魔人は娘を傷つけられて怒り狂った娘の母が燃やし尽くしてくれました
「ギャーーーー!」
アミの悲鳴が聞こえた。
俺は焦った。
俺は必死に魔人にの顔に迫った。
そして、思いっきり剣を残っていた左目に突き刺していた。
「ギャーーーー」
魔人が凄まじい悲鳴を上げて、火炎を吐くのを止めた。
「貴様、良くも俺のアミに酷い事をしてくれたな! もう絶対に許さん!」
俺は剣を引っこ抜くと顔に何回も斬りつけた。
「くそ、くそ、くそ、くそ!」
俺は魔人に斬りつけていた。
しかし、中々剣は傷つけられない。
魔人が手で叩こうとしてきたので、慌てて避ける。
俺のすぐ傍を魔人の手が通り過ぎた。
バシン!
「ギャー」
魔人が自分の顔を叩いて悲鳴を上げていた。
ざまあみろだ。
アミの方を見るとクリスが抱き留めていた。
後はクリスに任せておけば良いだろう。
俺は魔人の顔から飛び降りると魔人と対峙した。
魔人は両目を潰されたみたいだが、気配で位置を探っているみたいだ。
俺は剣で魔神に斬りかかったが、手で邪魔された。
普通は手を斬り落とせるのだが、魔人は俺の剣を魔力強化した手で受けてくれたのだ。
剣が鋼のようになっていて剣を跳ね返してくれた。
何度か打ち込むが、なかなか手で邪魔されてヒットしなかった。
「そこの化け物! 良くもアミに対して酷い事をしてくれたな」
しかし、そこに怒髪天のクリスが近付いてきた。
これは怒り狂っている。
いや、ここは王宮内なんだが、こいつが本気出したら王宮は崩壊するかもしれない。
俺は背筋を冷たい物が走った。
クリスが怒り狂っているのを察知して少し魔人も驚いたみたいだ。
クリスの右手が光った。
「貴様だけは絶対に許さん!」
「ギャオーーーー」
魔人も対抗する意味でクリス目がけて火炎を発射した。
でも、魔人の火はクリスが手を振ると、火炎が一瞬で消えてしまった。
「ギャオーーーー」
怒った魔人がもう一度やっても、クリスが手を振ると火炎が消える。
「何度やっても無駄だ。レオ、退け! 私がやる!」
クリスの声に俺は慌てた。
クリスの退けは本当に退かないとまずい奴だ。
俺は必死に後方に下がろうとした。
「行くぞ!」
「ギャオーーーー」
クリスが魔人目がけて走りだす。
魔人が手を構える。
そして、クリス目がけて魔人の手力が一閃した。
しかし、その直前にクリスは飛び上がった。
魔人の手が空を切ると同時に、
「喰らえ、化け物!」
クリスの魔力の籠もった手力が魔人の右肩に一閃した。
「ギャーーーー!」
魔人の悲鳴と同時に、大きな右手が斬られて地面に落ちていた。
黒い魔人の血しぶきが吹き出す。
ここは任せても問題ないだろう。
俺はクリスが魔人と対峙している間にクリスの所に転移した。
するとなんと傷だらけのアミを小僧が抱き上げていた。
「小僧! 何故、俺のアミを抱き上げている?」
俺は小僧に文句を言った。
「クリスティーネ様からアミを抱いているように言われたんです」
自慢げにリックが説明してくれたが、クリスも何をこの子増に託しているのだ。
「何だと! 良いからアミを俺に寄越せ」
「嫌です。そうしたいのならばクリスティーネ様に言えば良いでしょう」
「何だと小僧」
俺は小僧を睨み付けた。
しかし、小僧は俺に対してむ睨み返してくれた。
アミの手前、強引に奪う訳にもいかない。
俺はため息をついた。
「レオさん、ここは良いからお母様を手伝って!」
アミがそう頼んできたが、
「アミ、お前の言うことは聞きたいんだが、クリスが退けと言ったんだ。言った限り問題はない。それに俺が手伝うと後が煩いからな」
俺はそうアミを諭した。今までクリスの言葉に逆らうと本当に後が大変なのだ。
クリスがそう言って負けたことはかつて無かった。ほっておいて問題ないのだ。
「ほら、見てみろよ」
俺の言葉を待っていたように今度はクリスは魔人の左手を斬り取っていた。
「ギャオーーーー!」
魔人が悲鳴を上げる。
しかし、両手をなくしてはもう対抗手段はほとんど無かった。
魔人は最後の火炎を発射した。
しかし、それはクリスが手を振ると一瞬で無効化される。
「本当に馬鹿ね、薄樹は! もうお前の火炎は使えないのよ。それが判らないなんて」
クリスは高笑いしていた。もう魔人には攻撃手段が無いはずだ。
「阿奈にとどまらずに私のアミにまで手を出してくれるなんて、お前を絶対に許さないわ。次はアミの分よ」
怒り狂ったクリスは魔人を睨み付けた。
クリスは本当に容赦が無かった。
「地獄にお帰り!」
クリスは煉獄の爆裂魔術を魔人に向けて放っていた。
「ギャオーーーー」
魔人は煉獄の炎に包まれて叫んだ。
クリスの最終兵器だ。
なすすべもなく、泣き叫びながら魔人は地面を転がってその火を消そうとしたが、煉獄の爆裂魔術の火は水に飛び込んでも消えないのだ。転がっただけでは絶対に消えない。
炎に包まれた魔人も哀れだった。
魔人は生きたまま燃やし尽くされたのだった……
「ほら、アミ、言ったとおりだろう」
俺がアミを見るとアミは小僧の腕の中ですやすや寝ていた。
「陛下、ご無事ですか」
その頃になってやっと近衛騎士団が出て来た。
王宮は半壊状態で、魔人の燃えかすで周りは煤だらけになっていた。
国王夫妻を守ろうとして戦った騎士や侍女の多くが地面に倒れていた。
そのあまりの悲惨な状況に騎士達は唖然としていたが……
俺はと言うと、アミの枕元で今度こそ父だと告白しようと思ったのに、帝国から転移してきた外務卿等によって強制的に帝国に帰らされてしまったのだった。
本当に最悪だった。








