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顔を見たくない人

私は宮殿の中に入り、慎重に周囲を観察した。この世に何か奇妙な出来事などないはずだと自分に言い聞かせていたが、シェラーは妙に真剣な顔で「それっぽい」と言っていた。やはり私が気にしすぎているだけだろうか。 宮殿の中を歩き回り、ポモディスを探そうとした。


女僕が通りかかったとき、丁寧に会釈をした。それはごく普通の礼儀だったが、なぜか奇妙な感覚が私を包み始めた。それは廊下の先に現れた。 角を曲がってくると、一人の男性が歩いてくる。自慢げな歩き方、引き伸ばされた影が彼の高慢さを強調していた。


白括王子だ。 ゆっくりと私に近づきながら、手を振ってきている。異様なまでの熱意を込めて。だがそれは冷たい熱意、不穏な笑みだった。


「やあ! こんなところで会うなんてね、アンナさん。さっきどこに行ってたの? ずっと探してたんだよ。一緒に別宮で昼食でもどうかな?」


こんなに偶然? しかも私を探していたと言いながら、この態度……明らかに何かおかしい。でも、ここで拒否するのもまずい。いつも通り振る舞おう。


「王子殿下ではありませんか! 本当に偶然ですね。どんな風が王子様をここまで運んできたのでしょう? それに昼食のお誘いまで」


「いやいや、実は父上がアンナさんに会いたがってるんだ。昨日、陛下が約束をすっぽかしてしまったから、その埋め合わせとして三人で昼食を、ってね。もちろんアンナさんが嫌なら無理にとは言わないよ。私がちゃんと伝えておくから」


明らかに罠にしか見えない。でも彼はポモディスが別宮にいると言った。あそこはまだ探していない場所だ。もし本当にそこにいるなら、もう探し回る必要はない。だが突然の誘い……これまで一度もなかったことだ。ポモディスとは夕食を共にしたことはあっても、昼食なんて一度もない。


「……それでは、ご案内ください。陛下のお誘いを断るわけにはいきませんから。それに、お母上もご一緒ですか?」


「残念ながら母上は現在療養中なんだ。だから今回の昼食には出られないよ。本当は母上もアンナさんと一緒に食べたかったんだけどね。だから代わりに私が同席するってわけ。アンナさん、気にしないよね?」


「そんなことありませんとも。陛下と王子殿下とご一緒に昼食をいただけるなんて、私のような者には光栄すぎることです。どうして気にするなどということがありましょうか」


眩しい陽光が窓から差し込み、白括の顔を照らした。彼は目を細め、嫌悪の表情で太陽を睨み、手で光を遮った。白い礼服を着ているのに、その顔にはどうしようもない不快な気配がまとわりついている。光さえも救えない歪みだ。


「ここの太陽、強すぎるね。ここにカーテンでもつけさせないと。さあ、早く別宮に行こう。父上を待たせるのはよくないから」


私たちは日陰の通路を通って別宮に向かった。四つの宮殿は相互に繋がっており、移動の便を図って作られた「円廊」を通る。外に出ることなく他の四つの宮殿に行ける仕組みだ。四つの宮殿は零宮の四方を囲むように配置され、廊下は緩やかなカーブを描き、謎めいた立方体を包み込む円形になっている。


円廊からは外の様子は一切見えない。完全に閉ざされた空間だ。私は念入りに周囲を観察したが、今のところ他に異常はない。後ろからも誰もついてきていない。前には白括王子だけが先導している。異常なし。


しばらくして別宮に着いた。 ここはシャクァル宮とはまるで違う雰囲気だった。シャクァル宮が空と一体化したような明るさを持つのに対し、別宮は雪の中に静かに横たわる白い石のようだ。冷たく、しかし頑強。


ここは王族の休息の場。衛兵は一切立ち入りを許されない。側近であっても、徹底的に身体検査を受けてからでないと入れない。王族だけの世外桃源だ。 シェラーはここに入れるのだろうか……国王の弟なら入れるはずだけど……。 せめて、どこに行くのか一言くらい教えてくれればいいのに。いきなり一人でいなくなってしまって。

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