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愛しい娘になんとか「お父様」と言われたい  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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娘に『お父様』と呼んでもらいました

「クリス、いや、稲!」

 俺はクリスをいや稲を思いっきり抱きしめていた。


 前世の悲しい記憶ごとだきしめていたのだ。


「レオ、違って礼男!」

 稲も抱き返してくれた。


 俺達は前世から数十年ぶりに抱きあったのだ。

 媚薬のせいで欲望の限り抱き尽くした時を除いてだったが……


 俺達は何年もの時間を忘れるように激しく抱き合っていた。


「お、お母様!」

 その時に俺たちはアミの驚いた声を聞いた。


 振り向くと庭を散策して帰ってきたと思われるアミが入り口から入ったところで、はとが豆鉄砲を食らったような顔をして俺達を見ていた。


 その後ろに驚いた顔をした小僧もいた。


「アミ、一体どうしたの?」

 クリスが慌てて、身だしなみを軽く整えて、平静なふりをして尋ねていた。


「いえ、何でもありません!」

 そう言うと、慌てて、アミは飛び出して行った。

「アミ!」

 クリスが慌てて呼びかけたがアミは止まりもしなかった。

「ちょっと待てよ、アミ!」

 慌てて小僧が追いかけて行った。


「どうしたのからしら、あの子? 慌てて飛び出していって」

 赤くなっていたが、平静さを装ってクリスが呟いた。

「それは驚くわよ。それでなくてもあの年頃の女の子は色々とあるのに、実の母が、いきなり知らない男と抱き合っているのを見たらショックを受けるわよ」

 阿奈が説明してくれた。

「おいおい、阿奈、知らない男はないだろう。この前は父親だって告白したんだから」

 俺が文句を言うと

「告白したって、話したのはあなたの国の大使じゃない! 礼男からは一言も話していないでしょ」

 阿奈に呆れられたが、

「仕方ないだろう。本来はあの後きちんと話したかったんだが、鬼気迫る稲に追いかけられたんだから」

 俺が言い訳した。

「どうしよう、礼男」

「どうしようって、アミは前世の事も知っているんだろう?」

 しかし、俺の言葉にクリスは首を振ってくれた。


「えっ? 話していないのか? アミが前世の事を覚えていたって稲は言っていたじゃないか」

「そんなの言えるわけないじゃない! それでなくても『お父さんとお母さんは忙しくてひとりぼっちだった』とか、『もっと一緒にいたかった』みたいなことを言われて、『今世はお母さんとお父さんが一緒にいてくれて嬉しい』とか言われていたのよ。ゲオルクはアミの妄想だと思って周りの人にはあまりそう言うことを言ってはいけないよって言い聞かせていたし……私がその酷いお母さんよ何て言えるわけないじゃない!」

 稲にそう言われたら、もっと酷いお父さんだった俺はそれ以上は何も言えなかった。


「まあ、前世の事は取りあえず置いておいて、今世の事からアミにちゃんと話してくるよ」

 俺はそう言うとアミの所に転移しようとした。

「礼男、いきなりアミの前に出ていっては駄目よ」

 阿奈が何か言っていたが俺は大して気にもとめなかった。


 前世の事は今世の事を許してもらってからじっくりと話せば良いだろう。 

 俺はそう思ってアミの近くに転移した。

 そう、全力で駆けているアミの真ん前に……


 俺にはアミが俺の胸目がけて飛び込んでくるように見えた。

 俺は実の娘が喜んで俺の胸に飛び込んでくれるという妄想してしまったのだ。


 でも、アミは前を見ていなくて……そのまま激突された。


 ドカーーーーン!

 油断していた俺は、アミを受け止められるはずもなく、一瞬で弾き飛ばされていた。


 俺が最後に見たのは目の前に迫ってくる石畳だった。




 俺が王宮の客室で目を覚ました時、俺の傍にはクリスがいた。


「あっやっと気付いたのね。阿奈が、駆けているアミの前に飛び出してはいけないって言ったのに飛び出すからこうなったのよ」

 クリスは呆れていたが、俺はアミの前に出たら跳ね飛ばされるという意味だとは気付かなかったのだ。

 そういう事は前もってもっときちんと説明してほしいと俺は思った。


「ちょっと待っててね。今アミを連れてくるから」

 そう言うとクリスは部屋の外に出て行った。

 部屋は豪勢な作りで貴賓室のようだったし、部屋はとても広かった。ディアナが用意してくれたらしい。


「さあ、アミ、入ってレオに謝るのよ」

 クリスの言葉に促されるように、アミがおずおずと入ってきた。


「いや、アミ、悪いのは全力で駆けているアミの前にいきなり飛び出した俺だから」

 俺は手を振った。


「ごめんなさい、レオさん、じゃなくて皇帝陛下」

 アミは頭を下げてくれたが、

「おい、アミ、呼び方が酷くなっているじゃないか!」

 俺がむっとして抗議した。


「酷くなっているって……だって皇帝陛下なんでしょう、レオさんは!」

「それはそうだが、それ以前に俺はアミの父親だ」

 俺はそう、主張した。


 アミは俺の前で目を泳がせて何か考えていたが、下を向いたままぼそりと言ってくれた。

「ごめんなさい、お父様」

 俺はその言葉を聞いてジーーーーンときた。


 実の娘に、やっとお父様と言ってもらえたのだ。


 これほど嬉しいことはなかった。


「アミ、もう一度言ってくれないか?」

「えっ?」

「頼むからもう一度」

 俺が期待に満ちた目でアミを見る。


「お父様」

 仕方なさそうにもう一度言ってくれた。

 俺は感動した。10年間待った甲斐があった。


「もう一度」

「お父様!」

 アミが少し恥ずかしそうに再度言ってくれた。

「アミ!」

 俺は感極まってアミを抱き寄せようとした。

 その時だ。


「陛下、そろそろよろしいですか?」

 来なくても良いのに宰相が現れたのだ。

 さっとアミが後に下がってくれた。このボケナス宰相は今良いところだったのに、何故出てくる?


「バウアー、何しに来た?」

 俺は怒り狂っていた。


「何しにではありませんぞ、陛下! 外務卿たちを迎えにやられせても全然帰って来られませんから、しびれを切らして迎えに来たのです」

 宰相の目も怒りに満ちていた。

 俺はなんとまた三日も寝ていたそうだ。


「いや、でも、せっかく娘に会えたのだぞ」

 俺が文句を言うと

「本来は寝ておられるまま陛下を帝国に連れ帰っても良かったのですが、陛下のことを考えて、ちゃんと皇女殿下と挨拶できるまではお待ちしておりました」

 宰相に言われてしまった。


「いや、もう少しだけ」 

「これ以上は一分一秒お待ちできません」

 宰相は強引だった。

 宰相の合図で暗部の連中がさっと集まってきて俺はベッドから連れたされてしまったのだ。


「お父様。お仕事頑張ってね」

 笑顔のアミに見送られて俺は強制的に帝国に連れ去られたのだった……



 おしまい

ここまで読んで頂いて有難うございました。


ええええ!

ここで終わり?

そう言われる皆様の為にぼつぼつ閑話等上げていく予定です。


続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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