愛娘の母の機嫌を損ねたので、お詫びに最新のプリンを買って差し入れに行きました
俺は魔術の塔でヨーゼフ先生の魔術具を眺めていた。
魔術具の先には美味しそうに朝食を食べるアミとそれをニコニコ見ているクリスが映っていた。
しかし、アミは本当に美味しそうに食べ物を食べている。
俺はそれをただ指を咥えて見ていた。
本来ならばそこに俺が入れたのはずなのに!
「レオ、貴様はここで一体何をしているのだ?」
ヨーゼフ先生が呆れて俺に声をかけてきた。
俺の下僕のヒューゲルが俺の朝食を食堂からもらってきて目の前に置いてくれた。
「ふうううう」
俺は大きくため息をついた。
「何しているって見れば判るでしょう!」
俺はむっとして答えていた。
「こんなところで見ていないで直接行けば良いだろう? お前ならアンハームまで転移するなど朝飯前だろうが」
「それが二度と来るなと言われまして」
俺は頭をかいた。
「何をしたのだ?」
「いや、少し……」
そう、俺は全く悪気がなかったのだ。
ただ少しふくよかになったんじゃないかとポロリと口が滑ってしまったのだ。
「何ですって!」
それを聞いた時のクリスの怒りは凄まじかった。
「あなたね。私は一人でアミをここまで育ててきたのよ。少しくらい太るわよ。
アミは好き勝手に走り回るし、気付いたら勝手にダンジョンに入り込んでいるし、私の言うことも聞かずに勝手に学園に行くわで心の安まる時もなかったのよ!」
クリスがヒステリーを起して俺は家から叩き出されたのだ。
それからは全くアンハームの家に入れてもらえなくなったのだ。
「まあ、それはお前の自業自得だな」
ヨーゼフは呆れてくれたけれど俺にとってはアミに会えないのがとても悲しかった。
「本当に、女性に太ったなんて言うなんて、レオさんはデリカシーがないですね」
いつの間にか来ていたリックが言いだしてくれたが、
「小僧には言われたくないぞ!」
「レオさん、俺は小僧ではなくてリックです」
「何がリックだ! 俺から見たら十分に小僧だろうが」
俺がぶすっとして反論すると
「せっかく仲直りするために良いこととを教えて上げようと思ったのに、いらないんですね」
リックは笑ってくれた。
貴様の言うことなど聞きたくもないわ!
俺は思わず感情にまかせて言いそうになったが、いやいやこいつの言うことは聞いた方が良いと理性がささやいてくれたのでその言葉は飲み込んだ。
「何だ、小僧、教えてみろ」
「だから小僧じゃない……」
「有意義な情報を教えてくれれば名前で呼んでやろう」
俺が上から目線で言ってやった。
本来愛娘に近づくゴキブリは近づけたくないのだが……背に腹は代えられぬ。
「なんだかな」
「で、何なのだ? 黄色い帽子屋のプリンはもう聞いたぞ」
肩をすくめるリックに俺は尋ねていた。
「黄色い帽子屋に一ヶ月前に新しくカスタードプリンというのが出来てそれが絶対にクリスティーネ様気に入ると思うんだよね」
「でかした小僧」
「いや、リックだから」
むっとしてリックが抗議してきたが、俺は無視した。
「ヒューゲル! 直ちにそのカスタードプリンを10個買ってこい」
俺は命じていた。
そして、その十個のプリンを持ってリックを連れてアンハームのクリスの家の傍に転移した。
本来ならリックなど連れて行きたくはなかったが、どうしても行きたいとリックが言い張ってくれたから仕方なしに連れて行くことにした。
最悪クリスの弾よけで使えば良いかと思ったのはリックに内緒だ。
俺はリックを先頭にノックをさせた。
「何しに来た、レオ!」
むっとしたクリスが顔を出して……
「何だ、リックか!」
ほっとした顔をクリスがしてくれたが、
「いえ、私だけじゃなくて」
リックが俺を振り向いてきた。
「な、レオは帰れ!」
クリスはリックを中に入れて俺を閉め出そうとしてくれた。
「クリス、プリンを持ってきた」
俺は黄色い帽子の袋を見せた。
「ふんっ、黄色い帽子のプリンくらいで……」
「最新のカスタードプリンだ」
俺がクリスの台詞にかぶせて言うと
「何! カスタードプリンだと……そのような物が出たのか?」
クリスは目を見開いた。
「そう、一ヶ月前に出たところで、まだ殆どの人間は知らないみたいだぞ」
俺はリックの言葉をそのまま借りて話していた。
「新発売のプリンか」
「そう、クリスのために買ってきた」
「私の為にか……仕方がない。物だけ受け取って」
クリスが手を出してきたが、物だけ渡すわけには行かない
ここはなんとしても許してもらわないと……何のために無理してリックを連れてきたのか判らないではないか」
「クリスティーネ様、レオさんはとても反省しておられるそうですよ」
リックが横から話してくれた。
「そのようなことは信じられん」
「クリス、悪かったこの通りだ」
俺はクリスの疑い深そうな言葉の前に、扉の前で土下座していた。
「おい、帝国の皇帝が家の前で土下座なんてするな!」
クリスが慌ててくれた。
周りの住民が皆俺を見て通り過ぎていく。
あと一息だ。
「この通り」
もう一度深く礼をする。
「ええい、取りあえず中に入ってちょうだい!」
俺はクリスに強引に中に引っ張り込まれた。
そんな俺達をアミは呆れてみていた。
「中には入れたが、私はまだ許していないぞ」
クリスはそっぽを向いてくれたが、
「そう言わずに、これをやるから」
俺はプリンの瓶の蓋を開けてスプーンで一口すくうとクリスの目の前に持っていった。
「そういう手には……」
そのまま開いたクリスの口の中に入れていた。
「はから……ふまい!」
口に入れて文句を言おうとして、クリスが目を見開いた。
「ほら、もう一口」
俺はせっせとクリスの口の中にカスタードプリンを運んだのだ。
「お父様、私ももらって良い?」
「ああ、ドンドン食え。クリスとアミのために買ってきたんだからな」
「頂きます」
アミもプリンをぱくついてくれた。
「あっ、これ美味しい。お父様、凄いわ」
アミも喜んでくれた。
「リックも食べる?」
アミはリックの口にそのまま自分の使ったスプーンで口の中に放り込んでいた。
リックは少し赤くなりつつ喜んで出させられていた。
俺は少しむっとしたが、今はクリスの機嫌を治すのが第一だ。
そのまま機嫌を治してくれるまでただひたすらにクリスに食べさせた。
クリスは不機嫌な顔は崩していなかったが、最後は目は笑っていたし、俺がスプーンを口の前に持っていくと口を進んで開けてくれるようになっていたのだった。
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