魔術の師の取りなしで、アミの母が俺が娘を見守るだけなら良いとやっと許可をくれました。
ドカーン
俺の張った障壁に当たって爆発が起こる。
「ギャッ!」
ヒューゲルが悲鳴を上げて腰を抜かしてくれた。
俺の行く先に人影が見えた。
フィンが抜剣するが俺は手で抑えた。
「ずいぶんな歓迎だな。クリスティーネ!」
俺の前に両手を腰に当てて構えていたのはアミの母クリスティーネだった。
「ふんっ、何しにここに来た、レオ? アミの周りはうろつくなと帝国の奴らにはしっかりと釘を刺しておいたはずだが」
クリスティーネは手に魔力を込めだした。
「いや、待て、クリス、少し話し合おう!」
俺がクリスを止めようとしたが、
「話し合うことなどない! 喰らえ!」
「えっ?」
いきなり、クリスは雷撃してきた。
俺は障壁で防ぐ。
「フィン、お前らは下がっていろ」
「しかし、陛下……」
暗部の長は躊躇してくれたが、
「邪魔だ。お前らを守って戦うのはさすがの俺でも無理だ」
「判りました」
俺の言葉に逡巡したが、腰を抜かしたヒューゲルを抱えてフィンが下がってくれた。
「クリス、あくまでもやるのか?」
「当たり前だ」
そう言うとファイアーボールを俺に向けて撃ちだしてくれた。
俺はそれを躱す。
ドカーン
地面に命中して爆発する。
こうなったら仕方が無い。
「こちらも行くぞ!」
衝撃波をクリスに向けて放つ。
「甘い」
クリスは障壁で受けてくれた。
反撃で雷撃が来る。
俺は飛び上がって避けると、今度はこちらも雷撃を放った。
クリスが避ける。
魔術の塔に吸い込まれた。
しかし、その雷撃の一部がクリスの服をかすめて焦げ目を作っていた。
ドカーン
爆発音がする。
「おのれ、もう許さん」
クリスが爆裂魔術を俺目がけて放ってくれた。
それを間一髪で避けると俺も爆裂魔術をクリス目がけて放つ。
それをクリスは障壁で受け止めてくれた。
そして、そのまま俺目がけて走り出してくれた。
俺もクリスに向かう。
その時だ。
「いい加減にせんか!」
男の声で罵声が響くと俺とクリスの頭の上から大量の水が落ちてきたのだ。
「「ギャッ」」
俺達はその大量の水に流されていた。
水はあっという間に渦を巻いて俺とクリス、それに下がっていたフィンとヒューゲルを巻き込んでくれたのだった。
「おい、そこの小僧、お茶を入れてみろ」
ヨーゼフ先生はヒューゲルに指示した。
あの後、頭の冷えた俺とクリス、それにフィンとヒューゲルがヨーゼフ先生の塔の前に出された机の前の椅子に座らされた。
「いや、そのようなおぼつかない手ではお茶がまずくなってしまうではないか」
「も、申し訳ありません」
一緒に流されて濡れ鼠になったヒューゲルが慌てて謝った。
偏屈じいさんと恐れていたそのヨーゼフに仕事を言いつけられたので、ヒューゲルはとても動きがぎこちなかった。
余程こいつが偏屈じいさんと呼んでいましたよと言ってやろうかとも思ったのだが、あまりの脅えように可哀相になって黙っていることにした。
ヨーゼフ先生はヒューゲルにやらせるのは諦めて急須を取り上げると自分で入れだしてくれた。
「貴様等、これはどういう事だ!」
お茶を皆に配って一息入れたところで、ヨーゼフ先生は所々穴が開いて真っ黒になった魔術の塔を指さしして俺達は魔術の塔の主のヨーゼフ先生に怒られた。
「貴様等の娘がこの前、何の因果か魔術の塔に激突して魔術の塔を傾けてくれたのだぞ!」
「ヨーゼフ先生、それは本当ですか?」
一年生にして魔術の塔を傾けさせるなどこれほど末頼もしい娘は居まい。
俺が喜んで言うと、
「ヨーゼフ先生。アミは私とゲオルクの娘です。レオは関係ありません」
クリスが否定してくれた。
「しかし、クリス、アミの瞳が金色だぞ。金色の瞳の男は学園広しと言えどもこのレオしかおらんかったぞ」
ヨーゼフ先生が指摘してくれた。
「それでもです。私はゲオルクに何もしてやれませんでした。せめて娘だけはゲオルクの娘にしておいてやらないと」
「しかし、ゲオルクはレオの娘だと前々から言っておったぞ。いずれ、娘に本当の事を話すと」
「あいつ、そのようなことをヨーゼフ先生にしていたのですか?」
クリスが立ち上って怒りだしたのだが、
「アミも自分の本当の父親が誰か知りたいと儂に聞いてきおって往生したぞ」
「そうなのですか?」
俺はそれを聞いて嬉しくなった。
「何を言うのです。ヨーゼフ先生、アミの父はゲオルクしかいません」
クリスが言い張ってくれたが、
「儂はそう一応言ってやったが、アミは納得はしておらんかったぞ」
ヨーゼフ先生がそう指摘してくれた。
そうか、アミが父を探しているのか。ならば俺からアプローチしても問題ないかもしれん。
俺がそう思った時だ。
俺の目の前をファイアーボールが飛んでいった。
俺はぎょっとしたが、
ヨーゼフ先生が慌てて手を振ると無効にしてくれた。
「クリス、貴様何をするのだ!」
ヨーゼフ先生が怒り出したが、
「アミに近寄るのは許さん! 勝手にアミに話しかけたら貴様を殺す」
クリスは物騒なことを言ってくれた。
結局ヨーゼフ先生が取りなしてくれて、俺は魔術の塔でアミを見るだけなら構わないとクリスが認めてくれたのはその日が白け出す頃だった。
ここまで読んでくれて有り難うございます。
8年かけてなんとか見守るだけなら良いと母親が認めてくれました。
でも、話せるのはいつになることやら……
続きをお楽しみに








