兄弟?!?!
このメッセージに、私は驚きのあまり叫びそうになった。でもすぐに、このことに何か裏があると気づいて、慌てて声を抑えた。私は非常に慎重に、ほとんど囁くような小さな声でシェラーに尋ねた。
「いったい、どういうことなの……?」
シェラーは隠しきれなくなった様子で、首から下げていたペンダントを取り出し、開いてみると、中には小さな瓶が入っていて、赤い液体が詰まっていた。
「……ああ、ポモディスは俺の兄貴だ……ここに入ってるのも兄貴の血だ。王族の血だよ」
それを見た私は、思わず顔をしかめた。でも彼がそう言った以上、この瓶を嫌がるわけにはいかない。結局、王の血なんだから、気持ち悪いなんて言えない。
「あなたたち……もともと、こういう習慣があるのね……う、うん、いいね!」
「いいわけねえだろ! 全然よくねえよ! それに、昨日兄貴が一日中いなかったってのはどういう意味だ? 従者や使用人たちが知らなかったってことか?」
彼はものすごく緊張した様子で尋ねてきて、思わず手綱を強く握りしめていた。
「女管家や使用人たちに聞いたんだけど、みんな知らなかったの……だから、外出したんじゃないかって思ったんだけど」
でもシェラーは頭を下げて、何かを考え込んでいるようだった。そして、反論してきた。
「ありえねえ。兄貴が外出したら、俺は知ってる。王宮の外出門は全部監視されてて、誰が出たかも記録されてる。でも昨日は誰も外出してねえんだ……記録が一切ねえ」
「そう言われると……」
「そうだ、兄貴はまだ王宮の中にいる! 早く戻って探さなきゃ!」
シェラーは手綱を激しく振るい、馬車を猛スピードで王宮に向かって走らせた。急加速で体が前に傾き、まだ乗ってなかった従者は呆然とその場に取り残され、馬車を追いかけながら何か叫んでいた。きっと「どうして置いていくんだ!」とか罵ってるんだろう。でも追いつけなくて、しばらくしたら見えなくなった。可哀想な従者だよ、初日なのに……。
「なんでそんなに急いでるの? あなたが言うように王宮の中にいるなら、陛下は安全でしょ。守衛もたくさんいるし、殺すなんて難しいよ。それに国王なんだから、誰も殺せないでしょ」
「お前の考えは正しいよ。王宮の中にいる奴で兄貴を殺せる奴はいねえ。でも一日姿を見せねえってのは危険すぎる。こんなこと今まで一度もなかった。それに、お前は大事なことを見落としてる。守衛は兄貴に直属じゃねえんだ」
守衛か……そういえば、彼らに誰かが頭を下げたり礼をしたりした記憶がない。ただじっと立ってるだけ、日中も夜も動かない。思い返せば、彼らの徽章も王室のものじゃなくて……。
あれ? なんだっけ……思い出せない……
「だから、守衛たちが陛下を監禁したんじゃないかって疑ってるの?」
「いや、そんなこと言ってねえ。ただ、守衛は王宮を守ってるだけで、兄貴を守ってるわけじゃねえ。誰にも属さず、『王宮』そのものに属してるだけだ。お前は知らなくていい。表向きの人間は、この水に触れちゃいけねえ」
「そんな言い方ないでしょ! 私、陛下の妻よ! 今は私も王族の一員なんだから! 全部知る権利があるわ、早く続き言いなさいよ!」
シェラーは不満げに鼻を鳴らし、馬車のスピードをさらに上げた。石畳の道を車輪が激しく転がり、揺れがすごくて、座席から落ちないよう手で支えなきゃいけなかった。
「速すぎ! 吐きそうなんだけど! お尻が痛いよぉ!」
「お前、か弱いお嬢様じゃねえだろ。こんな揺れ、慣れてるはずだろ、このお嬢さん! これは超急ぎ事なんだよ!」
「口の悪いガキ! 生意気言うんじゃない! 早く続き言いなさい!」
もう王宮が見えてきた。王宮の大時計塔が見えて、時刻は11時35分。山の上からの道だから、王宮の庭園の巨大さがよくわかる。六角形の巨大な敷地、シャカール宮は西側にあって目立つけど、中央の「零宮」に比べたらちっぽけだ。外壁は白い巨大な立方体、上部に一つだけ窓があって、周りを円形の川が囲んでる。橋は一切なく、小舟でしか入れない。
突然、頭に閃いた。あの零宮、監禁するにはぴったりじゃない? 入ったら出るにも小舟が必要だし、舟がなければ出られない。
「陛下、もしかして零宮にいるんじゃない? あそこ、舟がないと出られないよ」
「お前が知らねえのも当然だが、零宮には王族は絶対に入れねえ。だから除外だ!」
シェラーはきっぱりと言って、陛下が零宮にいる可能性を即座に否定した。王宮がもうすぐだ。私はこの1、2ヶ月住んでいた場所について、何も知らなかったことに気づいた。王宮に対して、なんだか拒否反応みたいなものを感じていた。
「もうすぐ着く。今の話は宮外でしか言えねえ。入ったら、俺たちは平静を装うんだ。表面だけじゃなく、心の中もだ。今の王宮で、どんな変なことがあっても信じるな。それが大事だ。覚えとけ! 絶対に!」




