娘と接触禁止だと言い張る母親をなんとか誤魔化して傍にいるようにしました
「クリス、お前、何をしてくれるんだ!」
俺は頭を抑えつつ起き上がるや、クリスに文句を言い放った。
「煩い、レオ! 誰の許しでアミを抱きしめた!」
クリスが文句を言ってくれるが、
「誰の許しも糞も、アミは俺が治したんだ。それに俺の目の前で倒れたんだから倒れないように抱きとめたのは父親として当然の事だろう」
「煩い! お前は父親ではない! それにそもそもレオには接触禁止を言い渡していたはずだぞ」
「知るか! いきなり俺の目の前にアミが現れたんだから仕方が無かっただろう! そう言うなら、お前が扉を開けたらよかっただろう!」
「いや、それはだな、私はアミと喧嘩中だからしてだな……」
俺の言葉にクリスは急に言い訳がましくなった。
「ほら、みろ。やっぱり俺が出るしか無かったんじゃないか!」
「そんな事は無い!」
俺達はアミを間に挟んで言い合いをしていた。
「うーん!」
アミが首を振った。
俺達の声が煩すぎたらしい。
「お前ら煩いぞ」
ヨーゼフ先生が注意してくれた。
「「しいーーーー!」」
俺達はお互いに注意し合う。
「取りあえず、アミとその後ろの子を後ろの部屋のベッドに寝かしてくれ」
ヨーゼフ先生が言ってくれた。
この玄関のフロアには仮眠部屋があった。
そこに取りあえず2人を連れて行けとヨーゼフ先生が指示してくれた。
「レオ、お前はそっちの子だ」
「そんな、俺にもアミを運ばせてくれよ」
俺はクリスに頼みこんだ。折角実の娘をこの腕に抱けたのだ。10年来の宿願が叶ったのだ。もう一度俺は抱きたかった。
「次に貴様がアミと接触したら殺す」
しかし、クリスは俺に殺気を放ってくれた。
「何でだ? 良いだろう!」
俺が頼むが、
「絶対に駄目だ!」
「そんな酷い事を言うのか?」
「駄目だったら駄目だ!」
俺達はお互いに激高した。
「ええい! 煩い! さっさと運べ!」
ヨーゼフ先生の雷が落ちた。
俺は仕方なく、アミが連れてきたエーレンとか言う子を抱いて、クリスが下ろしたアミの隣のベッドに運んだのだった。
クリスはアミの横に座った。
「寝顔も可愛いんだな」
俺がぽつりと呟くと。
「お前は見るな!」
クリスがアミを体で隠してくれた。
「見るくらい良いじゃ無いか! 減るものでもあるまいに」
俺が文句を言うと
「減るから見るな!」
クリスは首を振ってくれやがった。本当にケチだ。
その時だ。
「うーん!」
アミがうなされて首を振ってくれた。
「「しーーーー!」」
俺達がお互いに注意したときだ。
アミがうっすらと目を開いたのだ。
逃げる暇も無く、クリスが固まっていた。
「お父さん、お母さん、ごめんね」
アミがそう呟いた。半分まだ寝ているみたいだ。
「アミ、大丈夫よ」
「アミ、大丈夫だからな」
俺達はアミに話しかけていた。
「お前がアミの名前を呼ぶな!」
クリスが文句を言ってくれた。
「何でだ、やっと会えて話せたんだぞ」
俺が言い張ったが、
「絶対に私が許さない!」
クリスが怒って言い張ってくれたが、俺はなし崩し的にアミと呼ぶことにした。
その日はアミの枕元で二人して寝ずの看病をした。
アミは熱を出したみたいで、よくうなされていた。
俺はその汗を拭いてやった。
最初は俺の行動を止めさせようとしたクリスだが、
「俺は癒やし魔術が使えるからな。傍にいた方が良いだろう」
適当に言い訳して、疲れて半分クリスが寝ている時に、汗を拭く役を無理矢理奪っていた。
アミは寝ている姿もとても可愛かった。
俺はアミを見続けたのだ。
とても幸せな夜だった。
そんな俺もいつか寝ていたみたいだ。
「レオさん?」
俺はアミに呼ばれてはっと目を覚ました。
クリスはいつの間にかいなくなっていた。
余計な事をバラしたら殺すとメモが置かれていたが……
「やあ、元気になったか?」
俺はアミを改めてみた。
「えっ?」
アミは服が変わっているのに気付いて慌てた。
「申し訳ない。もうボロボロだったから、お母さんに頼んで替えてもらったんだ」
「お母さん?」
「あっ、いや間違えた」
俺は冷や汗が流れた。ここにいるのはバラすなとクリスに言われていたのだ。
「ヨーゼフ先生が連れてきてくれた看護婦かな」
やっと誤魔化せた。
「ふーん、まあ、そこは気にしないけど」
「そこは気にしろよ! 知らない男に肌をみられたら嫌だろう!」
俺は親としてアミに注意した。
「うーん、まあ、少しはね。でも、私は胸も無いしお子ちゃまにみられるから……でもね変ね。おじさんは何かお父様みたいなこと言うのね」
「お父様!」
俺はアミにそう言われて感激した。
今、アミにお父様って言われた!
俺は手を握りしめて感涙していた。
「おお、アミ、やっと気付いたか?」
そこにヨーゼフ先生が来なくて良いのに入ってきた。
「どうしたのじゃ、この男は?」
「私がお父様みたいたって言ったらその言葉に感動してくれたみたいなんだけど。そんなにお父様って呼ばれたかったのかな」
「そうだぞ。アミ。是非とも俺のことはお父様と呼んでくれ!」
俺はアミに頼み込んでいた。
夢にまで見た娘に、ついにお父様と言ってもらう時がきたのだ!
「嫌よ。だっておじさんはお父様ではないし」
ガーン!
あっさりとアミに拒否されてしまった。
「いや、それは……俺は実の父で」
俺はクリスとの約束なんてもうどうでも良いと思いだしていた。愛する娘にお父様といつてもらうのだ。
「レオ、良いのか。そんなこと言っていて」
「いや、よくない!」
しかし、ヨーゼフ先生が俺を現実に戻してくれた。
俺は首を振った。
約束を破ったら本当にクリスは俺を殺しかねない。
「そうじゃろう。我が魔術の塔で夫婦喧嘩を始めてくれたらとんでもないことになるからの!」
ヨーゼフ先生が余計な事を言いだした。
「夫婦喧嘩?」
アミがキョトンとしてヨーゼフ先生を見てくれた。
「レオおじさんの奥さんって私のお母様みたいな強烈な性格の人なの?」
「いや、まあ……そこはだな」
俺はどう答えたら正解なのか悩んだのだが、
「そうじゃ。レオの家内もとても強烈じゃぞ!」
慌ててどう誤魔化そうかと逡巡したのに、ヨーゼフ先生があっさりと肯定してくれた。
俺は殺気を感じたが、悪いのはヨーゼフ先生だ。文句はヨーゼフ先生に言ってほしい!
俺はもしクリスが切れて出て来たらそういうつもりだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
果たしてレオはお父様と呼んでもらえるのか?
続きをお楽しみに!








