娘の元に同い年の女生徒を向かわせようとしたらいきなりその母親から抱きつかれました
それからしばらく、毎年のように使者を送っていたのだが、使者は頭を燃やされるか、丸坊主にされるか、魔術で攻撃されて命からがら逃げ帰ってくるかで、本当に悲惨な状態で帰ってきた。
そのたびに外務卿が喚くは文句を言われるわで大変だった。
また、その悲惨な噂を聞いて、その任務を与える時は、良い顔をする者は一人もいなくなり、仕方なしに俺はその任務の後に昇進か領地を増やすか、何らかの希望を聞いてやることにした。
7回目の使者が失敗した時にはさすがの俺も、方法を変えるしか無かろうと思い出していた。
そんな時だ。
「陛下、どうやら、そのアマーリア様がクリスティーネ様から離れて王都にいるそうですぞ」
暗部の長のフィンが報告してくれた。
「何だと、それは本当か? しかし、そんな小さい子が一人で何故王都にいる。まさか人攫いか何かにさらわれたのではないだろうな?」
そうであれば直ちに保護せねばなるまい。クリスの傍に居るから安全だと思っていたのだ。クリスから離れたら危ないではないか!
「いや、そうではなくて、アマーリア様は13歳になられる年ですから、王立魔術学園に入られたのでしょう」
外務卿が即座に否定してくれた。
「さようでございます。何でもクリスティーネ様に反対されたので、家出してヨーゼフ先生を頼られたそうで、今は寮に入られたそうです」
「そうか、アミは王立魔術学園に入ったのか」
そこまで娘が大きくなったのかと俺は感激もひとしおだった。
「それなら今度は俺の出番だな」
俺は立ち上った。
ノルトハイムの王都ならば転移ならすぐだ。
俺はすぐに娘のところに転移しようとした。
「陛下、お待ちくだされ」
「いきなり転移は止められた方が」
「何故だ。俺はこの7年間、必死に会うのを我慢していたのだぞ。クリスがいなければ俺が行けば会えるだろう」
俺はそう言ったのだが、
「何をおっしゃるのです。陛下。13歳の娘というのはとてもデリケートですぞ。いきなり自分が父だと名乗り出て信用してくれるかどうか」
「さようでございます。変なおっさんと認識されれば二度と会ってもくれませんぞ」
「ここは我慢された方が良いかと」
宰相と外務卿とフィンにまでそう言われれば俺も考えを改めざるを得なかった。
「ではどうすれば良いのだ?」
むっとして俺が尋ねると、
「そうですな。帝国の者でノルトハイム王国の魔術学園に留学しているものがおりましょう。まずその者からアプローチさせるのはいかがですか?」
「さようでございますな。年の似たものならば親しくなれる可能性もございます」
「それから陛下が出られた方が宜しいかと」
3人が俺に提案してくれた。
「そうか」
仕方が無い。俺は外務卿に魔術学園の留学生をリストアップするように指示を出した。
「たった1人だけなのか?」
俺はその名簿を見て驚いた。
俺がいた時は20人くらいが留学していたはずだ。それがたったの一人とは。
「陛下の時は陛下が留学しておられましたし、ヨーゼフ先生も帝国中に名前がしれておりましたから。今は我が国の皇族はどなたもおられませんし、ヨーゼフ先生も教鞭を取っておられないそうで、わざわざノルトハイムなどに行かずとも帝国に優秀な施設はいくらでもございますから」
外務卿が教えてくれた。
「しかし、バーカー男爵家など聞いたことがないぞ」
「山奥の男爵家ですな。帝都からは3週間くらいかかるそうでございます」
宰相が教えてくれた。
「判った。直ちにそのバーカー男爵を帝都に呼び出せ」
「呼び出すのでございますか?」
宰相が眉を顰めてくれたが、
「そうか、俺に行けというのか? いきなり皇帝が転移する方が向こうも驚くと思うぞ」
「さようでございますな」
宰相が納得してくれた。
「しかし、時間がかかるな。帝都で学んでいる者を何人かノルトハイムの魔術学園に派遣できないのか?」
俺が尋ねると
「さようでございますな。高位貴族でアマーリア様と同じくらいの年代の女性というとブライテンバッハ公爵家はいかがでございますか?」
「先日当主が病気で亡くなったところか?」
俺は嫌そうな声を出した。
「息子が15歳で家督を継ぐという事だったと思いますが、下の娘が確か13歳でしたぞ」
外務卿が教えてくれた。
「しかし、父が亡くなったところで動揺しているのではないか? そのような娘をノルトハイム王国に送るのはどうかと思うが」
俺は渋った。
「まあ、そうおっしゃらずに、相手は王都におります。聞いてみれば良かろうかと」
「さようでございます。確か夫人は陛下と一緒にその魔術学園に留学していたこともあると聞いていますぞ。母娘とも呼び出せば良いかと」
宰相等は言うが、その夫人は昔俺に猛アプローチしてくれたのだ。
俺が相手にしなかったから2年くらいで怒ってさっさと帝国に帰ってくれた。そんな夫人から色良い返事が聞けるとは期待していなかった。
しかし俺の予想と反して夫人はすぐに皇宮に来てくれた。
俺はそれを訝しく思いつつ、すぐに応接室に向かった。
「陛下、お会いしたかったです」
俺が扉を開けて部屋に入るなり、いきなり夫人は俺に飛びついてきた。
さすがの俺も油断していてそのまま押し倒されてしまった。
俺は何が起こったか、理解できなかった。
「何をしていらっしゃるのです?」
俺の後ろから入ってきた宰相と外務卿が呆れた声を出してきた。
「早く、この女を退けよ」
俺の命令で慌てて後ろにいた騎士達と宰相達で公爵夫人を引き剥がしてくれた。
夫人は胸がはだけていてと言うか肩がむき出しのとても大胆な衣装だった。
驚いた俺は事情聴取を宰相と外務卿に任せた。
二人から聞いた所によると、
公爵夫人は自分の夫が亡くなった途端に俺から声をかけらて、てっきり俺に後添えに迎えられると思ったらしい。
「あまりにも嬉しくてつい陛下を押し倒してしまったそうです」
俺は宰相の報告を聞いてため息をついた。
「それで娘も連れずに一人で来たのか? 書面はちゃんと書いたのか?」
半分切れていた俺は宰相を睨み付けた。
「公爵家の娘の学業の件と留学について相談したいと書面には確かに記載いたしました」
外務卿はそう言い張ってくれたし、
「これも陛下が後添えをお迎えになられないから、こういうことになるのです」
宰相からは説教が入るしもう最悪だった。
帝国に帰ってから娶った妻は流行病にかかつて3年くらいで亡くなっていた。
俺は副作用で不能になったのもあってそれ以来、後添えを迎えずに、今に至っているのだ。
俺は新たな留学者を探すのではなくて今居る留学者からアミにアプローチさせる方向で行くことにした。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』
https://ncode.syosetu.com/n8270ll/
のスピンオフの作品です。
こちらもお読み頂けたらと思います。
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