サマーパーティーで愛娘に自分が実の父親であると告白することにしました。
俺は執務室からヒューゲルの寮の部屋に転移した。
「ギャーーーー!」
俺の足の下からヒューゲルの悲鳴が聞こえた。
こいつはもう昼間なのに、何故ベッドで寝ているのだ?
俺には理解できなかった。
後で聞くと最近睡眠不足だったので、寝だめしていたのだとか……
なんとも気楽すぎる。
皇帝の俺が睡眠時間を削っているというのになんたることだ!
「ヒューゲル、お前は今日のサマーパーティー、誰をエスコートするのだ?」
「いえ、誰もいません」
俺が聞いてやるとヒューゲルはどんよりして返事してくれた。
何と言う事だ!
本当に甲斐性の無い男だ。
俺の時は俺と行きたい者が殺到してきたので、それを裁くのに大変だった。
結局俺がエスコートすることで下手な風波を立てたくなかった俺は誰もエスコートしなかったが……
そういえばクリスもそうだった。
あいつもアーデルベルトという婚約者がいたにもかかわらず、一回もアーデルベルトにエスコートされていなかった。
最後の方などアーデルベルトがディアナをエスコートしていたにもかかわらずだ。
何なら俺がエスコートしてやれば良かったか?
もっとも俺は故国に婚約者がいて他の女をエスコートする訳にはいかなかったが……
パーティーの相手くらい自分で見繕わなくてどうする?
誰もエスコートしなかった自分のことは棚に置いて、ヒューゲルに対してそう思った。
まあ、その方がこちらもありがたいが……
「そうか、いないのならば好都合だ。アミのエスコートをしろ」
俺はそう命じていた。こいつに任せた方があの小僧に任せるよりも余程安心だ。
「殿下のエスコートですか?」
ヒューゲルは目を飛び出させていた。
「何だ、不満なのか?」
「いえとんでもありません。しかし、男爵家の私で宜しいのですか?」
ヒューゲルは畏れ多そうに聞いてきたが、
「あの小僧よりはましだ。どんなことをしてでもアミのエスコートの役を取ってこい」
「判りました」
慌ててヒューゲルが出て行った。
これで良しと。
その後、俺は学園の学園長室に顔を出した。
「レオ、貴様、このようなところに何しに来た!」
学園長は俺を見た途端に嫌そうな顔をした。
「学園長、お久しぶりですね」
俺は笑って挨拶した。
「何が久しぶりだ。こちらに挨拶も無しに毎日のように魔術の塔に現れて娘を見てはにやけているそうではないか!」
学園長は何故かその事を知っていた、ヨーゼフ先生が話したのだろう。
そうすれば話は早い。
俺は学園のサマーパーティーに参加したい旨を話した。
「レオ、何を企んでいる?」
学園長はとても胡散臭そうに俺を見てくれた。
「何を企んでいるなんて、人聞きの悪い。何も企んでいませんよ」
「嘘をつけ! 貴様が良からぬ事を企んでいる時は目がいつも泳ぐんだよ」
「そんな、俺が今までに学園長を酷い目に遭わせたことなんて無いでしょう」
学園長が指摘してくれたが、今日は別に学園長のカツラを燃やそうなんて思ってはいない。娘に父だときちんと告白しようと考えているだけだ。
「はああああ! どの面下げてそういうのだ! 貴様のせいで俺がどれだけ恥をかいたことか! 絶対に貴様は出るな!」
学園長はいつまでも過去のことを根に持っているらしい。
本当に面倒な先生だ。
その時、ノックが鳴った。
「学園長、失礼します。帝国の大使が来られましたが」
「大使が? 貴様か? 大使を呼んだのは?」
学園長の言葉の終わらないうちに、大使が入ってきた。
「も、申し訳ありません。遅れまして」
大使が俺に頭を下げてきた。
「早かったな。ファラー」
俺は奴の名前を呼んでやった。
「すぐに来いとの話でしたので。しかし、陛下、このようなところいきなりいらっしゃって、どうされたのですか?」
大使は驚いて聞いてきた。
「いや、俺はここの卒業生だからな。懐かしくなって久しぶりに顔を出したのだ。そうしたら学園長から是非ともサマーパーティーに出てほしいと言われてだな」
「ちょっと待て、レオ、儂は」
「学園長。昔のことを皆にバラされたいのですか?」
「……」
俺が小声で学園長を脅すと、学園長は黙ってくれた。
「ファラー。貴様も是非とも参加するように」
「はい。判りました」
大使は頷いてくれた。
「宜しいですよね。学園長」
「仕方がありませんな」
俺の言葉に苦虫を噛み潰したような顔を学園長はしてくれた。
「くれぐれも問題を起こさないようによろしくお願いしますね」
学園長が釘を刺してくれたが、俺は問題を起こすつもりは全くない。
アミにアミが我が娘だと話すだけだ。
問題を起こすのはクリスだ。
俺では無いと俺は自分を納得させた。
普通に話すとクリスがその前に現れて雷撃か何かして話させないだろう。
俺は大使を使って話をさせることにしたのだ。
そうすればクリスはどうして良いか判らないはずだ。
クリスもまさか大使が話すとは思わないだろう。
俺の希望としてはアミが俺が父親だと理解してくれればそれで良いのだ。
その後きっちりとアミに話して謝れば良いだろう。
ただ、事実を話した時に、大使がクリスによって殺され出もしたらまた大変だ。
俺は大使にお守りを持たせることにした。
強力な防御魔法を発動する魔道具だ。
これさえつけていれば例えクリスの雷撃の直撃を受けても即死することは無いはずだ。
俺は万全の体制で挑むことにしたのだった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
もう少しで完結です
よろしくお願いします








