に恐るべき、食の恨み。
「ふ~ん、まぁいいや」
そう言うやジーンはポイと、口の中に果実を一つ放り込む。
彼の前には大きな葉を受け皿に色取り取りの果実が並べられていた。大熊の肉は予想外に大量に狩れたため部隊の者達にも恵んでやったが、果実は完全に自分用だ。
「しかしジーン、お前よくこの樹海でそんな平気に生った果実を口に出来るな」
魔境と呼ばれるこの地で生息される動植物は未だ殆ど解明されておらず、無闇やたらに物を口に入れるのは得策とは言い難い。
しかし、それは少年には当て嵌まらない。彼にとって、この地は住み慣れた庭のようなものなのだから。
「そうか? 長いこと住んでればどれが食べられるかなんて自然と分かるもんだと思うけど」
そう言って更に一口。
「ずっと住んでいる、だと?」
その言葉に、ディーマの視線が鋭さを増す。マルディナの表情も表情から少女として感情が抜け落ち、姫の名を冠する。
「ジーン、君は此処に長らく住み着いているとでも言うのか?」
「だからそう言ってるだろ」
自身が仕留めた巨大な大熊の外皮を座布団に胡坐を掻き、僅かに膨れてみせる。
己の言葉を信じていないディーマに不満らしい。
そんなむくれた少年をマルディナは静かに見つめながら、先に投げ捨てた筈の仮説を手に取る。
即ち、この少年、ジーンはマ・ヒュージ育ちである。
この人外魔境に適応し、住み続ければ確かにあれほどの戦闘能力を有しても可笑しくなければ、長年人と会っていないという彼の言も納得できる。
当たり前だ、こんな地にのこのこと現れる人間など極めて稀と言う他ない。
その仮説がもし事実なのだとすれば。マルディナの中に急速に芽生える希望が、彼女の胸を熱く焦がす。
「ジーン様」
「ん、何か食べたいの?」
少女は首を振り蒼銀色の髪を靡かせると、何処か潤んだ瞳で黒髪の少年を見つめる。
「いえ……それより、一つ伺っても宜しいですか」
「何?」
胡坐に手を置き、緊張感の欠片のない自然体でジーンはマルディナの問いに備える。
「ジーン様は此処の動植物にも精通している御様子、実は私たちはある果物を探しているのです」
その言葉に、ディーマとデヴィックの身体が一瞬震えが走る。気付けば、二人の体には微かに、しかし確かに力が張られていた。
まるで、何時でも飛び出せるように。
「ふ~ん、それで?」
大した興味もないのか、聞き耳半分でジーンは先を促す。
その態度から少年が帝国や連邦の手の者ではないという半ば確信染みた実感を得たマルディナは、少年に問いかけた。
彼女が、欲して止まないその物を。
「その名は《世界樹の実》、あらゆる万病を癒し死者すら蘇らせると伝えられる果実です」
既に伝承の域にある、既にこの世に実在するか定かではない幻の果実。
彼女は、彼女達はそれを求めてこの地に訪れた。
マルディナが調べたあらゆる文献に目を通し、最も可能性が高いとされる場所、それがこのマ・ヒュージの森であった。
その果実は超高濃度の魔素を養分に培養された可能性が最も高く、それに適した場所となると此処しかなかった。
「御存知、ありませんか?」
マルディナは僅かに震えた声で尋ねる。
「名前だけじゃ全然分からないって。それってどんな果実、色とか形とかは?」
「そ、それは――」
ジーンの当然といえる詳細要求の声に、少女は言葉が詰まる。
実際のところ、マルディナとて現物を見たことは当然ない。何せ相手は神話、伝説で語り告げらるた品だ。
残っているのは古代の文献のみであり、その詳細もまた此処の本で差異が多々ある。
実際にこの世にあるか定かではない、幻を掴むような空虚な実を捜し求めているのだ、彼女は。
その中から辛うじて共通する特徴、それは実るまでに長い年月を必要とすることと、果実は太陽の如き黄金の輝きを宿す。この二点のみだ
長い歳月を掛けて成熟する果実など山のようにあり、絞り得る要素にはなりにくい。
また、太陽の如き黄金を宿す、この文面は恐らく果物の色を表すものと推測されるが、果物が金色に輝くわけがない。
恐らく黄色、はたまたそれに準じた色だと思われるが、それとて黄色に果物などこの世に山のように存在する。
しかし、辛うじてこの魔境に限定すれば少しは特定できるのではないか、そんな淡い気持ちを胸に抱いていた。
だが、色彩に富んだこの魔境の光景にそんな幻想は早々と砕け散った。
そんな御伽噺でしか有り得ない果物を求めて何になると、冷徹な自分が冷たく耳元で囁く。
それを必死に振り切って、少女は今この地にいる。
「実るまでに時間が掛かって、黄金の輝きを宿す?」
少年はその言葉に僅かに首を捻ると徐に、手元にお手製の皮袋を寄せる。
「んん?」
何やら微妙な顔で皮袋を弄る少年を少女は熱い眼差しで見つめる。
正直、ジーンが《世界樹の実》の所在を知っているとはマルディナは思っていない。
ホンの僅かでもいい、可能性という名の希望が欲しい。少女の切実なる想いであり、願いだ。
運命は残酷だ、人を願いを哂って握り潰し、容易く地獄の底へと蹴り落とす。
神は人を容易に救わない、それが救うのは彼らが気に入った者達だけだ。
しかし運命は、神は時として気紛れを起こす。
その気紛れを人は――奇跡と呼ぶ。
「その果実、太陽の如き黄金の輝きを宿す」
記憶の中にある太古の昔に記された書物に載せられた一文がマルディナの口から紡がれる。
呆然と見開かれたその琥珀色の瞳には、差し出された少年の掌に納まる果物が鮮やかに映し出される。
「それってさ……もしかして、これか?」
その果物は確かに、太陽の如き輝きを宿していた。
偶然って怖いねというお話。