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愛しい娘になんとか「お父様」と言われたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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魔術学園に息子を留学させている男爵を呼び出して娘と知り合いになるように依頼しました

「も、申し訳ありませんでした」

 俺が応接に入るなりバーカー男爵が頭を下げてくれた。

 俺は面食らった。


 抱き付いてきたブライテンバッハ公爵夫人は論外だが、この国の貴族共は俺を驚かせれば良いとでも思っているのか?

 このような田舎の男爵が俺に頭を下げるようなことが何かあるのだろうか?

 俺は慌てて宰相と外務卿を見たが、二人とも首をふってくれた。


「どうしたのだ、バーカー男爵?」

 俺は取りあえず聞いてみた。

「本当に申し訳ありませんでした」

 しかし、バーカー男爵は頭を下げるばかりだった。


 これではらちがあかない。

 隣の宰相を見たが首を振ってくれた。

 天井裏にいるフィンに目を向けるが何もアクションはない。

 ということは暗部も掴んでいないみたいだった。


「申し訳ないが、何故男爵が頭を下げるのか判らないのだが……」

 俺は再度聞いてみた。


「えっ、10年前の我が領地に対する穀物の援助の間違いについてのご指摘のために呼ばれたのではないのですか?」

 きょとんとした顔でバーカー男爵は俺を見上げてきた。


「10年前の穀物の援助の間違い?」

 俺は驚いて宰相を見るが宰相は首を振っていた。


「どのよう間違いなのだ?」

「はっ、その年は天候不順で川が氾濫したり、冷害が起こったり、そのせいか魔物の出没が多かったりで、わが領地は散々でございまして、陛下に援助の申請をさせて頂いたのでございます」


「そう言えば帝国全体で不作だった年があったな」

 あの頃は俺も不能になったのが判明するわ、不作になるわでドタバタで大変だった記憶があった。

 まあ、帝国はまだ良い方で、属国の方が大変で、近隣諸国に作物を貸し出した記憶があった。

 当時の皇帝だった父はいい加減だったが、下の官僚がしっかりしていたので、帝国に穀物は余っており、それを使っていろいろと援助した記憶があった。


「このままでは我が領地でも多くの者が餓死するやも知れぬ有様でございました」

「そうか、あの時はそんなに酷かったのか?」

 帝国の大半は穀倉地帯にあって多少の雨不足や日照りには強かったイメージしかないのだが田舎では厳しいところもあったのかもしれない。


「はい。領民達は明日からの穀物をどうするかと頭を悩ませていたところに、陛下からの援助が届いたのです。私達は歓喜いたしました」

「うん、そうか、間に合って良かったな」

 別にそれまでなら何も問題がないではないか?

 俺は男爵を見た。


「我々も最初は歓喜していたのですが、その量が倉庫に入らぬほどの量でして、量が多すぎるのではないかとよく納品書を見ると我々の申請していた分よりも一桁多かったのでございます」

「一桁多かっただと!」

 俺は頭を抱えてしまった。

 誰だそんな間違いをしたのは!


「はい。しかし、当時は我々は陛下の御慈悲だと歓喜して、飢えて困っていた領民達にもそれを配ってしまったのです。冷静に考えればそれを陛下に再度報告し、多すぎた分をお返ししないといけませんでした。誠に申し訳ありませんでした」

 深々と頭を下げられた。


「宰相、一桁も間違うとはどうなっているのだ?」

 俺は宰相を見たが、

「申し訳ございません。直ちにどうなったか調べます」


 しかし、後で調べさせたら、犯人は俺だった。

 当時は属国がらみの問題も多くて官僚達は必死で皇帝見習いだった俺も書類仕事にかり出されて色々させられた時だった。計算は新米の官僚で、その許可を出すのが俺だった。

 俺も不能になったショックであまり仕事も手につかずに、適当にしていた時だったのだ。

 俺は宰相の白い目にさらされた。

「許可した俺も俺だが、元はと言えば計算間違いした奴が悪いんだろうが」

「その者は外務の人間で、この前クリスティーネ様に頭を燃やされた者でございます」

 そう言われたら何一つ返せなかった。それ以上の罰を与えるわけには行かなかった……



「その場ですぐにご報告上げねばならなかったことをしなかった私に罪がございます。本当に申し訳ありませんでした」

 男爵は頭を再度下げてくれた。


「まあ、終わったことは良い。その穀物を返してもらえば問題なかろう」

 俺は単純にそう思ったのだ。


「へ、陛下、それについては我が領で貯めた分もあるのですが、今だその分は溜まらず、何卒割賦で返済させて頂くわけには参りませんでしょうか」

 バーカー男爵が頭を下げながら上目使いに見てくれたのだが……俺は良いことを考えた。


「男爵。穀物の件はそちらに多く出した我が方の間違いでもある。ここは我が方の依頼を聞いてくれたら、なくしても良いぞ」

「それは本当でございますか、陛下?」

 男爵は必死に食いついてきた。

 下手したら援助の量は男爵量の税の10年分くらいになるそうだ。尤も洪水の治水や魔物討伐の支払い、領民への援助等で使い尽くしてしまったそうだが……


 まあ、高々男爵領に対して出した穀物の領など知れている。

 それよりもアミに対して知り合いになっていろいろと情報を仕入れてくれる方が大切だ。

 何しろ優秀な外務官僚を既に10名以上被害に遭わせているのだ。

 これ以上被害に遭わせるわけにはいくまい。


俺は一年生に入ったアマーリアと是非とも知り合いになってほしいと頼んだのだ。


「一年生の平民の女と親しくなるのでございますか?」

男爵が少し嫌そうな顔をした。

「親しくと言っても男女の関係になれと言っているのでは無いぞ」

俺は釘を刺した。俺の娘を男爵の息子なんかにくれてやるわけには行かない。

「知り合いになって何か困っていれば助けてほしいのだ」

「左様でございますか」

男爵は何故かほっとしてくれた。


「この少女は俺が昔世話になった女の娘でな」

「陛下のお親しい方の娘さんですか?」

男爵は不審げに俺を見てくれたが、

「バーカー男爵。くれぐれも粗相のないようにお願いしますぞ」

横から宰相が声をかけてくれた。


「判りました。援助米をあれだけ頂けたのです。誠心誠意尽くすように息子に伝えましょう」

俺は男爵の言葉を信じたのだった。

それが間違いだった。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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