愛娘のいけ好かない友人は何故かその母親の好きな物を色々知っていたので、尋ねようとしたら怒髪天の本人が転移してきました
俺はリックとか言う男を睨み付けた。
「そういうお前こそ、何者だ? 人に名を聞くときはまず自分か名乗るのが筋だろう」
俺は常識も知らないのかと、男を見下した。
「俺はアミの幼なじみのリックだ。アミとはとても親しい間柄だ」
むかつく男が言い出してくれた。
何だと、アミと親しいだ?
俺はまだ、アミが男なんかと付き合うのを許すつもりはなかった。
「ふうん。親しいね」
俺はじっくりとリックの頭の天辺からつま先まで見て気付いた。こいつは昔から嫌いな男に似ていると気付いた。
「何かお前を見ていると昔知っているとてもいけ好かないとある男を思い出す。その男は婚約者がいるにも関わらず、ぽっと出の胸のでかい女に籠絡されて、婚約者に冤罪を着せて断罪してくれた最低の男だった。その男に似た男をアミに近付ける訳にはいかない」
そうだ、こいつはあのクリスの婚約者とクリスを嵌めてくれたその相手のディアナの雰囲気を引き継いでいる。絶対にその子供か何かだ。リックというと、ズバリ第二王子のヘンドリックか!
そんな男をアミに近づけるわけは無いだろう!
「はああああ? 変な最低の男に似ているだけでどうしてそこまで言われなければならない? そもそもお前はどういう権限があってそんなふざけた事を言うんだ? というか、俺が名乗ったんだからお前も名乗れよ」
ガキが威張って言ってくれたが、そんな生意気な奴がアミの周りにいるのは父の俺が許さん!
「ふんっ、俺様はレオ。アミとの関係は俺はアミのちち……そう、父親の友人だったんだ」
話の途中で俺は不味いと気付いた。クリスがどこから見ているのか判らない。ここは我慢だ。
「アミの父親ってゲオルクさんか? 本当にそのゲオルクさんの友人だったのか?」
訝しそうにガキが聞いてきたが、
「ゲオルクとは学園時代からの友人だ。ちなみに、アミの母のクリスとも友人だぞ」
俺ははっきりと宣言してやった。それは事実だから言っても問題ないだろう。
「えっ、レオさんってお母様の友人だったの?」
アミが驚いて俺を見てきた。
「そうだ。何しろ俺は魔術部の部長だったからな」
俺は自慢した。
あの当時魔術部と言えば、全校生徒の憧れの的だったのだ。俺は帝国の皇子というのもあったが、そのお陰でとてももてたのだ。
「えっ、魔術部って何なの?」
しかし、アミの反応は芳しくなかった。
そもそも魔術部を知らないみたいだった。
何でだ?
アミの称賛の眼差しを受けられると思ったのに! 今の魔術部の面々は何をしているのだ?
後でヒューゲルに聞いても、魔術部の存在自体を知らなかった。
ヨーゼフ先生に聞いたら、クリスが追放された後で、部そのものがなくなったらしい。これは学園長どもが、良からぬことを考えた結果に違いない。俺達はいたずらで学園長の頭がカツラだと皆にばらしたりしたからな!
「アミは知らないのか? 俺が部長でクリスが副部長だったんだ。2人で色々やったぞ。そう言えば一度学園長の髪の毛を燃やした事があって、あれは面白かったな」
俺が自慢して言った。カツラを燃やしたとは学園長が可哀想だから言わないでおいてやった。
何故か、アミは微妙な笑みを浮かべてくれたんだが、これは何かしたな!
俺とクリスの娘だ。俺達みたいないたずらを絶対にしているに違いない。お互いのいたずらをばらしあったら、もっと親しくなれるかもしれない。
「だからアミにはお前の母の学園生活のことをいろいろ話せるぞ」
「えっ、是非とも聞きたい」
アミが俺の言葉に飛びついた。
「アミ、そんな事聞いていいのか? 後でクリスティーネ様に絶対に怒られるぞ」
ガキが余計な事を言ってくれた。
俺とアミの仲良くなる作戦を勝手に邪魔するな!
「待て、小僧。勝手にアミのことを呼び捨てにするな」
俺はガキに文句を言った。
「はああああ、お前にも、同じ事を返してやるよ」
ガキは生意気にも言い返してくれた。
「生意気な。そもそもアミの幼なじみと言うが、貴様をクリスが預かるとは到底思えないが」
「ふんっ、俺はクリスティーネ様の所で2ヶ月一緒に生活させてもらったぞ」
「嘘をつくな、絶対にあり得ないだろう!」
「レオさん。リックの言うことは事実よ」
「嘘だ! だってこいつの両親は平民女にうつつを抜かした軟弱最低男とその軟弱男に胸の大きさで迫って陥落させたあの平民女だぞ。クリスが認める訳がないだろう」
何しろクリスはその女に嵌められたのだ。絶対に何があっても預かるなんて事はしないはずだ。
「ふーん。レオさん。クリスティーネ様と表面上の付き合いしかないから、本当の事を知らないんじゃない?」
「な、何だと! そんな事はあるか!」
このガキはとんでもないことを言い出してくれた。俺はクリスとは学園時代から、一緒にいる時間は絶対に婚約者だったあのいけ好かない男よりは多いはずだった。その息子にそう言われたくない。
「じゃあ、クリスティーネ様が一番好きなお菓子知っている?」
「一番好きなお菓子だと? そんなのクリスは甘いものには目が無かったからな。何でも目の色を変えて食べていた気がするが」
俺は自分の記憶を振り返ったが、クリスは何でも喜んで食べていたと思う。
「もう、全然女心を判っていないね、そんなこと言うなんて!」
ガキは一人前に俺を馬鹿にしてくれた。
「クリスティーネ様の一番好きなのは黄色い帽子屋のプリンなんだ。あの口の中でとろける食感がたまんないそうだよ」
勝ち誇ったようにガキが言いだしてくれたが、そんなわけはないはずだ。その事をあのディアナが知っているはずはない。アーデルベルトも当然知っているわけはないはずだった。
「ちょっと待て、なんでお前そんな事を知っている?」
俺が慌てて聞いていた。
「情報源は言えないけれど、もっといろいろ知っているよ」
ガキが胸を張ってくれるんだが……
本当なのか?
「ぐぐぐぐ、ちょっと来い、小僧」
俺はこの生意気なガキが何故クリスの好みを知っているか不思議だったが、本当なら、このガキから情報を仕入れた方が良いのではないかとつい、思ってしまった。
いろいろ聞くと、こいつは本当にクリスの好みを良く掴んでいた。
「そうか、クリスはホワイトキャッスルのショートケーキも好物か」
「それと甘味堂のメロンパイも大好きだそうですよ」
「なるほどなるほど」
俺が聞くとクリスの好みをペラペラと教えてくれた。
今度一度このガキが教えてくれたお菓子を持ってこようと俺が考え出した時だ。
ドカーン!
いきなり俺の頭に衝撃がして地面に蹴倒された。
頭に衝撃がくる。
俺は頭を上げようとしたが、頭を踏みつけられていて動かない。
俺を押さえつけるとは誰だこいつは?
「お母様!」
アミの声がした。俺を足蹴にしているこの不届きものはクリスのようだった。
俺の頭上からは何かもの凄い怒りのオーラを感じて俺は命の危機を感じた……
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
ついにお母様がアミの前に出て来ました。
帝国の皇帝とこの国の第二王子を足蹴にするなんて、さすがクリスティーナ様…………
不敬罪なんてびくともしない勇姿をアリーナ達が見れば賞賛の嵐になるのは確実か?
話はそろそろ佳境です。
続きをお楽しみに!








