いけ好かない隣国の王妃から金色の瞳の少女が王国にいると聞いて、暗部に探らせることにしました
属国のラフォース王国から、ノルトハイム王国からの魔物の流入が酷いのでなんとかしてほしいと言う依頼があったのは、散々好きなことをやっていた親父がもう飽きたと言っていきなり譲位してくれて、俺が帝位を継いだところだった。
まあ、皇太子の時から執務の多くはやらされていたが、皇帝になるとそれ以上に面会以来やら会議やら公務やらと山のように忙しくなった。
そんな中で属国のラフォースの依頼などどうでも良いと俺は思ったのだが、やいのやいの外務卿が煩かったので、仕方なしに俺はノルトハイム王国の国王アーデルハイト宛てに魔物のラフォースへの流出阻止の依頼を文官に適当に書かせて送らせたのだ。
そして、送った瞬間その存在自体を忘れていた。
そうしたらそんなこともしたことを忘れていたときにノルトハイムの王妃から俺宛に返信があったのだ。
「何? ディアナから俺宛に手紙がきただと……そんなの燃やしてしまえ!」
俺は即座に文官に指示した。
「陛下、一国の王妃殿下からの親書を燃やすとはどういう事ですか!」
報告しなくても良いのに文官が報告したみたいで、外務卿が慌てて飛んできた。
「はあ? あいつはクリスの敵だからな、そんな奴からの手紙など読めるか!」
俺は宰相の差し出した手紙を押しのけた。
出来たらそのまま燃やせば良かった。
「読ませて頂いてもよろしいですか?」
「勝手に読め。その後燃やせよ!」
「本当に陛下は帝国の皇帝陛下ですのに好き嫌いが激しいですな」
ブツブツ言いながら外務卿は読み出したが、
「陛下、王妃様が言われるには」
「聞きたくない。すぐに燃やせ」
「よろしいのですか? なんでも、アンハームの街に、金色の瞳の少女がいるそうですが……」
「金色の瞳って、それは我が皇家の者がいると言うことか?」
我がハウゼン帝国は元々金の瞳の竜王が皇帝として即位したそうで、代々帝位に繋がる者は金の瞳をしている者が多かった。
「さあ、この手紙にはそこまでは書かれておりませんが」
「貸せ!」
俺はその手紙を外務卿から奪い取るように手にした。
その手紙にはどうでも良い季節の挨拶が延々と書かれていて、何故知っているか知らないが学園時代の俺とクリスの事がまた延々と書かれていた。
「おい、金の瞳の女の事なんてどこにも書かれていないぞ!」
俺が外務卿に文句を言うと、
「一番最後でございます」
「最後だ? 一番大切なことを最後に書くとは本当に面倒な女だな」
あいつはいつもそうだ。何かと画策してあの単純で気の良いクリスを嵌めてくれたのだ。
クリスがディアナを虐めるなんてするわけはないのだ。あいつは本当に気に入らなければ本人相手に決闘したり燃やしたり平気でやっていた女だ。
影に隠れてこそこそやるなんてちまちましたことをクリスがしていたなんてあり得なかった。
本当にディアナは許せなかった。
でも、手紙をその後に読み進めても、できるだけ早くに対処したいが、アンハームには最強の魔術師が好きに暴れていて、王家の言うことも中々聞いてくれない旨の愚痴が書かれていただけだった。
「ふんっ、王国はクリスを嵌めて追放するから魔術師が不足するようになったのだ。
追放したディアナが苦労すれば良い」
俺はその事を知って胸が少し晴れた。
しかし、最強の魔術師って誰だ?
俺が知っている者はクリスくらいしかいないが……クリスは国王に国外追放されたはずだ。
「おい、最後まで読んだが金色の瞳のことは何も書かれていないぞ」
俺が外務卿に文句を言うと
「陛下一番最後の追伸の部分です」
「なんだと、追伸の部分だと、それを早く言え」
俺は一番最後を見た。
『追伸、そう言えば部下からの報告でアンハームにはとても可愛い金の瞳の少女がいるそうです』
と一言書かれていたのだ。
「なんだ、これは、これでは何一つ判らないではないか!」
俺は手紙を握りしめた。
「王妃様に問い合わせますか?」
「そのようなことが出来るか! 俺はディアナは嫌いだと言っているだろう!」
「ではいかがなさいますか?」
外務卿が聞いてきたので俺は天井を睨んだ。
「フィン!」
俺はそして、暗部の長を呼んだ。
「お呼びになりましたか?」
いきなり天井裏から暗部の長が降りてきた。
突然のことに外務卿達はぎょっとしていた。
帝国の暗部は皇帝の護衛から情報収集までいろんな業務に精通している影の者達だった。
「今の話聞いたな」
「大まかのことは」
「暗部の者をノルトハイムのアンハームに派遣して、その金の瞳の少女と、最強の魔術師の情報を集めてほしい。できる限り内密に事を運べよ。父の隠し子だったらまた問題になりかねないからな」
今更ながら帝位継承問題など起きたらたまったものではなかった。
そう、俺はまだこの時までは他人事だった。
まさか自分の子供がアンハームにいるなど想像だにしなかったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
関連した物語
『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』もよろしくお願いします
https://ncode.syosetu.com/n8270ll/








